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373話 Aランクの出張 

「えっ、俺達好きな依頼受けられないの………?」


Aランク初の依頼に来た俺達は、グランさんによって衝撃の事実を突きつけられた。


「別にだめってわけじゃねえんだがよ。」


グランさんはバツが悪そうに一呼吸おいた。


「Aランクでもねえとどうにもならないような依頼ってのが大量にあるんだわ。今は魔王軍のせいでそれが加速しててよ。Aランクになったからには受けてもらわなきゃこっちも困るってことで半強制なんだ。」


確かにAランクの方々が忙しそうにしている姿は死ぬほど見ている。


「んな事言われてもな、俺達は戦闘能力そのものは今までのAランクの方々と比べられるとかなり見劣りするぞ。あまり安定してないし。」


俺達はピーキー×3の構成で無理やりバランス取ってるからなぁ。


「それは俺もわかってる。だから、ちゃんと俺も吟味してみたんだわ。」


そう言って出したのは一枚の依頼書。


「おい、これあれだろ、レークスにいっぱいいたぐちゃぐちゃ巨人だろ。」


「しかも3体な。」


「殺すぞ。」


何故俺達は両断されても復活するデカブツ3体を相手にしなけりゃならんのだ。

こっちは火力一人盾一人よくわかんないの一人だぞ。


「いや、なにもただぶつかって倒して来いなんてことは言わねえよ。ちゃんとデータが有るんだ。」


そう言ってグランさんはべつの報告書を取り出す。


「なるほど、光属性魔力を直接核に打ち込めば再生は止まるのか。」


「たまには勇者も役に立つってわけだな。巨人の全身を包み込むほどの光属性魔法を打ってゴリ押しした時に判明したらしい。」


「ファッキン脳筋って感じだ………。というか、それなら『天翼』アレクだせよ。ゴリ押しならそっちだろ。」


「あいつは今フル稼働だよ。それでも足りないくらい数が多いんだわ。材料が人間の死体ってのが嫌すぎる。魔王軍の進行によって死体なら腐るほど生まれてるからな。実際腐ってっけど。」


「俺の『リュミエール・シーカー』は巨人に通らんぞ。」


「前聞いたわ。まあギルなら十分両断できるって判断だ。その隙に魔腕を叩き込めば大丈夫だろ。

最悪『エクスカリバー』でも叩き込めば殺せるだろ。」


俺の肩が死んじゃう。ただでさえ脱臼しすぎて肩に癖ついてんのに。


「あとな、どんどん巨人が増えてるせいで除去してかねえと人の暮らしが厳しくなってくる。今回も出現したのはちょっとした村の近くなんだが、早めに処理しないとこの村は潰れちまうだろうな。」


なるほど、どんどん話は深刻になっている。


「ってか、この村って馬車でも1週間位かからねえか。」


「そうだな、まあ対策はちゃんとあるんだ。ついてこい。」


グランさんはそう言いながらギルド直営の厩舎に向かう。


「リムさんはいるか?」


「丁度来たところですよ。」


「それはいい。」


グランさんは受付とぱっと話をした後、ずかずかと中に入っていく。


「ちょ、グランさんいいの!?」


「大丈夫大丈夫。それより早く来い。」


グランさんがそのまま部屋の中に入っていくので、それを追いかける。

それにしても凄く馬の臭いがする。こっちでは移動手段が馬ばかりなので慣れたが、前世なら鼻をつまんでただろうな。

そんなことを考えながら部屋に入った俺は、唖然とした。


「え………あれ………?なんだこれ………。」


「魔獣よ。頭が三個ある馬がどこにいる。」


「なんじゃそりゃ。そもそもこいつら主食人間だろ。」


魔獣を飼いならすなんて話聞いたことないぞ。しかもなんか3つの頭が白目むきながら涎垂らしてるんだがこいつマジで大丈夫か。鼻息も荒いぞ。


「大丈夫だ、基本的に冒険者の遺体食わせてるからな。」


「イタルペナはダントツで死者少ないしそもそも大体そういうのは身内に引き取られるだろ。」


「そうだ…からな………ちょっと………なんというか………イタルペナに滞在中のこいつは………。」


「「「BUHIIIIIIIIII!!!!!!!」」」


「あっこれやばいやつだ………。」


「ま、そのためのリムさんよ。」


そう言ってグランさんはニコニコのおっさんを紹介。


「Aランクチーム『魔獣協会』のヒュドラホース担当のリムです。」


「あ、よろしくお願いします。」


「『魔獣協会』は各々持っている神獣の加護を使って魔獣を冒険者ギルドのために利用してるチームなんだぜ。」


「はえー、あいつらに狩る狩られる以外の役割があったとはな………。」


「ただし、人数が少ないのでAランク専用です。」


「Aランクは回転を早くするために移動時間を短くしなきゃならんからな。さあ乗った乗った。今からなら早けりゃ1日で着くぜ。」


「そんなに速いのこいつ!?」


走るジェットコースターかよ。

俺はビクビクしながら馬車に乗った。

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