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345話 スラム街制圧作戦 3

「お、お前ら何者だ!?」


突然20人で現れた俺達を見て、懐かしい基地の前に立つ少年は言った。


「ここのリーダーはいるか?」


だがあえてそれを無視し、俺は尋ねた。何にせよリーダーさえいれば話は通じるのだ。

しかし、目の前の少年は違う方向で受け取ってしまったらしい。


「う、うちのリーダーに何をする気だ!?」


「ちょっと待って別にそういうのじゃないんだ。俺達はみんなリーダーに世話になったんだよ。で、今回彼に頼みたいことがあってきたってだけだ。」


「そんなの信じられるか!せめて自分の愛称(ニックネーム)くらい言え………!」


愛称(ニックネーム)

懐かしい言葉だ。当時はんなもんどうでもいいだろ、と思ってたけどな。例えばシュウの様に元々貴族でこっちに来たとか、そういうのも踏まえた配慮だったわけだ。貴族は家名があるし。


「ロイド、だ。」


「ほれ見ろやっぱり嘘じゃないか!」


「ええ!?」


俺という存在は虚飾にまみれていた………!?なんだそのクト○ルフにいそうな存在。


「ロイドっつったらここに居た人で一番の有名人じゃないか!知ってる名前がそれしか無くてでっち上げたな!?」


「本人なんだけど………。」


「じゃあ光属性魔法使えよ!本人なら使えるんだろ!?」


「『セイクリッドガード』!」


そこまで言うのならばドヤ顔で使うよ俺は。

使われた方はめっちゃぽかんとしている。なんだろう、この充実感。


「リ………リーダー!ヤバイ集団が来たぁッ!!!!!!」


オイ待てその言い方だと宗教勧誘かなんかみたいだろ。
















「久しぶりだな、お前ら。変わってなくて何よりなんだが………何用だ?」


開幕殺意ガンガンである。ねえ、ここの人殺意に溢れ過ぎじゃない………溢れてたわ。今俺の後ろにいる人全員殺意に溢れてたわ。


「厄介事のプレゼントだよ。」


「おめえ、うちは昔から変わってねえんだぞ。寧ろお前がいた頃が最盛期だ。」


つまりは余裕がねえ、帰れって話だろう。だが、しっかりと対価もあるのだ。ここで引き下がる訳にはいかない。


「金も就職先も引取先もある。」


そう言って俺はじゃらりと金を収納袋から出した。


「………マジ?」


「まじまじ。俺もBランクになったけど、それ以上に発明の方で儲けまくってんだよ。」


「なるほどな、内容にもよるがただの悪い話ってわけでも無さそうだな。後ろにも懐かしい顔ぶれが揃っているが、協力者ってことでいいんだな?」


「ああ。正直に言えばこの街全体の危機だからな。だからこそスポンサード・バイ冒険者ギルドでもある。」


「いいじゃねえか、危ない橋を渡るのはキャラじゃねえが、最近はつまんねえ状況が続いてたからな。中にはいれ。」


「うわぁ、懐かしいなぁ。」


先生だけが呑気に言ってるが、他のメンツは緊張している。絶対初見のフレンズがいるからな。こわーい!

階段を降りると、リーダーが号令をかける。


「お前ら、大事なお話だ!よく聞けぇ!上手く行けばここからの生活を抜けられるらしいぞ!」


「えっ、ちょっ!?」


最後は逆に不安を煽るだろ、と思って声を上げたが、周りを見てそれを打ち消した。

こいつらの目は誰よりもリーダーを信頼しているってのを教えてくれた。


「ほらよ、今度はお前が話す番だ。」


やっぱりこのひとは、誰よりも自分を理解しているな、と思った。


「誰だこいつ、って目をしてるな。知ってる人も多いだろうが、俺はロイドという。」


知名度が高そうなので利用していく。俺が名乗るとざわざわ、となった。そんなにか。

場の流れを掴んだところで、一気に話すことにする。疑われても仕方がないような規模の話だからな。


「ついでに今俺の後ろにいるのも全員、リーダーに世話になった人達だ。

そんでもって俺らが何しに来たのか、っていうと、一言で言えばスラムの沈静化だ。」


リーダーも含めて、みんながぽかん、とする。


「捉えた魔族の捕虜から、魔王軍が二週間後にこの街を襲撃することがわかった。でもって、ここに大量の冒険者を入れるわけだが、ほぼ間違いなくこのスラムは何かしらちょっかいをかけるだろう。

そのせいで冒険者が十分な休息を取れないと、人類の存亡に関わっちまう。そこで俺達がここに派遣された。スラムにちょっかいを出させるな、とな。無茶な話だとは思うが、やるしかない、というところだ。」


ここで、リーダーが横槍を入れる。


「理由はわかった。確かにそりゃ大事だ。だが、この場にいる全員を合わせても50に行かない。しかも殆どがガキだ。そんなんでどうやってこのスラムを沈静化するんだ?」


「そこは正直考え中なんだが、スラムの上層部を殺せば内乱に持ち込めるんじゃないか、と思っている。」


それを聞いたリーダーが腕組をして少し考える。


「………キルトにでも言われたか?」


「わかるのか。」


「あいつが最も好みそうなことだ。実際に可能性は一番高そうだしな。」


「一旦この路線で考えるだけしてみようと思うんだが、どう思う?」


俺的にはあまり好きではないけどな。


「………そうだな、一考する価値は間違いなくある。

よしお前ら、今日は夜更かしするぞ!時間は有限だ!」


さて、掴みは上々だな。

色々俺の残したもので気になることもあるが、今は後回しにしておこう。


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