31話 リフレクトハイド(笑)
クリスマスよりポケバンク解禁で盛り上がってしまう自分を
虚しく感じました……………。orz
半年が経った。
が、身長が10cmも伸びたぞやったー、なんてことも起きるはずがなく。
俺は、毎日を過ごしていた。その毎日のほうが俺の場合非凡なんだが。
強いて言うならマッチ作りをしていることだろうか。
頭薬などの材料を完全に暗記していなかったのでロウを塗ったくってみようと
考えているが、蜜蝋の材料の蜂の巣はどう考えても土魔法じゃ作れない。
ということで、俺はここ半年暇を見つけては山に入って蜂の巣を探している。
現に今も山の中だ。
あ、そういえば言うのを忘れていたが、俺には即死レベルの毒以外効かない。
『アンチポイズン』さまさまだわ。
あと、この山は結構危険な方に分類される。
いつも集会に使っている山なのだが、今まで登山者と会ったこと無いな―と
疑問に思っていたら、何でもこの山は滅茶苦茶危ない山なのだそうだ。
じゃあこんな所でやるなよと言いたいが、他に場所がないのでどうしようもない。はぁ。
そんな他愛もないことを考えながら、俺は『マジックサーチャー』で近くにいる魔物を躱しながら蜂の巣を探している。
ついでに言うと熊の魔物も探している。
多分想像できると思うが、熊の魔物はよく蜂蜜をなめている。
こっそりバレないように熊の魔物の後ろに潜み、おこぼれを頂戴するのだ。
野良猫か俺は。
因みに、熊の魔物が見つかる確率は一週間に一回程度。
そう簡単には見つからない。
逆にすぐ見つかるなら俺らは集会中にホイホイ襲われているだろう。
それにしても早く蜂でも熊でも出てきてくんねえかなぁ。
はあ。ちょっと無理して『マジックサーチャー』の範囲広げよう。
『マジックサーチャー』を薄く広げる感覚で展開すると、見覚えのある魔力が目に入った。目じゃなくて脳が見てる感じだけど。
(あれは…………雷属性の仲間か!?)
確かヘイルって人だったはずだ。
こんな所で何やってんだろ。ちょっと声でも掛けてみるかな。
『ウィンド・ブースト』を掛けて俺は走った。
「本当だろうな?もし嘘をつくのなら容赦はしないぜ?」
「大真面目ですよ。『参謀のウィル』は居なくなりました。後は僕が皆を引き付けている間に攻め込んでください。
これがすべての拠点の位置を表した地図です。
成功した時はちゃんと報酬をくださいよ?」
「へっ。そんぐらいならお安いご用だ。ちゃんと金も渡して庶民待遇も受けさせてやるよ。どうすか?先輩?」
「ふむ。どうやら嘘はついていないようだ…………。信じても良いだろう。
少年よ、誰か他に危険人物はいるか?」
「最近妙なことをしている奴らのリストがこれです。」
「ふむ。ずいぶんと準備がいいな。これで今回の取り締まりは実り豊かなものになるだろう。」
「奢ってくださいよ?先輩!」
「ハッハッハ。良いだろう。思う存分飲ましてやる!」
………………………。
えー。こちらロイド、ただ今私は『皆の安全を第一に ネゴチオ警備兵』と
言う紋章をつけた男二人と我らが友であるはずだったヘイル氏の取引現場にいます。状況は我らにとって悪いといえるでしょう。
引き続き、観察を行いたいと思います。
以上、ロイドからでした。
って、やばくね!?何裏切ってくれちゃってるんだよ!
確かにこれはいいやり方だ。でもさ、少しは恩とか無いの?
やばいやばいやばいやばい。パニックパニックオイルパニック。
旗振ってるゲ◯ヲが見えるぜ。
逃げて報告しないと。
今なら何か3人で相談しているし逃げれる。
でも体が動かない。ヘタレなんだよ俺は!
そうだ。こんな時こそ…………。
(グラウンド・ブースト!)
ふう。落ち着いた。魔法やっぱり凄えわ。
さっきまで生まれたばかりの子鹿だった足が今は生まれた3時間経過の足になっていやがる。あれ、あんまり変わってない。
それよし早く逃げよう。出来るだけ見つからないように。
よし、いざというときのために研究しておいた魔法を使おう。
(リフレクトハイド!)
その瞬間俺の周りを水が覆い、俺の姿は見えなくなった。
フッフッフ。なにをやったかって?
