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314話 闘技祭 1

『見よ、この青空を!闘技祭を開催するには最高の舞台だと思わないか!?』


「「「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」」」


(むさ苦しい………。)


冒険者の多い城塞都市なだけあって、活気も凄い。

選手は一度中央の闘技場に集められているのだが、そのせいで熱気でむせ返りそうである。

ただ、これにも訳があって魔王軍に対して威圧をかけるために人の呼び込みもしているらしい。


『今回の来賓はなんと!全員がSランク!正真正銘世界最強パーティ!『無双神機』全員だ!』


「声が枯れるまで叫べよお前らァ!」


「「「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」」」


三日前まで衰弱状態だったはずのニートは、元気に右腕を振り回していた。

でも後ろにお菓子やら酒やら置いてある辺り流石だと思う。


『気合が入った所で、諸君!早速今回のルールの発表だ!

勝敗はどっちかが死んだ時点で決まるぜ!つまりはデスマッチだ!まあ、死んだ時点で生き返るんだがな!』


『続いて今回の試合形式だ!因みにこれは選手諸君にも言ってなかったやつだぜ!

今回集まったのは640人!これをまずは64ブロックに分ける!そして、1ブロック10人でバトルロイヤルをしてもらう!』


観客からおお、という声が上がる。それにしても、バトルロイヤルか。

………案外ラッキーかもしれん。


『もう既にブロック分けもしてあるぜ!これだ!』


そういうと、上からでっかい紙が落ちてきた。


(B8………?)


俺の名前の横には、B8という文字が並んでいた。


『選手諸君!君たちの名前の横にある数字が、どのブロックかを表しているぜ!

とりあえずアルファベットのブロックに係員が誘導してくれるから、それに従ってくれ!』


すると、ぞろぞろと係員さんが出てきた。


「Bブロックの皆さん!私に付いてきて下さーい!」


そのうち一人の女性がそう声を上げていたので、そこに向かう。

すると、一緒にそこに向かっているおっさん共にニヤニヤした笑みを向けられた。

まあ、だいたい分かる。この風貌だ。どうせカモがねぎを背負ってやってきたとか思ってんだろう。

見てろよ、ながねぎ持って急所ランク二段階上げてボコボコにしてやるからな。
















「それでは!Bブロックの試合を始めます!」


俺達が連れて行かれたのは、そこそこの広さがある闘技場内の広場だった。

そこに、男10人が一斉に円形に立ち並ぶ。


「よーい、始め!」


声がかかると同時に、5人ほど俺目掛けて一気に走り込んできた。

うむ、やっぱり俺を狙うよな。

空を飛んで一気に戦おうと思ったが、そんなヒマはなさそうだ。


だが。


「ほいっとな!」


俺は自作ゴーグルを付け、幾つか玉を投げる。

勿論、ただの玉ではない。


「うがあああッ!目がッ!目がああああッ!!!!!」

「な、なんだこれ!?」

「唐辛子たっぷりの霧だぜ!どうだ、ヒリヒリするだろ!『ストロム・ベルジュ』!」


闘技祭の前に作っておいたものである。作っておいてよかった、本当に。

目を押さえてよろける3人を、一気に『ストロム・ベルジュ』でスライス。

首チョンパだったので、すぐにそいつらは光の粒子となった。

続いて、『ウィンド・ロール』で霧を吹き飛ばし、周りがぽかんとしている間に魔翼で空に舞う。


(魔腕、発射!)


ぽかんとしている奴の脳天に、拳を叩きつける。


「ッ!!」


流石にそこまでアホではなかったようで、右腕でガードされる。

だが。


――――――――――バキボキバキボキ。


「あぁっ………!ぐッ………!」


右腕は見てられないものとなる。

ここで、全員が覚醒したように動き出した。

そして、俺を見上げる。

うむ、いい気分だ。だが、こっからが本題である。


「『跳躍』!」

「『跳躍』!」


剣士が二人、俺目掛けて跳ぶ。

言っておくが、高度はかなりあるので落ちればただではすまない。下にはもう既に戦闘態勢に入ってるおっさんが大勢だ。

だが、そのリスクを飲んででも彼らは来たのだろう。


その勇気を、俺の魔力が阻む。


(『マジックシールド』)


透明な壁に、一人は気づかず、だがもう片方は気づいた。


「『スラッシュ』!」


気づかなかった方は頭をぶつけて落ちて行ったようだが、俺が注意するのはそちらではない。

直ぐに魔腕を展開し、迎撃に入る。


「『障壁』『風斬』!」


豪気の壁を足場に、魔腕を次々と切り裂く。

だが、本命はそれじゃない。


「おぐっ………!」


安心と信頼の魔手だ。見えないこいつは不意打ちに最適だった。

魔手を喰らい落ちていく剣士を見ると、どうやら皆助けてあっているようだった。右腕が潰れた男も残っている。

こりゃ参った、まずは俺から処理しようって算段か。

なら。


(フラッシュで目潰しだな!)


フラッシュで一瞬視界を封じた後、落ちていく男に全力の魔腕を叩きつける。

結果、俺の真下でドゴン、という音と同時に光の粒子が登っていくのが見えた。


(残り、6人と………。)


だが、今のやり取りでわかった。

今、ここにいる男たちは皆


「フラッシュと魔腕だけでいける………ッ!」


確信を得た俺は、自作暗視ゴーグルを付けてフラッシュを焚きまくる。

そして魔腕をドゴンドゴン、と。



数分後。


「び、Bブロック通過はロイド選手です………!」


大量のクレーターとともに、俺は勝利した。

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