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33話 俺氏、友達を手に入れる。




「これから第5回取り締まり対策会議を始めるぞ!

今言ったように、内容は取り締まりについてだ。寝るなよ!死ぬぞ!」


「「「ういーす!」」」


もう5回目なんだ、この会議。

ていうか「寝るなよ」と鬼気迫る表情で言われると笑いそうになるんだが。



「今年も例年通り3,4人一組でやって貰う。

今日の目的はこの組作りだ。何のことかわからない奴は誰かに聞け!

じゃあ、組づくり始め!」


いや、わからん。何故複数人で集まるんだ!?

クルトに聞こうと思ったが、見当たらない。

他に知っている人物は皆組みづくりに忙しくて俺のことなんかかまってられないだろう。


まあ、いいや。

俺多分結構有名だし、誰かが誘ってくれるだろう。その時に聞けば良いや。

俺は、誰かが誘ってくれるのを待つことにした。












「そんなふうに思っていた時期が俺にもありました。」


全っ然誘われねえ。

なんか意図的避けられているような…………。

周りを見ると、同じような人が沢山いる。何でだ?うーん。


あれ?ちょっと待てよ?今避けられてる人って魔力が多い人だな。

いや、俺は少ないんだけど魔力回復量がパナイから魔法バンバン使いまくっているおかげで魔力が多いと勘違いされているのかもしれない。


その瞬間、閃いた。

原因は『マジックサーチャー』だ!

『マジックサーチャー』は魔力が多い人ほど強く反応する。

要するに、魔力の多い人と一緒にいると警備兵の『マジックサーチャー』で

即バレしちゃうってわけか。

魔力多いのも難儀なものだな、て


「皆、待て!俺そんなに魔力多くないから!てか少ない方だから!

勘違いしないでくれよ!」


思わず叫ぶ。

何人かがこちらを振り向いたが、「何言ってんだこいつ嘘つくな」

みたいな表情で無視された。クソッ!


と落ち込んだのもつかの間。

3人の少年が俺のもとにやってきた。3人共5、6歳かな?


「ちょっと待って!?今の本当!?君が?『小さな天才』と呼ばれる君が!?」


3人のうち身長が一番高い少年が聞いてくる。


「勿論だ。俺は魔力量が多いんじゃなくて光属性のお陰で魔力回復量が

ヤバイだけ。『マジックサーチャー』を凝縮しないと解らないレベルだ。」


「そうだったのか………。そうだ。なら出来れば僕らのグループに入って欲しいんだけど。いいかな?」


「いいのか!?是非ともこちらからお願いしたいくらいだよ!」


「おおお!ギル、シュウ、いいよね?」


後の二人に確認をとっている。

身長が一番低いのがシュウで、何故か体中を覆っているのがギルか。

よし、覚えた。


「いいんじゃね?」


フードの中からギルが言った。


「オッケーだと思う。」


シュウは何やら嬉しそうな顔で言った。


「誘ってくれてありがとう。俺はロイドな。属性は水、土、風、光。

これでも色々できるから。よろしくな。あ、後4歳だから」


今までは皆年上だったから「僕」だったけど、ほぼ同年代だから「俺」

でいいかな。ていうかそこの君、身長は?m9(^Д^)プギャーとか言わない。

俺のガラスのハートに亀裂が走るだろ。ぐはっ。


「俺はフィル。得意なことはないけど、一応7歳でここでは最年長だね。

よろしく。」


「僕はシュウ。5歳。多分ギルの世話係になってる。」


「シュウお前何言ってんだよ!ま、いっか。ホントのことだし。

俺はギルな!勘が滅茶苦茶いいから困ったときは俺に聞けよ!

後、5歳で種族は―――ふがっ!何すんだよシュウ!」


「言うなっていつも言ってるでしょ!?ちょっとは注意してよ!」


「あ、ワリイワリイ。」


はひ!?種族がそんなにヤバイやつだったのか?コイツ。

ていうか勘がいいってどういうことだよ。

色々突っ込みどころがありすぎるわ。


「いや、流れがつかめない!どういうこと?おーい。フィルー。説明してくれー。」


「えーっと、シュウ?言っちゃっていいかな?多分この人なら気にしなさそうなんだけど。」


「いや確かに気にしなさそうですけどね?はぁ。もういいですよ、言っちゃって。どうなっても知りませんが。」


「おーい。皆ー。俺の声届いているか?おーい。」


「!?あ、うん。ごめん、ちょっと色々あってさ。

ロイド、これから言うことは誰にも言わないでくれる?」


「何かわからんがいいよ。誰にも言わない。」


「えっとね、ギルは亞人なんだ。」


へー。亞人か。確か人間と仲が悪くて南の方にすんでるんだよな。

偶に突然変異みたいので人間から生まれるって先生が言ってたけど、

そんな感じなのだろうか。


「わかった。それだけか?」


「それだけ!?凄いな。大物はやっぱり違うのか…………。」


「いや、普通だろ。別に亞人だからギルが悪いやつ、てわけでもないし。」


人種が違うからあーだこーだなんて言うほど無駄なことはない。

地球でもそんなことで戦争が起きて人が死んでいるんだし。


「じゃ、このフード外してもいいな!」


ギルが清々しく言った。


「駄目だから!ロイドの前ではオーケーだけど、こんなに人が居るのにとっちゃ駄目だから!」


「シュウはうっせえなぁ。ちまちまし過ぎなんだよ。」


「お前に常識さえあれば僕はこんなにならなかったよ…………。」


もうフィルは「いつものことか」という顔をしている。

そうか、いつもこいつらはこんなノリなのか。


「はは……………。騒がしい奴らだな…………。」




ロイドは、友達を得た!テテテテン!




