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363話 対魔王軍作戦 7

「「まずい………ッ!」」


二人のSランクが同時に叫ぶ。

そんな二人の視線は、ロイドを地中より丸呑みにしたドラゴンに集中していた。

全長200メートルはある四つ足のバケモノは満足げに喉を動かし、続いて全身から漆黒の炎を吹き出す。


「総員、突撃用意!これ以上何かさせる前にぶっ殺すぞ!


「「「おう!!!!!」」」


ロイドという高性能な回復職(ヒーラー)を失った今、『最強の魔法使い』の頭から『できるだけ生存させて勝つ』という言葉は吹っ飛んだ。

代わりに出てきたのは「如何に早く目の前のデカブツを殺すか」という難題。


(まずは情報が必要………!)


だが、難題であるからこそ『最強の魔法使い』は基本を見失わない。冒険者の基本は情報収集。


「おい、ヤツの魔力はどうなっている!あの漆黒の炎はなんだ!」


直ぐ側に居る優秀な水属性魔法の使い手に問うが、即答される。


「駄目です、どういうわけかあの漆黒の炎、『マジックサーチャー』を弾きます!」


「何………!?逆探知されたとしても見えないってことはないだろう!」


「だから、弾かれるんです(・・・・・・・)!あのドラゴンだけ映らないんです!」


「馬鹿な、『マジックサーチャー』だぞ!魔力でも弾いてるとでも言うのか!?なら『白弓』に『断焔縛呪』を撃たせろ!豪気を試せ!」


「ふぅーっはっはっは!久しぶりにご指名だ!ブチかましてみせよう!『断焔縛呪』!」


Aランク冒険者『白弓』が意気揚々と放った対火属性魔法の一矢が漆黒の炎へと突き刺さる。

『断焔縛呪』は炎へ突き立つなりその漆黒の炎を飲み込まんと広がる。

だが。


「まるで効いていないぞ!」


「何ッ!私の全力だぞ!」


【黙れ、矮小なる者共よ。】


一言も発していなかったドラゴンが、ここで話し始める。


「ほう、高位なだけあって知能はあるみたいだな。」


『最強の魔法使い』が感心しながらも冷や汗を流す。知能があるドラゴン、というのは総じて戦闘力が高い。更に、こちらの作戦や罠を見抜いてくる可能性が高いため、危険度が跳ね上がるのだ。


「おーう、どうした、魔王軍に見捨てられてぼっちでここまで来たか?」

「ぎゃはははははは!俺達はお前のママじゃねえよ!はーい、大丈夫でチュカ~?ママが守って上げマチュからね~。ぎゃははははははは!!!!」


だがしかし、その程度で怖気づく冒険者ではない。

寧ろ知能があるならば挑発して我を忘れさせてやろうくらいの意気だ。

いくら知能があるとはいえ、キレたら大体の奴らはある程度理性がぶっ飛ぶ。

本能に任せた者たちと日々戦っているのだから、そうなれば冒険者は強い。

敵のパターンを読み切り安全に狩る、というのは冒険者になれば最初に学ぶことだ。


【………哀れだ。我が力との格差すらわからないとは。】


だが、ドラゴンは挑発に乗らない。それどころか憐れみだす始末。


【ならば貴様ら人間でもわかるように教えてやろう。

我は火の五大獣(・・・・・)邪竜ニーズヘッグ(・・・・・・・・)である………!】


















「『マジックガード』!」


丸呑みにされた俺は、一先ず落下を防ぐために足元に足場を作る。


「ぐえっ!」


当然痛い。結構な距離を落下したしなぁ。

とりあえず真っ暗で何も見えないのでガンガン明かりをつける。


「ほえ………ギリッギリじゃねえか………。」


俺の3メートル下はすでに胃液が煙を出していた。我ながらしぶとい。対面したらこいついつ死んでくれるんだ………?と思うタイプだろう。


「それにしてもでけえな、胃袋。」


大型フェリー並みの大きさをしているのだから当たり前とも言えるが、胃袋が体育館レベルにデカイ。

さて、マルカジリされなかったお陰でいい感じに生き延びることが出来た。

多分あっちは俺がまだ生きていると気づいていないだろうから、『リュミエール・シーカー』はやめておこう。俺がダイレクトに丸呑みされたのは恐らく『リュミエール・シーカー』が逆探知されたからだ。


という訳で、第一目標をこっそり脱出に設定。できれば身体の中で暴れてダメージを与えたいが、下で凶悪な胃液様がタプンタプンしているので下手に刺激を与えたくない。なんか刺激してめっちゃ胃液作ります!ってされたらスンマソン!って言いながら死ぬしかなくなる。


しかし、ドラゴンと言うからには絶対ブレスを吐くだろう。しかも火属性である。これでブレスを吐かなかったらワイバーンか疑う。

つまり、俺のこのへっぼい移動速度でこの巨体を移動するのだから相応に時間がかかる。これで喉元を通った時にブレスを吐かれたら防ぎようがない。ドラゴンの口内でブレスを喰らうなんて直撃も直撃だ。『セイクリッドガード』で耐えれるわけがない。


つまり、普通に脱出するのは難しい。

かと言って優しく胃袋をナデナデした感じでもめちゃくちゃ硬い。俺の火力でそう簡単に突破できるとは思えない。『エクスカリバー』は代償があまりにでかすぎるしなぁ。


だが、これは腐っても胃袋。構造に他の生物と大差はないと信じたい。羊とかみたいに胃が4個ありますとかだったらどうしようもないけどな。

つまり………あれ(・・)だ。あれ(・・)を引き起こせば楽々帰還できるはず………!


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