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303話 装備新調 2

「あー、前にも言ったけど、俺は鎧とか剣とか十八番だけど魔道具は友人に任せてるんだよな。」


おっさんに相談した所、そんな返事が帰ってきた。


「ああ、鎧も欲しいんだよ。こいつは便利だけどそろそろ防御力にも限界が来てな。ドラゴンの素材でも使おうかと。」


「お前、アホか。」


「え?」


「お前がどれだけ筋力ないと?ドラゴンの鎧なんて付けたら重さで死ぬだろ。」


「俺だって鍛えたんだぞ。この半年間。」


「よし、じゃあこの剣でも持ち上げてみろ。」


そうおっちゃんが言って、一本の剣を指差した。

なかなかデカい。しかも純黒でなんかカッコいい。


「あれを背中にいっつも背負ってるようなもんだと思え。」


「お、おう…………。」


試しに柄を握ってみる。

ひんやりとした良い感触が手に流れ込む。相変わらず柄までいい作りをしてやがる。


「ふんぬ………ッ!」


一気に力を入れて持ち上げる。


「お、浮くようにはなったのか。鍛えたってのは嘘じゃなさそうだな。」


「ど、どうだ………。」


「ドラゴンの鎧はぜってえ無理だな。」


「くそおおおおお………。」


ギルとか羨ましいんだよなぁ………。俺も亜人とかだったら持てたかもしれないのに。


「そもそもあの鎧かなりすげえんだぞ。かなり軽い割に結構衝撃を吸収してくれるし。」


「じゃあ、俺ずっとこの鎧?」


「そうだな。けど。」


「けど?」


「それはスライムの身体で出来てるわけだが、仮に上位種のスライムの素材があれば作れる。後は裏地にクイーンタランチュラの糸とかあれば重くせず強化出来るぜ。」


「なるほどな。じゃあそれを手配すれば良いわけか。」


「お、狩りに行くのか?」


「いや、買う。」


「そうか、買うのか。お前金持ちだもんな。」


「そろそろ俺一人のせいで市場ちょっとおかしくなってるんじゃないかという危惧がだな。

でも孤児時代が長すぎて貧乏性拗らせたし、別に酒も女もギャンブルも興味ないしどうしようもないんだ。」


強くなりたいとは思うけどな。もうそろ俺英霊召喚でバーサーカーのクラスで召喚されそう。


「お前みてえのまで酒だとか女だとか叫び始めたら世も末だぜ。」


「とにかく、スライムとクイーンタラテクトの糸を集めればいいんだな?」


「そのとおりだ。魔道具も後で友人に頼んでおくわ。」


「ありがとう。」


「いいってことよ!お前みてえのにウチのもんを使ってもらえるってのがこれまた最高でなぁ………。」


そういやこの男、こんなんでわりかし偏屈なところがある。気に入らなければ何も作ってやらん、というスタイルだ。だが腕はやっぱり信頼できる。

そんな男から必要な物を聞き出した俺は、早速自転車組合に向かおうと足を踏み出した。

そんな俺を、おっさんが呼び止める。


「お前、商業ギルドから買い取るなんて言ってたけどよ、クイーンタラテクトの素材なんて商業ギルドは早々融通してくれないぜ。」


「わかってるよ、だからこれから自転車組合に乗り込んで融通してもらおうと思ってたんだ。」


「えっ。」


おっさんが目を丸くする。


「どうした?」


「俺、自転車組合の幹部なんだけど………。」


「お ま え か。」


世界の狭さを俺は痛感した。
















「よう!諸君元気にしてるか?」


おっちゃんが元気に挨拶をする。


「うぃー…………。てめえ暑苦しいんだよ………。」


全く元気じゃなかった。


「なんかあったのか?」


「仕事が多すぎて死んでるんだろうな、大方。

満を持して商業ギルドに頼んで組合を作ったまでは良かったんだが、思ったよりめんどいことがおおくてな…………。正直作って直してみたいな仕事ばかりだと思ってたんだが。

利権がうんたらとか色々あるらしくな。俺達計算とかぺーぺーだし………。」


「じゃあ、少し俺が手伝うか?計算は得意だぞ。」


俺がそういった瞬間、突っ伏してたのが一気にガバッと起き上がった。

目が輝いている。

そのうち一人が俺に質問した。


「掛け算はできるか………?」


「………いや流石に出来るぞ。」


俺がそう答えると皆一斉に右腕を高々と上げた。


「「「うおおおおおおおお!!!!!!!」」」


「同じ数字を足し続ける作業が終わるぞおおおおお!!!!!」


「小数点の計算が入るぞ!!!!!!」


(嘘だろ………?)


この世界の教育どうなってんだ。まぁ仕方がないのか………?

そういえば九九覚えるのも苦労したしなぁ。7の段は鬼畜だった。


「その代わりになんだけど、商業ギルドで少しお高い買い物をしたいわけなんだが。」


「ツテってわけだな!お安い御用だぜ。さあ、早く仕事に!」


「で、俺がやるべきは?」


周りを見ると、様々なものが散乱としていてよくわからない感じになっている。

ぱっと見大事そうな書類がケツの下にあるのは如何なものか。


「ああ、ここにある書類全部だ。」


「ええええええ!?」


駐輪所とかの資金援助だけしようとか考えていたら、とんでもなく面倒くさい案件に手を出してしまったようだぜ…………。

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