2話 俺氏、転生する
目が覚めた。いや、正確に言うと意識は戻ったが目は見えない。この状況2回目だよ。
「…-……―…~…!」
訂正しよう。耳もよく聞こえない。
今は赤ん坊だし仕方がないか。それよりも今のうちに今後の計画を考えた方が賢明だな。
まずは異世界語を覚えるべきだ。次にこの世界のこととか魔法についてとかだな。そういえば魔王がくれたチートが何か把握しとかないと。やるべき事が多すぎて纏まんねえよ。頭こんがらがってきた……
――――べし。
うおっ!誰か俺の背中を叩きやがったな。だが赤ん坊といえど泣かないぞ。
俺は痛みには強い方なんだ。
「…!!!~!!……!ーー!!!!」
――――べしばしびしばし。
痛いよ!やめろって!つーかなんでそんな風に焦ったように叩くんだよ!
何か俺が泣くとかしないとダメなことってあるのかよ!
――ん?泣かなきゃダメなこと?
あああっ!産声だぁ!産声上げないと俺死ぬ!呼吸できなくって俺死ぬ!
落ち着け、俺。とにかく泣けばいいんだ。さあ泣けっ!俺の体!
「~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!」
良かったあ、泣けた。息ができるようになると急に思考がクリアになった。
よし、落ち着いた所でまずは俺の現状確認をしよう。
とりあえず箇条書きにして纏めてみると。
1、目が見えない
2、耳がよく聞こえない
3、うまく話せない
4、前世の記憶バッチリ(今確認した)
うん、見事な3重苦だな。まさにヘレン・ケラー。俺はいずれ回復すると解かっているけど、彼女は永遠に続くかもしれなかったんだよな。よく発狂しなかったな、と思う。しかも他の人まで救うとか、偉大すぎるだろ。
そんなことを考えていたら、だんだん聞こえやすくなってきた。視力はまだ回復しないのかよ!
「…جنس…~!…-…。」
今単語っぽいの聞こえたぞ!いままでざわざわしてたのがなくなったし、
会話も理解できるかもしんないぞ。
音が聞こえた!さあ来い異世界語!
「……子よ!あ…た!」
――え、日本語?