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326話 闘技祭 13

試合が終わると、俺は速攻で別の部屋に移された。


「お前の方はちゃんと制御できていそうだったが………観客がビビるものでな。ついでに詳しく教えてくれないか。」


取調室的な場所で、俺はグランさんに事情聴取を受けていた。


「どうやら、真祖吸血鬼は戦闘狂だったらしい。戦わせてくれと言ってきたから、交代した。」


「そうか………強いやつはバトルジャンキーが多いからな。だが、中々にまともそうな男じゃないか?少なくともしっかり観客を守ってくれたぞ。」


「誠意ある男だったな。」


「だが………あとはわかるな?」


まぁ、察してるけど。


「アリエルと同じだろ………?闇属性ってのは悪夢の象徴だしな………。」


「流石にわかってんな。世間の闇属性の扱いってのはやっぱり色々ある。実際、闇属性魔力の持ち主なんてだいったいがロクなことしねえしよ。」


「アリエル、この先大丈夫か………?」


「あの女は見た目が良い上に丁寧だしな………。ま、単純な男冒険者の心を鷲掴みにしてる節もあるし、問題はねえだろ。今ん所なんかやばいことをしているわけではねえし………ま、お前らみたく監視は付くんだがな。」


中身男なのを言ったらどうなるんだろうか。いや、なんとかなりそうだな。


「何はともあれ、ここで終わり、か。」


「ま、お前は悪くない。『無双神機』の皆様方が対処できたとはいえ、その場で観客に怪我人が出るのを防止した奴を責められるやつはいねえ。

あと、完全にこっちの案件なんだが、お前がしっかりと制御できていることが分かった分、お前の監視を解くことになった。喜べ。」


「お、マジか。これで自由に動けるな。」


「あと、お前があの力を完全に制御できるならお前をAランクに推薦する声も出ているんだが………。

あれ、何か問題点とかないのか?神話の力だし、身体にも負担が掛かりそうな感じがプンプンするぜ。」


「何ていうんだろうな、魔力を振るうたびに血が狂うんだ(・・・・)。あの時は4度しか魔法を使わなかったし、真祖吸血鬼も殆どウェポン・マジックで処理してくれた。だから、吐血で済んだが………。

まず、借り物の力でAランクになるなんておこがましいぜ。俺は辞退する。」


「そうか、なんとなくだがお前なら断りそうな気はしていたんだ。

でもな、お前はこの闘技祭でもベスト4なんだぜ?しかもAランクを軽々と打ち倒したギル、『天翼』アレクを倒して、だ。元世界最強だって倒したしな。あまり過小評価をする必要はない。

魔力量だとか体力だとかそういうのでハンデは抱えてるけどな、もう少し頑張れば誰にでも誇れるAランク冒険者になれるはずなんだ。」


グランさんが何時になく熱く語る。この人はAランク目前で引退したからなぁ………。


「別に俺は自分を過小評価はしてない。だけど、俺は対人戦でも捨て身の戦いになっちまったり、そもそも対人だからこそ誤魔化されてるけど、火力が足りていない。

Aランクともなれば高位のモンスターや魔獣を相手にするんだろうけど、俺にその相手が務まるとは思えないな。」


「じゃ、また『イレギュラーオルフェン』全員での昇格を狙う感じの方が良さそうだな。」


「そうだな………やっぱり、シュウが耐えて俺が回復と妨害をしてギルが殴るのが一番だ。あいつら予想以上に強くなっていたしな。」


「なら、ガンガン高位モンスターを狩っていってくれよ?魔王軍が活発になったせいで強力な奴らも増えてきているんだ。」


「そういえば、ここ最近魔王軍の動きを聞かないな。」


「『レークス』の要塞化を進めているそうだ。実際、あの街はこの世界の中心に近いせいで結構な脅威なんだが………最近、教会、というよりは勇者とこっちがうまくいってないのは知ってるだろ?そのせいで中々攻め込めずに指を加えて待つしかないってわけだ。

『無双神機』を始めとしたチームを組んでみても良いんだが、やっぱり聖剣の存在は魔物に対して相性が抜群にいいからな。勇者無しであまり事を進めたくない。」


「本当に厄介だな、勇者様。」


ぶち転がして俺が聖剣担いで乗り込みたいわ。


「でもな、一応代替案はあったんだぜ。

実は、代わりに光属性を持つ『天翼』アレクを連れて行く予定だったんだ。」


「おう、連れていけばいいじゃねえか。」


「お前に負けて今自信喪失中だよ。あのヤバいやつについても聞きたいんだが、落ち込んで何も話さねえ。どうしてくれる。」


「そんな奴じゃどっちみち魔王軍には突っ込めなかっただろ。と、俺は言い訳しておく。」


「事実そうだけどな。はぁ………なんで光属性を持っているやつってお互いにいざこざが生まれんのかね?」


「俺が一番聞きたいわ。」


「そうだろうな………。お、遂に準決勝らしいぞ。みてくるか?」


「見たいなぁ。」


「よし、じゃあ事情聴取はこれで終わり。最後は雑談だったけどな。」


「どうも。仕事、頑張れよ。」


俺はそう言って、取調室を出た。


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