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357話 対魔王軍作戦 1

翌日、俺が構築中という前線を見に行ってみると、想像以上にすごい光景が広がっていた。


「5番の高台が魔力切れだ!ってか終わんねえ!」

「こっちも大体おねんねなんだわ!」


見覚えがある冒険者達と、全然知らないおっさん達が怒号を張り上げながら建築中だ。

トランシーバーが如何に偉大かわかるね。終わる頃にはみんな声枯れてるんじゃないか?

そして、流石異世界というべきか、防衛機構もみんな土属性魔法によるものである。

と言っても大体魔法か弓矢打つための高台だけどな。俺の知識があれば砲台でも備え付けるんだが………悪用されるからいいや。


ちょろちょろとそんな喧騒の中を散歩していると、紙に何やら書き込んでいたおっさんと目が合う。


「お、もしかしてロイド君かい?」


「そうだけど、そういうおっさんは何者?」


俺は知らんぞ………。記憶力にはそこそこ自信があるんだけど。


「いやー、ここの指揮を取らせてもらってる者なんだけどね?どうも仕事量が多いせいかみんなすぐダウンしちゃうんだよ。そこで光属性魔力に頼れたらなんてなぁ……って思うんだけど。」


「お安い御用だ。」


「助かるよ!」


そういうことなら俺も呼んでくれりゃあよかったのに。俺はものづくりはそこそこ好きなんだ………昨日変なことしてたからか?ギルマスをもう一回地面に埋め込みたい。


「で、設計図とかは………。」


「あ、それは全部同じ形で作るから他のを真似してくれればいいよ。あとやることは全部中にいる人が指示してくれるはずさ。」


「ほーう。」


なるほどな、人手は殆どが冒険者のようだし、土木作業に慣れてなくても単純作業で済むようにしている訳だ。こうやってちゃんと考えて動いている人がいるとわかるとこっちも安心だ。


「じゃあ、5番ってどこだ?」


「なんだ、聞いてたのかい。あそこだよ、妙に進行が遅いだろう?」


確かに一つだけまだ土台をやってるのがあるな。


「なるほど、確かに遅い。」


「状況が中々に切羽詰まっているだけに私も焦ってたところでね。頼んだよ。」


「おう、頼まれた。」


もう何がおきるかわからないからなぁ………。準備は早めにしておいたほうがいい。うん。

5番まで飛んでいき、明らかに冒険者じゃない人に挨拶する。


「こんにちは。助っ人で来ました。」


「お?見ない顔ってことはあっちの冒険者だな?丁度人手が足りてなかったんだわ。今土台ができてなくてな、見たらパターンがわかるだろうから、それにそって岩を積み上げていってくれ。」


「了解。」


実際外に出てみると、非常にシンプルな造りだということがわかった。他のものと造りは同じと言っていたし、完成形は周りにあるもの、と考えていいだろう。

因みに高台は素木造りの岩バージョン、的なものだ。『アース・ホール』が変幻自在だからこそできる方法だろう。ミスってもここまで来てる冒険者ならただの岩くらい切り落としたりできるし。

残念ながら俺以外だれもいないが、一気に集中すれば片付くと思う。


(さて、やりますか。)
















太陽が頭上に上ってきた頃、俺が完成した高台の上で保存食をパクついていた。

まさか自分ひとりでやるハメになるとは思わなかった。俺にとってはあまり実感が沸かないが魔力切れというのは中々に回復に時間がかかるらしい。そして他の終わったチームも俺が一人で猛スピードで建ててるのを見て帰っていった。悲しい。

更には完成したんだから普通に街で飯食えばよかったじゃん、という気づきが圧倒的絶望のフルコンボを叩き出し、俺は一人で完全に撃沈した。


「あああああああ………。」

「どうしたの、お肉咥えながら頭抱えて。」

「えっ。」


顔をあげて後ろを向くと、困惑顔のシュウがいた。


「なんでもいいけど、早く向かわないとそろそろギルドのみんなが怒るよ?」


「どういうこっちゃ。」


どこに向かうっていうんだ………?


「やっぱり聞いてなかった………。偵察組が魔王軍を発見したらしいから、今広場で作戦概要を説明してるんだよ。」


「ちょっと待て、聞いてないぞ。」


「ここにいた冒険者たちが言った、って言ってたよ?」


もしかして俺の仕事を見て帰っていった奴らか………?確かに言われてみればなんか言ってたような気がするぞ………。じゃああれか、あいつらがいなくなったのってその会のためだったのか。

……………。


「ああああああああちくしょおおおおおおお!!!!!!いくぞシュウ!ひとっ飛びだ!」


「落ち込んだり叫んだり忙しいね………。」


「今もめちゃくちゃ落ち込んでるよおおおお!!!!!!」


叫んで紛らわしてるだけだッッ!!!



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