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335話 魔王軍偵察 2

「――――という訳で、こちらの『鼠の傭兵』というパーティと組ませてもらうことになった。」


「おお、よろしく!」


『鼠の傭兵』は、4人構成だった。

マッチョなおじさんと、猫の亜人と、メガネを付けた冴えないおっさんと、土竜の亜人。


俺と握手を交わしたのは身体のマッチョなおじさんだろう。


「紹介しよう。俺がオッレルス。このパーティの戦闘担当だ。『マジックサーチャー』も使える。猫野郎がメアで、こいつは手先が器用だ。メガネがリック。目が良くなる加護を持っている。このもぐらがネルで鼻が物凄く効く。」


「本当に斥候専門って感じだな。こっちのパーティは、俺がロイド。光属性魔法が使えるから、隠密索敵なんでもできる。こっちがギル。筋肉馬鹿だが戦闘中は勘が冴え渡る加護持ちだ。最後がシュウで防御担当。一応少し土属性魔法を使える。」


「闘技祭で見たまんまだな。わかった、じゃあ早速話し合いと行こうや。」


森のなかで7人で地べたに座り、地図を眺める。


「一応、俺の魔法でわかったアンデッドの分布がある。」


まず最初に、昨日メモした地図を見せる。


「「「……………ッ!」」」


4人全員の目が全開になる。


「………マジか、一応ネルも腐臭が酷すぎると入っていたが………。」


「ここまでとは思いませんでした。」


「こんなところに突入する勇気は俺にはない。」


「当たり前だ、こんな所いけるか!」


だが、全員心の奥底ではわかっている。

ここで得られる情報が人類を左右するかもしれないのだ。手ぶらでは帰れない。


「ううむ、鳥の亜人さえいれば飛んで上から見れるんだけどな………。」


「一応俺も飛べるんだが、俺の目の届く高度だと多分撃ち落とされる。」


「そういえばバリバリ飛んでたな、闘技祭で。」


ここまで言った所で、ギル以外の皆がハッ、となった。

ギルはぼけーっとしている。


「俺がリックさんを抱えて飛べば良いのか………!」


「おおっ、すげえ!ロイド頭いいな!」


その理屈だとお前以外皆天才だ。


「リック、行けるよな?」


「任せてください。」


「後は俺が抱えて飛べるか、だな。リックさん、身体を楽にしてくれ。」


両腕に魔手装甲を纏い、リックさんをヒョイ、と持ち上げる。


「見かけによらず力持ちなんだな。」


「魔力で強化してんだ。じゃあ………ホイッ!」


ジャンプと『ウィンド・ロール』で一気に魔翼をはためかせる。


(………うげっ!)


だが、あえなく墜落。浮かび上がることが出来ない。


「ダメだ………重い。離陸が出来ねえ。」


「いや………すみません、鍛えてまして………。」


そうだよな、いくら斥候専門でも身体は鍛えるよな………。


「ロイド、離陸が出来ないなら『弾壁』を使えば良いんじゃない?」


「それだ、流石シュウ!早速出してくれ。」


シュウに『弾壁』を出してもらい、それに二人で乗る。


「では、私が『跳躍』を使います。」


「よし、いくぞ!」


俺がリックさんを抱きかかえる。


「『跳躍』!」


「おげえッ!?」


『跳躍』したリックさんの身体は、俺を強打しつつもしっかりと俺を空まで持ち上げた。


「だ、大丈夫ですか!?」


「なんとか………。」


『ヘイレン』で早めに回復しておく。

そして高度を絶対魔法の届かない位置まで持っていく。


「こっからでも見えるか?」


「少し試してみますね。」


そういうと、リックさんはメガネを外して街を見下ろす。なるほど、遠視用の眼鏡か。


「見えます、くっきり見えます。」


「マジか!ならこれにメモってくれ!」


地図を渡すと、サラサラと書き込まれていく。

ふむ、中央がやはり空いているな。

リックさんが書き終えるなり、空中で俺は体勢を変える。


「リックさん、少し揺れるぜ。」


グイン、と身体を捻じ曲げる。

そして、捻り出すように身体をシュート。


「ふおおっ!」


ジェットコースター並の落下に、思わずリックさんが声を上げる。

肝心の俺は何をしていたかというと、『リュミエール・シーカー』による探知だ。

振り子のように動くことで、一瞬街の中心を『リュミエール・シーカー』の中に入れることに成功した。


(なるほどな、覚えたぞ――――――ッ!)


強力な輩が6人くらい居る。魔力量くらいしかわからないが、基本的にあいつら以外は雑魚アンデッドと考えるといい情報なのではないだろうか。忘れない内に書き込んでおこう。


「死ぬかと思いました………。」


「でもそれに見合った情報は手に入ったぜ。お、みんな手を振ってる。呑気だなぁ………。」


サァ、と着陸し偵察結果の書き込まれた地図を渡す。


「うっほお、まじかよこりゃあすげえぞ!」


オッレルスさんの鼻息が荒くなる。


「やっぱ、こんだけやれば十分かね?」


少し期待して聞いてみたのだが、返事はあまり芳しくはなかった。


「いや、どうだろうな………。俺達からすれば最大限の成果だが、あっちが納得するかどうか………。」


ううむ、ギルドにおける偵察、てのはモンスター相手なら戦って弱点とかを探ってまでだからなぁ。


「………皆さん、これは最早戦争だと私は思うんです。」


「ん?どういうことだ?」


「戦争では、敵の数を確認できるだけでもかなり情報的には優位に立てると思います。それに、ロイドくんが魔力量まで測ってきてくれたのですから、上も文句もないとは思いますよ。」


リックさんの言葉を反芻する。


「ん………確かにそうだな。そもそもグランさんも死なないことを優先しろと言っていたし。」


「なら帰ろうぜ!」


「これ以上ここに留まると逆に俺達の居場所がバレて危ういかもしれないしな。そうと決まればさっさと撤収しよう。」


「「「了解!」」」


オッレルスさんの号令で、俺達は荷物をまとめ始めた。


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