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284話 修行その1

ケツを蹴飛ばされて森のなかに入った俺だが、ぶっちゃけた話本調子ではない。

そりゃ体をバッキバキにしたまんま2日も眠りこけていたのだ。『ヘイレン』先生といえどどうしようもない。


「さぁて、どうしたもんかな。」


バキバキ鳴るのを聞きながら肩を回し、ついでに周りを観察する。

魔獣が発する凶悪な魔力を除けば、割りと普通な森である。少々二日前の戦いで一部の木が若干禿げてる程度か。


「さて。」


あのジジイが自らの訓練で使っていたというだけあって、中々に魔獣共は強力。

行きはなんとかなるだろうが、帰りは荷物があるからキツい。

それに加えて、俺は2日気絶してた分腹が減ってる。

ジジイは殺しはしない、と言ってたがどこまで信じられるか………。


(とりあえず、『リュミエール・シーカー』、『リフレクトハイド』)


強力な索敵に隠密。地の利をとられちゃ勝てねえし、必須だ。

因みに、『マジックサーチャー』系統には特有の『見られる」という感覚がある。『グランドタートル』戦ではそれが仇となって先制攻撃を許した。

だが、『リュミエール・シーカー』はそれを極力薄くしてあるのだ。

だから『風帝』は『リュミエール・シーカー』を逆に覗いて俺の魔力を探知する、ということができなかった。


世界トップクラスの魔力操作を持つ『風帝』に通じたのだ。Bランクの魔獣程度ならなんとかなる。


後は『ウィンド・ロール』で足音、足跡、臭いを消し、完璧な隠密完了。

あとはただこの獣道を突っ走るだけだ。


(戦うほうがバカを見るってやつだな。)


そんな事を考えながら20分ほど走っていると、森の密度が薄くなってきた。

里が近い証拠だ。

そこで、俺の『リュミエール・シーカー』は後ろから飛んで来る凄まじい魔力を感知した。


「おーい!お主ら!さっき言った坊主がそこでこそこそやってるぞい!ぶちのめせ!」


『風帝』だった。

それと同時に、俺の周りに石とかが飛んで来る。


(チッ!)


やむなくそれを魔手で撃退。

すると、のそのそといろんな魔獣が姿を表した。

その目が、俺のいる辺りを捉える。

不意にその中にいた鳥の魔獣がが風を起こした。


「クェェェェェェェ!!!!」


翼をバタつかせながらくちばしでこっちを指す。

ああ、もうこれ無理だ。


「ちくしょう!態々隠れてるやつを危険生物共に知らせる奴があるかあああ!!!」


「お主が逃げるからいけないんじゃろうが!戦え!」


「怖えよ!こいつら目がやばいもん!」


アイアイでもこんな怖くないぞってレベル。血に飢えすぎ。

俺は全ての魔法を解除して魔手装甲と『ウィンド・ブースト』を発現した。















「ハァ………ハァ………。えらい苦労した………。」


どうやら森から出る気は無いようで、森を抜けると彼らは追ってこなかった。

それにしてもあのクソジジイだけは後でぶん殴る。絶対。


息を整え、いざ里へ。


「おい!貴様何者だ!」


そこで、鳥頭の門番に槍を突きつけられた。

あ、鳥頭っつても頭がパーなんじゃなくって顔が鳥で………わかりにくい。とりあえずドナルドみたいなやつだ。あ、これも世界滅ぼさない方な。


「『風帝』の弟子だ。ここに来たのは単に食料を買いに来ただけなんだ。」


「なんか身分を証明するものは?」


「ギルドカードじゃ駄目か?」


「全然オーケーだ。」


「ほい。」


俺がギルドカードを見せると、ひったくってまじまじと見た。


「……Bランクか、ホントに『風帝』の弟子なんだな。人は外見じゃわからないものだ。」


「どいつもこいつもチビ扱いしやがる………。」


「いや、まぁ悪かった。入っていいぞ。」


門番さんは槍を引っ込める。

俺は軽く会釈して中に入った。


「………へえ、普通にいい村じゃねえか。」


隣に人外魔境の森があるのによくこんな発達したものだ………ってかやっぱりあいつらは森から出ないように教育とかなんかされてんのかな。


「あー!あいつ毛がねーぞ!すげー!」


「私知ってる!人族って言うんだって!」


俺がぽつんと立っていると、木の枝で遊んでいた子どもたちがこっちに来た。

獣人だらけの村で俺みたいな人族は珍しいのだろう。

丁度いい、案内してもらおう。


「俺さ、この村初めてなんだけど少し案内してもらえないか?」


「そんなことより木登りしようぜ!」


「おー!木登りすんの!?」


「えっ。」


すると、わらわらと子供達が出てきた。

どうやら穴をほって遊んでいたらしく、体が土だらけである。


「よーし、あっちの森で遊ぶぞー!」


「お、おいその森は危険じゃ……」


「だいじょーぶ!こっちの森は危険だけどあっちの森は危なくないんだぜ!」


「よし、兄ちゃんも来いよ!」


「じんぞく!じんぞく!」


「おおい!?」


何故か流れで木登りに付き合う羽目になった。

何やってるんだろう、俺。

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