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337話 ラーク攻略

俺達の方まで煙がもくもくと上がり始めた頃。


(やっとか。)


ついに、敵方の上位魔族も動き出した。

見覚えのあるスライムも居る。大きさも出会った当初と同じだ。再生早くねえか。


そんな中、一人が俺に狙いを定めるのがわかる。魔法は届かないだろうが、奴らの移動は一瞬だ。俺は『セイクリッドガード』を唱える準備をする。


そして、直後。


「案外ちっこいじゃねえか。」

「『セイクリッドガード』!」


強大な魔力を纏った爪が、『セイクリッドガード』に突き刺さる。

よし、かかった(・・・・)


「ゴフッ!?」


魔石に総勢300人の魔力を叩き込まれ、目の前の魔族が落ちる。


「おまけだおまけ。」


落ちてく身体にダイナマイトを叩きつけてトドメ。


「え、エグいな………。」


「こちとら死にかけてんじゃ。殺しに来るやつは全力でぶっ殺すのが礼儀だろ。」


なんか軽く言ってはいるが、これで世界でもかなり上位の存在を屠ったことになる。

魔道具の通信先のニヤニヤした笑みが容易に想像できるぜ。


一瞬の攻防で如何に不利か悟ったのか、あちらは警戒はしつつもこちらに登ってこない。

その間にも焼夷弾の嵐は止まらず、遂には散々苦しめられたあのビッグな巨人まで燃え始める始末。ビッグな巨人ってなんだ。


「いやっほおおおおおおい!燃えろ燃えろ!」


こうなるともう楽しい。敵が指くわえてみてるだけってのがいいね。

真っ白な街を覆う壁の中で、炎と腐臭と煙特有の嫌な匂いが混じりあうこのカオス。


「すごい………!これなら今までの魔王軍の戦略すべてを攻略できるのではないか………?」


「実際、ほとんど穴はねえな。俺が死なない限りだが………。」


俺がそういった直後。横に居た男がぶっ飛ぶ。いや、取り込まれる(・・・・・・)


「………え?」


「フォッフォッフォッフォッフォッ!!!!!!!」


非常に聞き覚えのある声。

振り向くと、妙に礼儀正しくお辞儀をされた。


「お久し振りです少年ブフォオォ!?」


そして魔石にダイレクトアタックを食らって落ちていった。

よくわからんが落ちていったので、ありがたく追撃。


(ありゃ。)


ブリン、と身体を引きちぎって躱される。ちぎれた方はヘキサニトロヘキサアザイソウルチタンに跡形もなく焼き尽くされた。取り込まれた男もボロンと出てきたので魔手で回収。


「チッ………。」

「ありがとう、助かった!」


うざいから完璧に抹消しようと思ったんだけどな。

前使ってきた能力を使ってこない辺り、もしかしたらあの戦いで幾つか能力を喪失したのかもしれない。

大分ボコしたからなぁ。


と俺が呑気に飛んでいると、不意に下から受ける圧力が倍になった。


「「…………ッ!」」


気づいた俺とカラスの女性で身構える。

直後、強大な魔力の群れが俺達目掛けて急上昇を始める。


「上がるぞ!」


流石にこんなものを真正面から受ける気はないので、『リュミエール・シーカー』の範囲内に留めつつも高度を上げての逃走。

魔石に魔力を打ち込まれてボンボン脱落していく中、不穏な魔力を纏うものが一人。


(光と、闇!?)


その魔力の指定先はわかっている。俺の、目の前。


「――――――――ッ!」


青い青空が広がっていたはずの空に、紫の異物が現れる。

大きさは成人男性3人分と言った所か。形状は、丸で繭。


――――――――バリッ。


「何か来るぞ!」


隣の男が吠えるやいなや、繭から魔族が二人飛び出してくる。


「うるうおおおおおおおお!!!!!!」

「しぃねえええええええええ!!!!!!」


ザク、と腹が裂かれる。直ぐ様『ヘイレン』で治すが。


「ひいいいいい!!!!!」


周りも恐慌状態。くそ、俺一人が良かったとは言わねえが流石に庇いきれんぞ!


(くそ………ありゃもしかして空間転移か?)


俺の生存を最優先にシフトした脳みそが、更なる脅威に対抗すべく分析を開始する。


「総員、落ち着いて私のもとに集まれ!敵はまだ二人、固まればある程度は凌げるはずだ!」


あちらにも優秀な冒険者がいるようで、指示を出してくれる。

ぶっちゃけて言えば、奴らは『リュミエール・シーカー』の共有している俺を殺すのが狙い。

変に拡散して進路を邪魔するほうが危険だ。


とはいえ、それでは俺が死んでしまう。なので、ここで切り札を使う。


「『黒雷』!」

「「ぎゃあああああッ!」」


チャージショットをぶち当て、俺は全力で逃げる。


「うおおおおおおお!!!!!!」


ある程度距離が空いたところでいざ振り返ってみると、二人共ダイレクトアタックを食らって落下中だ。

ふう、助かった。


なんて考えて滞空モードに移動していると、目の前を魔族が落ちていった。

びっくりこいた俺だったが、虚ろな目で彼が何事かを呟いているのを俺は見逃さなかった。


「あの女………俺達を捨て駒にしやがったな………殺してやる………!」


そういえば。


(魔族って普通に話せるし、尋問できるよな………?)


俺はもう一度急降下を始めた。

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