『アクア・ムイ』を俺の体に触れさせたまま体に被せ、光の魔力球の光をうまく調節して光の屈折で姿を見えなくしたのだ。
変形魔法は直接触れて魔力さえ流していれば崩れない。
だからこの魔法が完成したのだ。
当然濡れない。俺の体には触れているので形が崩れないからな。
ヌルフフフフフフ。さあ見つけられるもんなら見つけてみろや!
ただし夜以外で。夜だと逆に光ってすぐバレる。
俺は無駄にハイテンションになりながら今起きた出来事を報告するために山
を降りていった。
「リーダー!伝令!伝令!」
「いきなりどうした。しかも超ハイテンションで。」
「ヘイルさんが裏切りました!いつかは分かりませんが取り締まりがあるそうです!で、彼はその手伝いをするだとか………。」
その瞬間俺はリーダーに胸ぐらをつかまれた。
「おい!それは本当か!?ちょっと事情を聞かせろ!」
「はいぃぃぃぃ。とりあえずこの手を離してくださいぃぃぃぃ。」
「あ、ワリイワリイ。」
――――――――――パッ。ドサッ。
「いっ…………!(はぁ。乱暴すぎるだろ……………。)
ええと、まずは――――――――――。」
事情を話し終えた俺は、ぐったりしてしまった。
蝋について話した時は「お前、蝋が作れるのか!?」と胸ぐらをつかまれ、
熊のおこぼれを貰っている話をすれば「危なすぎるだろ!?」と叱られ、
リフレクトハイドについては「何じゃそりゃあああああ!!!!」と絶叫されて、……………etc。
要するに、疲れたっつう訳だ。
そして俺をこんなにも疲れさせた張本人は何やら横で考えている。
まさに考える人のポーズだな。特に手が。
「まさかアイツが………。いやでもありえなくも無いか?
確かに……………。とりあえずああするか?となると………。(ブツブツ)」
きっとこの人の頭は今凄いことになっているのだろう。呪詛みたいだ。
と思ったら急に顔を上げた。
「よし、とりあえずヘイルが帰ってきたら捕まえよう。
その後ある奴の所に連れて行く。誰の所に連れて行くかはあとで教える。
今はヘイルが帰ってくるのを待とう。」
ある奴って誰だろう?まあ考えてもしょうがないか。
「はーい。」
――――――――――カチャ。
誰だ!?
「戻りました―。」
誰かなぁ、とドアの方向見た瞬間、俺はビクってしまった。
なんと、入ってきたのは今話題だったヘイルさんだったのだ。
口をぽかんと開けている俺に、リーダーが檄を飛ばす。
「今だ!ロイド!」
その言葉にハッとし、すぐさま概念魔法を使う。
(アース・ホール!)
―――――ボコッ。
「のわ!?痛えええ!」
「ヘイル、お前本当に裏切ったのか?」
突然浴びせかけられた言葉にヘイルさんは先程の俺と同じような顔をした。
が、
「な、何のことだ?」
「お前が警備兵たちと組もうとしている、という報告をさっき聞いてな。
どうする?キルトの所に今から連れて行くが。」
途中まで少し余裕を持っていたヘイルさんの顔がキルトという言葉を出された瞬間に少し怯えたような顔になった。何なんだ?キルトって。
人の名前ぽいけど。
「お、俺はそんなことは知らない!断じて知らない!信じてくれ!」
「わかった。キルトの所に一緒に来てくれたら信じるぜ。」
「わかった……………。行こう。」
捕まった泥棒のような顔になり、ヘイルさんは項垂れて基地を出て行くリーダーについて行った。あ、ちゃんと落とし穴から出したからね?俺が。
そうだ、俺も行こうっと。キルトというのが何なのか知らないし。
「着いたな。」
「いや、此処どうみてもスラムのど真ん中にしか見えないんですけど?」
「いんや。ここで合っている。
おーい。キルト―。いたら返事寄越せ―。」
いきなりリーダーが床に話しかけ始めた。遂に苦労が積み重なっておかしくなってしまわれたか。可哀想に。
なんて妄想をしていたら床が動き始めた。
「なっ!?」
そして、階段が出てきた。地下に続いているようだ。って、
(なんかお約束っぽい感じになってる…………!?
しかも隠し階段なんだろうけど周りのスラムの人ガン見してるから!)
ツッコみながら階段を下りた先にいたのは………。
「おひさ~。あれ、見ない子もいるねえ。誰かな~?
あ、因みに僕はキルト。よろしくね~。」
リーダーと同い年くらいの少年だった。
但しリーダーとは正反対のイメージを持ったがな。
思わずカゲロウデイズの小説を買ってしまった……………。
ああ、遠のく2台目3dsとネトゲ用PC………………。
じんさんが悪いんだ!曲が良すぎるからっ………………!