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317話 闘技祭 4

『閃華』シュルムを下し、第2試合が決定した俺は、ようやく一息つくことができた。

俺はバトルロイヤルを勝ち抜けるのも時間がかかった方だったため、暇がなかったのだ。


(ではでは。勝ち残ってるやつに知り合いはいるかね。)


やはり、何人か顔見知りがいた。

これでもそこそこ冒険者の友人はいるのだ。前世?マッドな奴らならそこそこいたよ。

で、その中でも特に仲がいいのが何人か居る。


ギル。シュウ。アリエル。


あれ、それだけか。

でもよくよく考えたら俺は魔法使いの友人が多いし、そう考えるとこんなものか。


と、目を滑らせていると、あまり見たくは名前を見つけてしまった。

『天翼』アレク。

例のハーレムだ。ブロック戦を勝ちやがったか………。いや、勝つよな。Aランク冒険者はあまりいないし。


他にも、俺が名前を知っているような強者は何人かいた。ぜひとも手合わせしてみたいところだな。何もなしにやりあえば死ぬだけだろうし。


『さて赤コーナーから入場するは!未来予知でも出来るのか!?5人に囲まれながらも無傷で突破!両手に両手剣を携えるこちらも最年少Bランク到達者!ギル選手だ!』


いつもの馬鹿っぽい笑顔でぐるんぐるんと両手で剣を回す。

そんなパフォーマンスが気に入ったのか、観客席からピューピュー、と野次が飛んだ。


『続いて青コーナー!鍛え抜かれた肉体美!豪快でいて繊細な筋肉は老若男女を問わず魅了してくれるぜ!『隆々』ニック選手の入場!』


あ、知ってる。そこそこ名物の人だ。何かと筋肉を強調したがるのが玉に瑕だが、物腰柔らかで初心者を助けてあげるのが大好きなお節介おじさんだ。しかもそれでいて滅茶苦茶強いらしい。


「少年、手加減はいたしませんよ?」


「それはこっちの台詞だぜ、おっちゃん!」


『それでは、スタート!』


先に仕掛けたのはギルだ。


「『双龍閃』!」


いきなりの大技。相変わらずの脳筋っぷりだが、熟練の冒険者たるニックさんはそれをススッと避ける。

しかし、ギルの恐ろしいところはその腕力だ。


「ほぅ………これは………。」

『ギル選手、一撃で大地を崩したァ!これは流石に『隆々』ニックでもマズイんじゃないのか!?』


実況に気を良くしたのか、ギルがニヤリ、と笑みを浮かべる。あ、コイツ調子に乗り始めたな。


「『ドラゴンクラッシュ』!『煌龍斬』!」


バキンバキン、と闘技場が割れていく。それを難なくススッと避けたニックさんは、攻撃後の隙を狙いダッ、と駆け出す。


「『ギガントアーム』『ギガントブレイク』!」


ギルマスも使っていた技で右腕を肥大化させ、豪気を纏って振り下ろす。

だが、ここで厄介なのはギルの第六感だ。

まるでそれを読んでいたかのように、ギルの身体はいつの間にか空中にあった。


「!!!!!」


「『双龍閃』!」


咄嗟に『ギガントアーム』で防ぐが、威力を殺しきれず、足が大地に埋まる。

その上から、再度。追撃。


「『炎渦忌龍紅覇撃』!!!!!」


お前よくそんな漢字知ってたな、というレベルの技が、ニックさんに炸裂する。

思わず見ている方が震え上がるような真っ赤っ赤の豪気である。

闘技場全体にヒビが走り、ギルは力尽きてその場に伏していた。

だが、その傍らには光の粒子となったニックさんがいる。つまり。


『赤コーナー、ギル選手の勝利!』


ギルは突っ伏しながら天高くサムズアップをする。

だが、他は全く動けないようで職員さんに引っ張られていった。その後、闘技場が勝手に復旧し始める。

流石神様の作ったものというだけあるな。


その後幾つか試合が終わり、シュウの試合……となったのだが。

あっけなく勝ってしまった。『カウンタークレイブ』で弾いてたら終わってしまった、というか。

ギルの試合と比較すると観客席の盛り上がりが今一つで不憫になった。頑張れ。


『さて、これで第一試合目は終了!だが、残念なことにお日様はこれ以上の続行を許してくれないそうだぜ!』


そう言って司会が空を指差す。

最初は青く澄み渡っていた空も、日が落ちて暗くなっている。

薄暗い中で戦っても全力勝負なんて出来ないし、観戦もしにくい。ギルドとしては一日で終わらせたかったかも知れないが、やむなし、という訳だ。


「ロイド選手、明日も早いので気をつけてください。遅れると棄権扱いになっちゃうので。」

「あ、はい。」


という訳で、俺達選手も解散。

下でギルとシュウとで集合し、俺達は帰ることにした。


「そういえば、3試合目は俺とロイドなんだな!」


「そういやそうだな。」


因みに、シュウと当たるとしたら5試合目、準決勝だ。そこまでいけるかはわからないが。


「というか、二試合目からして既にマズイんだよな………。」


あの爺さん、シフト○レイクか瞬○護法かってくらい跳び回る。使ってるのが豪気である以上厳密にはテレポートではないのだろうが………非常によろしくない。


「フォウン選手だよね?あれは凄かった。あんなムッキムキな人をよぼよぼの人が倒すなんて想像できなかったよ。」


「ムッキムキの男はよく噛ませ犬になるから仕方がないな。」


俺は粋なマッチョが活躍するアニメが見たかった。例えあったとしてももう見れないけど。

その点昔のジョ○ョの素晴らしさよ。皆マッチョ。肉弾戦強い。


「じゃあ俺も将来は噛ませ犬になってやるぜ!」


「ギルの場合大真面目に言ってそうで怖いなぁ………。」


なんて言ってるうちに家についた。案外近いのだ。

さて、爺さん対策をしよう。一晩で出来ることなんて限られてるけど。


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