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319話 闘技祭 6

「え、俺勝ったの?脳漿撒き散らして死んだような気がしたんだけど。」


「そりゃワシの脳漿じゃ。因みに少年、お主の死因はワシが胸を半分ほどぶった切ったからじゃの。」


待機室的な所で復活して目覚めた俺だったが、そこで俺は自分が勝利したことを知った。

正直自分が死ぬこと前提の攻撃だったし、あまり良くない戦い方だったとは思う。


何にせよ、勝ったのなら良かった。


「確かに、脳漿撒き散らしたやつと身体に切り込み入れられただけのやつなら前者が先に死にそうだな。」


「そういうわけじゃ。ということで、三回戦進出おめでとう。」


「あ、そういえば三回戦の相手………。」


「安心せい。大事な大事な友人のほうが勝ち上がったようじゃぞ。ほっほ、これは楽しみじゃな。」


「そっか………良かった。」


あいつのためにかなり時間を費やしたんだ。

『セイクリッドガード』すら揺るがす腕力、、回復が追いつかない破壊力、俺の攻撃全てが通用しない第六感。

相性最悪の敵だ。これを死なない保証付きで全力で戦わせてくれる機会なんてそうそうねえ。


「やはり仲間、と言うのは良いもんじゃの………。」


「爺さん、そういえばどこでそんな槍術を?あんな腕を持ってるならどこかで有名になっててもおかしくないと思うんだが………。」


「ほっほっほ、ありゃ偽名じゃよ。」


そう言った所で、急に俺達のいる部屋の扉が開けられた。


「ウーロ様、どうして闘技祭になど!急にそんなことをされては困りますよ!」


「おっ、やっと見つけたようじゃな。」


「そんなのんきにしないでください!全く、おとなしそうに見えてハチャメチャなんですから……!」


「うむ、じゃが楽しい試合が出来た。いい卵も見つかったことだしの。」


そう言って視線を向けられた俺はと言うと、急展開すぎてテンパってた。


「えっと………とりあえず、その黒ずくめの人は?」


「ワシのお付きじゃな。因みに、フォウンというのは偽名じゃ。

本名はウーロ・フォン・シルガルフ。60年前はAランク最強の冒険者じゃよ。」


「え………、え………?」


「おー、やっぱりウーロのじっさんか!久しぶりだな。それにしても丸くなったもんだ。」


後ろからギルマスまで出てくる。


「おお、筋肉め、ピンピンしておるようで何よりじゃ。勇者に殺されかけたと聞いてこっちは肝を冷やしたのじゃぞ?」


「寧ろ合法的に仕事を休めたとも言える。」


その分グランさんたちにしわ寄せ行ってんだろうが働け。


二人はひとしきり笑った後、爺さんが黒尽くめに引っ張られる。


「それじゃ、頑張れよ。二人共。」


そう言って、爺さんはいなくなった。


「………で、今のは?」


「本人も言ってたろ。60年前、『鬼神』として恐れられた方だ。当時Sランクがいなかったこともあって、世界最強と言われていたんだぜ。今じゃよぼよぼになっちまってるが………。」


「え、それじゃ、俺は………。」


「誇れ、お前は元世界最強に勝ったんだぜ。」


そう言われると達成感がある。博打だったけど。


「所で、今の試合は?」


「さっき見た所では、知らねえと思うが赤コーナーの『雷帝』がかなり優勢だったな。

次の試合はシュウの試合だぜ、急いだほうが良いんじゃないのか?」


「そうか、サンキュ!」


シュウの相手は誰だっけか………。あ、そうだアリエルじゃね?
















『さて赤コーナー!扱うは盾と土属性!闘技祭では異色の組み合わせを持つこの男!あまりの防御力に昨日は対戦相手が泣いてしまったほどだ!全てを跳ね返せ!シュウ選手の入場!』


シュウは不安げに『封土の盾(スヴェル)』を持っている。

相手はあのアリエルだからな。


『続いて青コーナー!正確無比な剣術とその美貌で観客席の目を掴んで離さないぜ!学園が誇る魔法剣士にして最短Bランク到達者!『焔雷』アリエル選手だ!』


え、いつの間にあいつBランクなってたんだ………。

それにしても、流石の立ち振舞だ。元貴族だけあって堂々としている。

というかあいつ、闇属性多分見せてないよな。だったら俺に事情聴取の一つも入る。よく話すのも知られてるし。それで一回戦勝ち抜いてるのか………。


『それでは、スタートぉ!』


先に仕掛けたのはアリエル。

というか、シュウが先に仕掛けるわけがない。


「我が火よ、雷よ、集いて己が力を剣に示せ。『炎雷剣』!」


おお、まさか魔力を双剣にに纏えるようになるとは。

だが、それではだいぶ火力不足だ。


シュウは、振るわれたうちの片方を右手で掴む(・・・・・)


「我が土の力よ、集いて怨嗟の鉄骨を刺せ!『スチールボーン』!」

「あぐっ………!」


至近距離で放たれた魔法が、腹を直撃。アリエルは闘技場の上で跳ねる。

それにしても、魔法剣を素手で掴めるようになるってどういう防御力だそれ。


「はは………正直、そこまで硬いとは思いませんでしたよ。舐めてました。」


「光栄だよ。でも、僕にはこれしかないからね………。」


「そんな自虐的になられても………。『クローズ』『オープン』『フレイム・ブースト』

―――――――とりあえず、これでぶち抜かせてもらいますよ。その防御。」


双剣を仕舞い、代わりに取り出したのは無骨な大剣。それを、『フレイム・ブースト』の筋力増加で持って振り回す。


「『クラッシュ』!『クラッシュ』『クラッシュ』!」


三連続の斬撃。だが、それも。


「『ライト・フォートレス』!『カウンタークレイブ』!」


シュウは全くの無傷。どころかカウンターまで放っている。

最近、俺の仲間のチート化が著しい件。

だが、戦いの様子はその斜め上を行った。


「嘘………ですよね………!?」


「僕防御しか出来ないからさ………。」


一瞬、アリエルの表情が変わる。

あ、これ二人が何考えてるかわかる。

シュウとしては、大真面目に嘆いてる。けど、アリエルの方は………舐められてる、と感じたな。うん。


「『ダーク・ブースト(・・・・・・・・)』。」


(えっ。)

『えっ。』

「「「えっ………?」」」


禁忌の闇魔法ですか?ここで使っちゃいますか?勇者にマークされますよ?


「『アビスクラッシュ』!」

「え!?『ミスリル・フォートレス』うわああああああああ!?」


まさかの闇属性魔力を纏った大剣によって、シュウが葬り去られた。


『え、えーと………アリエル選手の勝利………?』


直後、職員さんに大人しく連行されていた。あいつ、偶にはっちゃけるよな………。



間に合いませんでした。申し訳ないです。

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