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378話 鉱山探索

短時間のフライトの後、俺は山の中腹に降り立った。

そして、直ぐに驚愕する。


(ちょっと雑草をはねのけただけでところどころ黒いぞ………!?)


試しに一個をぐっと掘り出して火をつけると、ぼっと燃えた。

石炭以外の何だというのだ、これを。燃える黒い石が他にあるなら俺に教えてくれ。


「…………。」


あまりにもあっけなくアテがついてしまったので、俺は絶句した。


さて、ここからどうするか。しっかりと設備とか整えないといけないしな。俺が覚えてるのは露天掘りだけなのだが、記憶をたどれば爆発だの崩落だの大気汚染だの鉱山ってのは碌なもんじゃない。

なんかいい対策を立てる必要がある。俺が始めた産業のせいで人身事故いっぱい起きるとか嫌だからな。


(とりあえず、ここらの簡易地図を作る必要があるな。)


何か重大な欠陥を抱えている可能性もある。それも考えると調査は必要だ。大丈夫、まだ空は明るいし時間はあるはず。


という訳で、再び魔翼で空に羽ばたく。

よくよく考えれば危険な魔獣が居ないかってのも心配だな。『リュミエール・シーカー』も起動しておく必要がある。

そのまま大きくぐるりと山の周りを一周。見たところ、あまり危険な魔獣は見当たらないな。いないことはないが、強くてもEランク程度。冒険者を見張りにつければ問題なく沈められる。


(………?)


だが、山の中腹にヤケに魔獣が少ない場所があるのに俺は気づいた。

単純に魔獣が少なければそこを拠点に出来る。何か理由があるのならそれも使える。

俺はその場所の中心点に降り立った。
















「これは………遺跡か?」


降り立った俺は、違和感の正体を推測する。

確かに森ではあるのだ。だが、所々に白い異物が混じっているのだ。

少し離れて見れば、何かしらの神殿の跡にも見える。


(祀られてんのがクソッタレな勇者を生み出したファッキン神様じゃなけりゃあ良いな………。)


神殿と確定したわけではないが、神殿(仮)として『アース・ホール』で色々と掘り起こして調査を始める。

そして、気づく。


「案外壊れてないぞ………!?」


壊れたのは天井部分だけ、相当頑丈に作られていたのかそれ以外は結構そのまんま埋まっている。

恐らく山崩れが発生してその拍子に埋まったのだろう。

にしては俺のしょぼい地層知識を参照しても相当古い。古代文明とかあったっけか………?


「ッ!」


不意に視線を感じた。いや、視線ではないな、これは魔力の波動か。


(『アース・ホール』!)


波動は地面から出ていたため、その地点を掘る。

掘れば掘るほど波動が強くなり、俺は何故この地点に魔獣が少ないかを理解した。

この波動は、光属性魔力だ。

この付近に近寄った者にとりあえずぶっ放しているのだろう。いくら微弱とはいえ、光属性魔力を好んで食らいまくる魔獣などいない。


にしても、そんな魔力の波動を出し続けるものなんて聞いたことが無い。そもそも魔道具について詳しいわけではないけど、だとしても魔道具ってのは基本的に持ち主の魔力を必要とする。


その答えが、掘った先から顔を出した。

そう、顔だ。


(石像か………?)


その顔は、美しい女性の顔をしていた。

更に掘ると、背中に翼が生えていることがわかってくる。

そして、何故だか全体的にデカイ。


(あれ、これどっかで聞いた特徴だな……………。)


魔腕も使って急いで掘り起こしてみると、その全容が明らかとなった。


天使の石像である。

掘られてある名前は……………


「…………『寛容なる遣い』?」


『勤勉なる遣い』ではないようだ。色々話と合致するけどな。

更にこの石像、俺にむわんむわんと光属性魔力を叩きつけてくるのだが、残念ながら俺は人間なので効かない。というか意識しないと感じ取れない。


(それにしても、寛容、勤勉か………。)


まんま七つの美徳である。というか、七つの大罪関連があるのにこれ関係ないとか言えるのだろうか。絶対何かがある。

つまりだ、俺が現在調査中の『勤勉なる遣い』はサタンのおっさんと何かしら関連がある存在、という説が濃厚になってくる。


(色々きな臭くなって来たなぁ………。)


なんとはなしに石像に素手で撫でる。

直後。


「ッ!?」


一気に光属性魔力が流れ込んできた。

思わず手を離すが、他に何か変わった様子もない。俺の魔力量が増えた訳でもない。


「何があったんだ………?」


恐る恐るもう一度手を触れるが、反応はなし。

全くもって、意味がわからない。あれか、フラグ回収された後のオブジェクトか。これはリアルだぞ。


「よし、これは帰るしかないな、うん。」


薄気味悪くなってきた俺は、自分にそう言い聞かせて帰ることにした。


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