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318話 闘技祭 5

『おはよう諸君!素晴らしいことに、今日もさいっこうの快晴だ!それじゃあお前ら、準備はできてるか!?』


「「「おおおおおおおおおぉぉぉぅぅぅっっ!!!!!!」」」


『いい返事だ!それじゃあ早速試合をやっていこう!第一試合目は異色の組み合わせ!

まずは赤コーナー!見た目は死にかけジジイ!だがその腕はAランクも度肝を抜くぜ!フォウン選手!』


ゆっくりだが、その足取りは完全に強者のそれだ。

昨日の試合を見た者でこの男の見た目に惑わされるものはもういない。そう断言できる。


『続いて青コーナー!こちらも見た目はハナタレ小僧!だが空を飛んだり落とし穴に自分からはまったりとやりたい放題!最年少Bランク到達者!『不死身(イモータル)』ロイド選手!」


対して俺はガッチガチに緊張中。


(いかんいかん。)


伸びをして体の緊張を解す。集中だ集中。


「さて、やるとするかの。」


「爺さん、悪いが俺はがっちり対策をしてきたからな。覚悟してもらうぜ。」


「そりゃ………楽しみじゃな。」


一瞬、その瞳が好戦的な輝きを放つ。成る程、本性はそっちの(戦闘狂)の方ですか。


『両者やる気満々じゃねえか………これは楽しみだな!それじゃ、試合開始!』


開始の合図とともに、俺は『リフレクトハイド』で姿を消し、移動する。

それを見て、いや見えていないだろうが、爺さんは笑みを深める。


「ほぉ………よく見ておる。」


当たり(・・・)か。

少し変だと思っていたのだ。態々槍を投げる必要があるのか、と。

つまりあれだ、この『瞬身』は跳ぶ対象がないと跳べない、的なやつのようだ。もしかしたら制御が効かないってだけかもしれないが。それでも、跳べないということに変わりはない。


ここまでくれば俺の独壇場。魔手を展開し、ボコボコタイム。


「………じゃが、若いの。」


直後、その長槍が砂嵐を起こす。


(!!!!)


マズイ、見られた。砂嵐で位置がバレた。


「『瞬身』。」

「『セイクリッドガード』!」

「『五月雨豹閃』!」


一瞬の攻防だったが、俺の身体はその間に闘技場の壁に激突する。

結構な怪我を負ったが、『ヘイレン』ですぐに全快。

『ウィンド・ロール』で自分の周りに敢えて砂嵐を起こすことにより『瞬身』を無効化。

あ、これいいな。これなら詳しい場所はわからない。


『ロイド選手!砂嵐を身にまとい始めたぞ!?何をしているんだぁ!?』


『アース・ホール』で砂を水増ししているので、かなり広範囲に俺は砂嵐を纏っていることになる。

だが。それをみた爺さんに焦りの色は全く無い。


「何も、『瞬身』だけではないのじゃよ。」


そう呟くと、槍を携え突撃してくる。勿論俺は逃げる。


「『ストロム・ベルジュ』!」


序に水の刀の乱撃。全部躱されるが、魔力は余っているので問題ない。

だが、逆に言えばしっかり足止めができなかった。


「『ステップ』。」

「えっ。」


一歩で10メートル程を詰められる。

気づけば、爺さんが俺の真下(・・・・)にいた。


「『鎌鼬』!」


そう、俺の真下(・・・・)である。


「ロードローラーだッ!」

「ッ!!」


万が一のことを考えて『マジックガード』の上にいたのが功を称した。

という訳で、上から魔腕の持てる最大級の岩をD○Oばりのノリで落とす。ちょうど相手は槍を振り終えた所。これをそう簡単には避けられまい。


そう思った俺の目の前を槍が通り抜ける。


「ッッ!!!!」


――――――――――――ドン!!!!!!


一瞬焦ったが、ただの悪あがきだったようだ。俺がそう胸をなでおろすが、司会は試合終了のコールをしていない。

あれ?と思ったときには遅かった。


(しまった、『瞬身』!)


あれ(投げ槍)は悪あがきじゃない、脱出だった!


「ハァッ!」


空から振る突きから体を反らし、脳天をかち割られるのを防ぐ。

槍が勢い余ったおかげでかなり高い場所に飛んでいっていき、それでなんとか時間が稼げた。

だが、それは容易に俺の右腕を貫く。


「うぐっ………!」


だが、これならセーフだ。


「何ッ………!?」


『ストロムベルジュ』で自分の腕に切込みを入れ、槍を抜く。後は切断さえされていなければほぼ治る『ヘイレン』先輩の出番だ。

が。


「やべっ………!」


激痛で一瞬『マジックガード』の制御を手放してしまい、俺も転落。

その結果、今闘技場に居るのは体勢を立て直す爺さんと、受け身を取った俺。


(まず――――――――)


「『逸通』!」

「――――『セイクリッドガード』ォォォォォォ!」


サクッと俺の左胸を突いた槍。

だが、それは心臓を避けて俺の身体を貫く。


(間に、あった………ッ!)


心臓さえ守れれば、まだ動ける(・・・)ッ!


(頼むぞ魔腕!)


魔腕でしっかりと爺さんを固定。俺の胸は槍の薙で軽く裂かれたが、まだ俺は生きている。問題ない。


「あああああああああぁぁぁッッッッッ!!!!!!」


デコを魔腕で補強し、渾身の頭突き。


「………ぁっ………!」


小さな呻き声とともに、脳症が飛び散る。と同時に。

俺の身体は光の粒子へと変換されていった。


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