331話 はぐれオーガ探し
さて、捜索タイムだ。こういうとき、俺の『リュミエール・シーカー』と魔翼は頭がおかしい性能を発揮してくれる。
(魔翼展開、『リュミエール・シーカー』!)
5メートルと言っていたが、それなら周りの木より少し高い計算になる。それなら空から見たほうが早い。
山を一周すれば大体見つかるだろう。
そう考えるとギルとシュウには回って貰う必要はなかったか………?二人には悪いことをしたかもな。この森の中をかき分けるってのは案外体力がいる。
ってな感じで飛び回ること3時間。
(いねぇ……………。)
鹿は狩った。できれば柔らかいし子鹿が良かったんだが、まあ無理は言わない。
だが肝心のオーガがいない。確かに山はでかいし、一周するのにも30分はかかる。けどもう5週目だ。
「5回全部すれ違った………としたらそのオーガ移動速度とんでもねえぞ。」
というかだ、よくよく考えたらそんなことをしたら木の一本や二本は倒れる。そんなことがあれば、3人の内誰かは気づくはずだ。
ということはつまり。
「シエスタ………?」
速報。オーガはスペイン人。んな訳あるか。まずあいつら眠る必要ないだろ。
うーむ、考えを改める必要があるな。時間は………そろそろ12時。丁度いい頃合いだし昼飯にしよう。一旦落ち着いて考える必要がある。
狼煙をひょろひょろーと打ち上げる。追加で2発。
ひょろひょろー、ひょろひょろー。
3分位で二人が全力疾走してきた。早いな。
「ロイド、どこに居るんだ!?」
「いや、見当たらん。上から見たんだけどな。そこで昼飯がてら作戦会議だ。」
「そうだね、お腹がいっぱいになれば何か思いつくかもしれない。」
「考えるのは任せた!俺は食う係をするからな!」
「そうか、なら焼け。」
「アイアイサー!」
「でっかいね。肉付きがよさそうだ。」
「俺は子鹿が良かったけどな。腹は膨れそうだ。」
さて、もう一回作戦会議だ。
「よし、食った食った!」
「意外と味付けが上手くてびっくりした。なんかやってたのか?」
「先輩冒険者が教えてくれたんだよ。王都の本部には一杯凄い人がいたからね。」
強者は飯も美味いのか。
「うーん、俺はそんなことを教えてくれないジジイだったからな………。
じゃ、ここで一旦纏めるぞ。
何故オーガが見当たらないかだが………
1.寝てる。
2.何かしらの擬態系能力。
3.つちのなかにいる。
4.実はそんなに大きくなかった。
これ以外になんかあるか?」
「まずこの山から移動していた。は?」
「確かにありえるな。けど、今その線を知らべるのはあんまし意味が無い。まず、この山にいるかどうかを探すのが先決だ。」
俺達の目標は確実にはぐれオーガを殺すこと、だ。
確かに他の山に移った可能性もあるが、そのはぐれオーガがどういう生態をしているのかわからない以上俺達がやるべきは今この山を色んな方法で調べることだ。この山にまだいる気はするんだけどな………。
「じゃあ、俺らがロイド担いでいけば良いんじゃね?」
「はい?」
「だって、敵土の中にいるかもしれないし、擬態してるかもしれないんだろ?だったら『リュミエール・シーカー』が一番便利じゃねえか。」
「俺を担いでいく必要性………ああ、体力か。ギルのくせにいっぱしに考えおったな。」
「俺だってたまには考える!」
「確かにロイド体力ないよね。森の中でずっと走れる?」
「できなくはない。というか、『マジックガード』があるぞ?」
「あれはおせえ。ちょっと俺に乗ってみ?」
「お、おう。」
ギルにおぶってもらう。
「よーし!………いやっほおおおおおおう!」
「ゔおおおおおおおお!!!?????」
こいつくっそはやい!?ってかなにあいつらこんなスピードで山ん中駆け回ってたの!?そりゃすぐここまで来るわ!
超スピードでギルはそのまま周りを一周。元の位置に戻ってきた。
「どうだ?」
「確かに速い。やばい。一瞬死ぬかと思った。
これで行こうと思うから、お前らの体力が切れない程度におぶって行ってくれ。」
「「了解!!」
二人は頷くと、俺を御輿を担ぐように担ぎ上げた。
(俺は丸太かなんかか!?)
「しゅっぱーつしんこーう!」
「ゔぉえええええええええ!!!!!!!!」
わっしょいわっしょい、と俺が運ばれていく。
(傍から見たらなんかの宗教だって思われるぞ………。)
なんか釈然としない物があるが………仕事はするか………。
 




