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327話 闘技祭 14

棄権扱いとなった俺は、控室ではなく観客席でみなければ行けない。

という訳で、観客席へと向かった訳だが………。


「席、ねえな。」


馬鹿でかい闘技場が満席である。

というか、立ってみている人もかなり多い。疲れるな………。

よし、『マジックガード』に座るか。


『さてさてさてさてェ!準決勝!注目の決勝に進むのはどちらか!みんなのド肝を抜いちまったロイド選手が棄権となり、『剣聖』レオニスが決勝進出確定となったが………この試合の勝者が『剣聖』と殴り合うってわけだな!それじゃあ、入場していただこう!

赤コーナー!唯一の弓での参加!この大会開くたびに変なのが上位行くの何なの!?その細い腕から放たれているとは思えない強力な一射は数々の強者を一撃で葬ってきたぞ!というか剣閃をひらりひらりと躱して至近距離から射つとか絶対それ弓じゃなくていいよな!?『一射通滅』レーファ!』


モン○ンの弓みたいだな。ブ○ドー拡散弓は正直神だと思ってる。


『青コーナー!正統派で助かるぜ!毎回上位にランクイン!前回は準優勝を果たした男!あれから4年立つが、更に腕を磨いてくれたようだ!今年こそは優勝なるか!?『紅槍』メッシュ!』


『紅槍』さんか。俺達のBランク昇格試験の審査官だった人だ。

司会の言うとおり、かなりの正統派。単純に力が強くて、速くて、正確っていう感じだ。


二人はどちらも無言で集中している。あの領域まで達すると軽口など叩かないのだろう。


『両者、武器を構えて!そんじゃ、始め!』


『紅槍』さんが開始とともに駆け出す。対して、レーファさんは後退しながらの連射。


「『クイックドロー』!」


開始僅か2秒のうちに、合計6本もの矢が放たれる。


「ハァッ!」


それらを纏めて薙ぎ払う『紅槍』。


「『炎爆衝』!」


続いて、息もつかせぬ石突き。

石突きといえども、豪気を纏っているので殺傷力は抜群。俺なら四散爆散するだろう。


だが、それをヒラリ、と躱す。


「風魔法か。『風闘法』に似ているな。」


こっちは敵の勢いを殺すためだが、あちらは逆に反動で距離を取っている。


(成る程、そういう使い方もできるわけだ………。)


火力を出すためにインファイトをせざるを得ないことが多い俺だが、ギル達の援護に回るならああいうのも悪くない。


ヒラリと石突きをかわしたレーファさんだったが、『紅槍』さんの槍はそんな悠長な動きを許さない。


「『牙炎突』!」


連続で繰り出される炎の如き豪気を纏った槍。同じような戦法を使う者としてわかるが、槍に対して『風闘法』は物凄く相性が悪い。

従って、自分を吹き飛ばすしかなくなる。


「『ヴェイン・ショット』!」


しかし、ただで転ばないのは流石というべきか。

連続突きをする『紅槍』さんの脳天目掛けた強力な一射。

それを『紅槍』さんは前に(・・)躱す。


――――――――ブウウン。


地面に突き立った矢が闘技場に虚しく響く中、前転での勢いを利用した加速を『紅槍』さんが見せる。


「『炎渦忌龍紅覇撃』!」


ギルも使っていた技だ。だが、ギルのそれとは運用法が全く違う。

『紅槍』さんは、それを投げた。


「『グングニル』!」


必中の豪気を付与。


(あっ………。)

「………ッ!」


えげつないコンボだ。こんなの、対処のしようがない。ほぼ必中、かつクソ威力だ。

槍が、レーファさんを呆気無く飲み込む。


光の粒子が舞う。


『勝者、『紅槍』メッシュ!決勝戦に進むのはこの男だァァァァァァ!!!!!』


「おおおおおおおおお!つえええええええ!!!!!」


観客席が沸く理由もわかる気がする。

文字通り命がけの戦いで勝敗が決まるこの熱さよ。


さて、次で決勝戦………と言う所で、俺は自分に視線が集まってるのに気がついた。


「もしかしてだけどよ、お前『不死身(イモータル)』のロイドか?」


近くの席に座っているおっさんが問う。


「あ、ああ。そうだけど………?」


おお、と周りがどよめいた。

注目されるようなことしたか………?したな、バリバリしてたわ。


「なぁ、ちょっと試合をしてた本人から見てどんな感じだったか教えてくれよ?」

「それより、あのまるで吸血鬼のような姿はなんですか?学者として物凄く気になるのですが。」

「サインくれ。」

「あ、俺も。」

「俺も俺も!」


わらわらと人が集まってきた。なんだ、案外吸血鬼もみんなそこまで気にしてないじゃないか。化物を見るような目で見られても仕方がないくらいには考えていたけど………。


「よーし、ちょっとまってくれ。サインならいくらでも書くぞ。じゃあ書きながら話すかな。まずは一試合目なんだけど、試合前の控室でこんなやり取りがあったんだ――――――――」


こうやって注目されるのも悪くはないな。


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