「そういえば、何で取り締まりの時には複数人で集まるんだ?」


友達を得た喜びに流されて忘れる所だった。


「え、知らないで俺らと組んだの?」


「そうだな。ただ、もし組を組むのが無意味なんだったら今頃は組と言うもの自体がなくなってただろ?此処は生きるため以外の物はなくなっていくし。」


いわばあれだな、ダーウィンの「種の起源」みたいな感じか。


「いや、言ってることがよくわかんなかったんだけど、

とりあえず何で組を作るか説明するよ。

まず、確かに単独行動したほうが逃げやすいのは確かだよ。

ただ、警備兵がホントあちこちにいるんだ。ねえ、警備兵って何人いると思う?」


「さあ。多くても100人位か?」


「ブブー。倍だよ。約200人。そんな人数がスラムで警備するんだ。

まあ、逃げられないだろ。

けど、4人くらいいれば俺らは警備兵の動きを止めることが出来るんだ。

魔法があればもっと良い。例えば、さっきも言ったけどギルは亞人だ。

しかもなんか凶暴なやつっぽい。だからすんごい力がある。

警備兵なんて本当に腹パン一発でぶっ飛ばすかもね。

要するに、単独行動だとすぐ見つかるから団体行動で警備兵を

ぶっ飛ばしながら行こう!てことだね。」


「なるへそ。よくわかった。

あと、質問なんだが、5年前の取り締まりの時3人は何をやっていたんだ?」


「その時は運良くシュウとギルが此処に来ていなかった。

というか、シュウが捨てられたのって2年前だよ?知らないと思うけど。」


「じゃあフィルはどうしてたんだ?」


「俺は2歳だったから。魔法で作られた穴に放り投げられた。

俺は偶々助かったけどな。他に放り投げられた奴のうち生きていたのは

俺含めて二人だけ。穴の中でうずくまるのは良くないよ。」


「つーことは俺らは普通に逃げなきゃならないってことか…………。

よし、煙玉大量に作ってくるぜ。」


そこでシュウが食いついてきた。


「そうだ!ロイドって煙玉の製作者なんだよね!作り方教えてもらえないかなぁ?」


そう来るか。でもあれ魔法無いといけないし、原子記号があーだこーだとかめんどいしな。さっき『マジックサーチャー』で見た限りは3人共魔力がなかったし。


「すまん、あれ魔力がないと4年ほど掛かる。

暇があったら作り方は教えるから後はどうにかしてくれ。」


因みに4年掛かるのは本当。硝酸カリウムを作るのに3年かかるから。


「作り方は教えてくれるのか!楽しみだなぁ!」


め、目が輝いている!

なんかヤバイ。前世の科学部と同じ臭いがする。

早々に食い止めなければ。俺も暴走しちゃうかもしれない。


「と、とりあえず地図とかはないのか?色々覚えとかないと不便だろう?」


「いや、俺らが普段何やっているか忘れたのか?孤児だぜ、孤児。

裏道ぐらい覚えて…てお前あれか、農園組か。

まあ安心しろって!困ったときは俺の勘が導くからよ!」


ギルに言われても全く安心できねえ。てか勘に頼るってどうなんだろうか。

よくわからん。


「でも、ギルの勘は意外と鋭いよ!前なんか「今から店長が俺らを捕まえにきそうな気がする」て行ったら本当に来たしね!」


はい?どんな勘だよ。てかそれって勘か?


「そういえば、2年前の不作の時も「今年は不作だな」て春に言ってたんだけど、本当にあたったしね。」


「それってもう勘の壁を超えてないか?」


「俺もそう思う。」


「僕も同意。」


「確かにな。ハッハッハ!」


フィル、シュウ、ギルの順だ。

てかギル、お前が笑ってどうする。


「本当にわけわかんないやつだな………。

それにしても何でフィルとシュウは捨てられたんだ?」


「俺は物心ついた時にはもう此処に居たからわかんないな。」


「僕はあまり話したくない事情があるから。あんまし触れないで。」


「あ、ごめんごめん。

ちょっと話題を変えよう。今日は俺の基地で過ごしてくれないか?

煙玉も作りたいし、幾つか聞きたいこともある。」


「勿論!元々行かせてもらうつもりだったから。

俺は平凡だけど、ギルとシュウはちょっと非凡なところがある。

それについても話したいし。」


「シュウもなんかあるのか。楽しみだな。」


「と言っても凄くくだらない事だけどね。まあ、あとで話すよ。」


「という訳でロイドの基地に行こうよ。

ほら、もう他の人も帰っていってるし。」


「そうだな、行こうか。一応『ウィンド・ブースト』はかけとくよ。」


「そうか、ロイドは風属性も持ってたんだよな。

逃げるのに便利そうだ。」


「あと姿を見えなくする魔法もあるぜ。自作だけど。」


「はああああ!?自作!?どんだけだよ!」


「姿を見えなくするって最強だろ!ロイドを誘っておいてよかった、と思うことランキング一位だね!」


「なんだろう、俺だけ平凡なのが悲しい……。」


「どんまいっ!」


お前(ギル)だけには言われたくねえええ!」



ほんと賑やかだな。

ロイド「身長ください。」

サンタ「もうクリスマス過ぎたよ。」

ロイド「クリスマスだったら貰えたのかよ!」

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