329話 闘技祭 16
『じゃ、表彰式をやるぞ!ベスト4まで集まれー!居るんだろ?』
マジか、俺も表彰されるのか。なら観客席に態々いかせんでもよかっただろ………ま、気分は良かったが。
魔翼を展開し、観客席を滑空して闘技場にダイブ。レーフェさんも風魔法で降りてくる。
3位と書かれた土台が2つあったので、左の方に立つ。
『トロフィーの贈呈!心して受け取れい!』
銅色のトロフィーを渡された。周りの人が上に掲げているので俺も掲げてみる。意外と重いな………。
『優勝!『剣聖』レオニス!お子さんに見せてやんなそのトロフィー!』
『準優勝!『紅槍』メッシュ!次回は優勝だな!頑張れよ!』
『同立3位!『一射通滅』レーファ!お前の戦い方は見てて面白いしよ、また参加頼むぜ!』
『同じく3位!『不死身』ロイド!荒ぶったなお前は!3位おめでとう!』
『それじゃ、全員拍手!』
凄い量の拍手が鳴り響く。
『これにて闘技祭は終了!みんなありがとう!』
司会がみんなの前で手を振って、この間に俺達はそそくさと退場。
俺達は控室へと集まる。
何故かわからないが、大量に闘技祭の上位勢が集まっていた。
「さてだ諸君、後はわかるな。」
『剣聖』が語りかけると周りが黙って頷く。
え、なんなん?
「「「行くぞ!!!!!」」」
肩を組まれる。待て。俺はお前らマッチョ共に肩を組まれると浮く。足がつかん。
(肩痛え………。)
横を見ればギルとシュウも同じ状態だ。何故ギルは楽しそうなんだ。
俺達は、そのまま居酒屋へと連行される。
「おう、今年も来たか!どんどん飲んでけ!今日は奢りだ!」
出迎えるのは歯が輝く居酒屋のおっさんだ。
「さっすがおっちゃんわかってるぅ!」
あまり事態を理解していない俺に、『紅槍』さんが耳打ちをしてくれる。
「ここの親父は強い人が大好きでな、こうやって何かしらの催しがあるとその上位陣はタダで飲み食いさせてくれるってんで、こうやって集まっているんだ。」
「なるほど、いい話だな。」
「お、小僧三人組じゃねえか。見てたぜ、全員良かったなぁ!ほれ搾りたてジュースだ!上手いぞ!」
そう言ってオレンジジュースをくれた。ギルは酒飲むけどな、最近。
うん、フレッシュだ。まんまオレンジって感じ。
「うんめえなぁ!」
「だねー。」
「レオニスさんよ、今度『燕返し』、教えてくんねえか?」
「あれは難しいぞ。実践で使えるようになるなら半年は覚悟しな。」
「え、マジ?」
「お前がまさか上がってくるとは思わなかったわ!」
「よくいうぜ、俺はお前が上がってきたことのほうがびっくりだよ!」
みんなそれぞれ楽しそうに話してるなぁ………。
「お、3位のロイドくんじゃあねえか。あのやっばーい姿はなんだったんだ?」
「あ、俺もそれ気になってたんだよな!」
と思っていたら、俺の周りにもわらわら集まってきた。
「お前ら、五大獣は知ってるよな?あれのうち雷を司る真祖吸血鬼が今左腕に封印されてんだ。」
「「「うそだろ!?」」」
更に左手の紋章を見せると、ペタペタと触ってきた。
「うっわすげえ、仄かに光ってるぞ!」
「まじでいたんだ五大獣!」
ついでにパリッと『黒雷』を出す。
「「「おおお!」」」
「魔力反応が一味違うなぁ!おもしれえ。」
「でもこれなしでも3位だろ?子供なのに強えなぁ………いいなぁ………。」
「おい、酒が進んでるぞ。」
「うめえなぁ………安いエールのくせにうんめえなぁ………。」
酒が進むと面倒くさくなるタイプの人らしい。
この人は………3回戦敗退だったかな。十分強いと思うが。
「それじゃ、みんな酒が入ってきた所で!恒例の腕相撲大会やるぞ!」
「「「おおッッッッッ!!!!!」」」
「さっきくじを作ったから、これを二枚引いて当たった人同士で勝負な!金もかけるぞ!ただし豪気は禁止な!」
「「「よぉし!」」」
「じゃあまずは一試合目!トンクとレーファ!」
途端、どっと笑いが起きる。
どどどどうした?
「よりにもよってレーファかよ!」
「いよっ!3位サマ!」
いつも無言でクールなはずのレーファさんが青ざめている。
「じゃ、俺トンクで!」
「俺も!」
「あっずりいぞ俺もトンクで!」
「レーファ0人かよ!賭けになんねえ!!!!!!」
シ○ムかな。
「じゃあほらふたりとも来て!行くぞ!よーいスタート!」
「ふんぬ!」
「いっ………!?」
レーファさんが瞬殺された。
「おいレーファ弱えぞ!」
「三位返上だな!」
散々な言われように思わずレーファさんが涙ぐんでる。
「あーつまんねーレーファつまんねーわー。じゃ、次な!………あ、ロイドとニックだ。」
「え゛っ。」
「おいニック!わかってんだろうな!相手は3位だからな!これは負けちゃうよな!」
「子供に負けて一回戦敗退したからってここで本気だすなよ!」
「俺ロイドに賭ける!」
「俺も!」
「俺も俺も!」
「同じ3位なのにこの差はなんだ………!?」
ニックさんと俺が樽の上で手を組む。高さが届かんな。魔手で土台作ろう。
よーし。いっちょやってやる。
「よーい、スタート!」
「ソイヤ!」
「!?」
魔腕装甲で一気に決める。
「ヒャッホウ!ニックあいつまじでやって負けたぞ今!」
「おいおい、『隆々』の名は返上だな!今日から『貧弱』って名乗れ!」
「やーい『貧弱』ニック!その筋肉はハリボテか?」
「………魔法って有りなのか?」
「豪気じゃないからセーフ!」
「次!………おいおいうっそだろ神試合来るぞ!レオニスとメッシュだ!決勝戦の続きかお前ら!?」
「俺レオニス。」
「俺はメッシュな。」
「俺も絶対メッシュが勝つと思うわ。」
「甘いなぁ、この勝負レオニスの勝ちだって。」
「よーし、じゃあスタート!」
合図と同時に、二人の筋肉がめちゃくちゃ盛り上がる。すんごい筋肉。血管が浮き出るとか漫画かよ。
「お、メッシュ押してる!良いぞ!」
「そのまま押しきれぇ!」
二人は顔を真っ赤にしながら崩し合う。なんで腕相撲なのに重心とかのやり取りしてんだ………?
「お、メッシュ押し切った!」
「よっしゃ!ほれ見たことか1万メルな!」
「ちっくしょう!ほらよ!」
このどんちゃん騒ぎは、朝になるまで続いた。




