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328話 闘技祭 15

『決勝戦!遂にきたぞ、強者どもの終着点!第31回闘技祭において頂点を決めるこの試合!盛り上がること間違いなしだ!上がらなくなるまで腕を振るえ!出なくなるまで声を出せ!そしてこの試合をみれることを涙を流して喜べ!いいな!』


「「「うおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」


サインを書きながら俺も叫ぶ。


『さてここで二人のプロフィールを紹介していこう!『剣聖』レオニス!僅か17歳にして『剣聖』の名を受け継いだ天才!帝国軍の2師団をたった一人で壊滅に追い込んだ実力は未だに語り継がれてるぜ!そんな『剣聖』も今年で32歳!可愛い嫁さんを貰って早速お子さんが生まれたらしいぜ!ちくしょう、羨ましいなぁ………。え、お子さんが見に来てるって?これは負けられねえなぁパパさんよ!』


闘技場は野球場のように魔道具で大型スクリーンが映し出されるのだが、そこに可愛い赤ちゃんが映し出される。うわ、これ負けたら恥ずかしいなぁ………。


『続いて『紅槍』メッシュ!闘技祭ファンならみんな知ってるんじゃないか?闘技祭が開催されるとギルドに拝み倒して出場させて貰っているAランク冒険者!そして毎回上位をかっさらっていく!去年は自己最高の2位をマーク!今年は初の優勝なるか!?今年で29歳!武器はその冷静な判断力、パワー!技術において未だ誰も寄せ付けない『剣聖』の膝に土をつけることは出来るだろうか!?」


あっ、人と戦うの好きなんだ………。まあ、対人戦は面白いよな。俺もモン○ンとかF○よりもポ○モンとかL○Lの方が好きだ。ああ、久しぶりにゲームしてえなぁ………。


『さて、二人には同時に入場してもらおう!拍手と喝采で迎えろよお前ら?

それじゃ、両選手の入場!』


わああああああ、と一気に観客性が再び沸く。

うわあ、『剣聖』レオニスの強者感すげえなぁ。俺そのままだったらあの人と戦ってたのか………勝てる気しねえな。多分対面した瞬間剣圧で死を覚悟しちゃうわ。

『紅槍』さんは………あまり圧倒的な感じはしないんだよな。戦い始めると獣のように荒れ狂う感じ。なんにせよ俺じゃ逆立ちしても勝てねえな………。


『それじゃあ、両者武器を構えて!』


『剣聖』はスラリとして長剣を。『紅槍』さんは無骨な槍を構える。


『よーい、始め!』


開始と同時に、両者が一気に右方向に走る。

敵の利き手側の右側ではなく、左から攻めようとした結果だろう。


「『砂礫』!」


『剣聖』レオニスが剣で地面を斬り砂を豪気で固めた礫を飛ばす。


「『紅蓮車輪』!」


対して『紅槍』さんは槍を回して弾き、弾き終えるとまだ回っている槍で地面を漕ぐことで『剣聖』に向かって加速。


「『牙炎突』!」


「『スラッシュ』」


速度の乗った強力な突きを、しゃがんでの『スラッシュ』の足払いによって無効化する。


「『クレアスティング』!」


続いての膝の屈伸を活かした突き。これを『紅槍』さんは石突きで力任せに大地に叩きつける。

が、ここで『剣聖』の投げた暗器の短剣が『紅槍』の頬を掠める。


『あぁっとぉ!ここまで無傷で潜り抜けてきた『紅槍』メッシュ選手に初のダメージだ!』


頬から血を流した『紅槍』さんは、ここで一旦距離を取る。

続いて軽く頬に手を当てるが………。


(まぁ、そりゃ付けてるよな。)


多分、毒でも塗られていたのだろう。『紅槍』さんが体の調子を確かめるように右腕を回す。

毒が効いたことを確信した『剣聖』さんは、ここから一気に攻勢にでる。


「『ギルティスラッシュ』!『フェンビート』!」


「『紅蓮大車輪』!」


流れるように出る6連撃を、なんとか捌こうとする『紅槍』さん。

だが。


「………ッ!」

「『グランドフック』!」


一瞬痺れによって生まれた隙を縫うように『剣聖』の長剣から生まれる豪気のフックが槍を掠め取らんとする。


「『グングニル』!」


だが、間一髪で槍に必中にして手元に帰ってくる豪気を付与する。


「『シンクスラッシュ』!」


必中の付与が付いた槍を無理矢理大地に叩きつけて慣性を打ち消すが、槍はすぐに『紅槍』さんの手元に戻ってしまう。


「『グレイスラスト』!『牙炎突』!『フェイタルスラスト』!『紅魔針通閃』!」

「『エイラムスラッシュ』!『燕返し』!『乾坤一閃』!」


そこから先は技の出し合い。槍の持つリーチの分『紅槍』さんが有利だが、それをすべて持ち前の技術で捌き、それだけでなくカウンターまでする『剣聖』。


だが、この技の応酬はお互いの肉体だけでなく、武器にまで負担が及んでいた。


――――――――ピキ………!


先に『剣聖』の長剣が悲鳴を上げる。それを聞き取った『剣聖』は、一瞬で長剣を取り替える。

だが、『紅槍』さんはそんな隙を逃すような男では決してない。


「『炎渦忌龍紅覇撃』!ハァァッ!」


必殺の燃え上がるような豪気が槍に纏わりつく。


「『主神の天剣ソード・オブ・テュール』ッ!!!!」


それを咄嗟の技で迎え撃つ『剣聖』。

バチバチ、と最大級の威力がぶつかり合い、押し込まれている『剣聖』の足元からはビキビキと大地の割れる音がする。

無尽蔵の体力同士がぶつかったことでこの鍔迫り合いはどちらかが負けるまで続くと思われたが………下手をすればAランクのモンスターですら一撃で飛びかねない威力に、やはり武器が耐えられなかった。


――――――――パキン。


今度は『紅槍』さんの槍から。

大事な穂先が消えたことで、『剣聖』レオニスの剣が『紅槍』さんに迫る。

ここで、『紅槍』さんが槍を手放した。そして拳を握り込む。


「『天上天下血炎の掌』!」


ズプリ、と両者の左胸から音が鳴る。

ほぼ同時に二人が光の粒子へと変換されていった。

だが………あれは…………。


『これは………勝者!『剣聖』レオニス!第31回闘技祭の優勝は『剣聖』レオニス選手!みんな。二人の最高の勝負を拍手で讃えてくれ!』


闘技場が万雷の拍手で埋め尽くされた。


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