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286話 修行その2

俺が朝起きると、目の前に木の箱があった。


「………?なんだこりゃ。」


「カッカッカッ!起きたか!」


「!?」


いつの間にか『風帝』がコウモリのように天井にぶら下がって高笑いしていた。

何やってるんだコイツ。


「おいジジイ、この箱はなんだ?」


「今日のお前の飯じゃ。」


「俺木食えないんだけど。」


「知っとるわい。その中に籠がある。それを取ればいいのじゃ。」


「いやこの箱完全密閉じゃねえか。」


「よく見てみい。小さい穴があるじゃろ?」


目を凝らすと、確かに穴があった。


「これをどうしろと。」


「この中に一本糸があるのじゃ。それを切ればこの箱は開くぞい。」


「そうか。」


(なんかめんどくさそう。)


魔手を箱に向ける。


(よし、発射「あああああぎゃああああああああ!!!!」


「カッカッカッ!ワシの結界付きじゃよ!」


(うぜえええええ!!!!!)


「ただし!魔手を糸状にすれば引っかからないようにしてあるぞ!」


「ああそうかよ!」


そうなれば話は早い。さっさと糸状にして飯食おう。


俺は格闘を始めた。
















「の、のう………そろそろ飯食わんか?ほらさっき里で野菜買ったから………。」


「ははははははは痛え、結界痛えよ!!!!!」


2日くらい経ったが、俺は未だ突破に出来ずにいた。

お陰で水しか飲んでない。


「なんでそんな元気なんじゃ………。」


「一日くらいなら飯がない時とか普通にあったからな!水があれば大体なんとかなるんだよ!」


あの頃は芋ばっか食ってた。多分俺の体は芋でできてる。


「なんかめっちゃ飯が食いにくいんじゃよ!」


「お前のメシマズで今日も俺のメシが美味い!水しかないけど!」


「あぁ………テンションがおかしいのじゃ………。」


そう嘆いて『風帝』はめちゃくちゃ気まずそうにセロリを食べ始めた。


(………ん?セロリと言えば食物繊維が多すぎてセロリだけ食ってれば穏やかに死ねるってのがあったな。)


だからといって『風帝』を心配するわけでもなく。


(食物繊維、か。)


今までの手のイメージから離れる。

代わりに、細い糸をいくつも束ねるようなイメージ。


(おっ)


今まで入らなかった穴に、するりと魔手が入った。

そして、糸にたどり着いた所でプチン、とねじり切る。


(よし!)


パカっと箱が開く。


「おお!やったか!」


するとさっきまでのテンションが一変、『風帝』の声が明るくなった。

だが、俺はこの魔手の糸に奇妙な感触を得ていた。


(これは、魔手の魔法なのか………?)


基本、魔法を使うときは半ば自動的に発動するため、魔力操作の必要性が減る。つまり、大事なのはどちらかと言えばイメージ力だ。

今までの魔手はそれがないため、アホみたいに魔力操作を必要とする。それがこんな利便性を発揮するにも関わらず俺くらいしか使わなかった理由だ。

それが、糸に関しては違った。正確に言えば、魔法陣が出来た。そんな感じがする。見えはしないが、『リュミエール・シーカー』はそれをなんとなく教えてくれる。

魔法陣があるってことは、つまり魔法だ。詠唱もあるのだろう。

今、イメージが原因で成功したのは魔法化したからかもしれない。


まあ、それはおいておこう。

とりあえずは飯だ。


「………あれ?」


「ああ………まあ2日放置されっぱなしだったからの。」


中身がだいたい生物だったため、色々ダメになってた。

というか全部素材そのまんまだぞ。俺に料理させる気だったのかよ。


とりあえず、全部焼いて食べた。
















翌朝。

俺は外で早速魔手、もとい魔糸の実験をしていた。


魔糸の直径は大体1ミリ。これを、簡単に出せるのがこの『魔糸』という魔法だ。

これ単体では、滅茶苦茶非力だ。あの時糸が切れたのもこれを何本も束ねたからである。

そう、この魔法は基本的に束ねる必要がある。

そう考えると、イメージ力が凄まじくいるので難易度的には結局高くなってしまう。


だが、逆に魔手とは違いイメージがあれば結構応用は利く。


「例えば、実際の腕のように筋肉と骨を配置するとか、か。」


人体模型などでだいたい覚えていたので、それで腕を作り上げてみる。

ただ、面倒なのがイメージが大切なので可視化させないといけない。今までの不可視という利点を捨てなければならないのが難点だ。

それで岩を殴ると、今までの3倍ほどのパワーが出た。

まあ、倍率で表せるようなものじゃないんだが。


「朝っぱらから轟音轟かして何やっとるんじゃ………。」


と、岩を殴る音で『風帝』が起きてきた。


「ああ、きのうの糸の実験だ。」


「なるほどのう………で、その気持ち悪い腕は何じゃ?」


「糸で作ってみたんだ。知ってるか?俺たちの腕ってこうなってるんだぜ。」


「ほぉ………。」


寝ぼけてるのか、『風帝』はすぐ興味を失い家に戻ろうとする。

が、すぐ立ち止まった。


「おい、お主、まさかそれ魔法に………?」


「その通り。まだまだ不安な要素が多いけどな。」


『風帝』がポカンとしていた。

あ、これ火属性魔力で染めたら進○の巨人みたいになりそう。


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