26話 まさにクラ◯ラだなw
さすがに一話一話が短すぎるので、統合してみました。
変なところがありましたら指摘お願いします。
「マジでやるんですか………!?」
そう言ったのはクルト。まあ俺もおんなじ事を考えたけど。
「やるしかねえだろ。
つーかやらなきゃここの基地は全滅だ。だったら犠牲者を出してでもやらなきゃいけねえだろ。」
「でも、そんなほかの基地から協力してくれる人が居るわけないじゃ無いですか!」
うしろで地味に聞いてた小さい少女が言った。
小さいっつっても俺よりはでかいが。
「お前ら忘れてるだろ。ここの仕組みに恩は協力で返すって法則があるってことを。」
いや、知らなかったんだが。俺そんなこと聞いてねえぞ、とクルトに睨むような視線で語りかける。
が、クルトはただ納得した表情をしただけだった。
後の少女もそんな顔をしていた。くそっ。知らなかったの俺だけかい。
「僕はそんな仕組み知らなかったんですけどね…………。
それは置いといて、まずここの基地にそんな命まで関係する恩なんか作った人居るんですか?僕は知らないんですけど…………。」
実際対価に命を出してもおかしくないような恩を作った人を俺は知らない。
そんな気持ちで言ったのだが、周りの3人から何言ってんだこいつ、みたいな目で見られた。訳わからん。
「お前のことだよ、ロイド。煙玉作ったり魔物を殺して人の命を救ったじゃねえか。それは十分な恩だ。命懸けの作戦に参加させるにはな。」
あっ。そうだった。
狼の時は自分の為だったし、煙玉に関しては少し趣味暴走を引き起こしていたけど、結局は人の命を救ったんだった。
「どうやって人に参加して貰うかはわかりました。
でも、今こんな状況でそんな早く人を集めるなんて無理でしょう。
まさか、一つ一つ基地を回ってお願いでもするのですか?」
「いや、その通りだが。全部の基地の場所は覚えているし。」
「誰がそんなことやるんですか?」
「まあ大体ここの年長者たちだな。多分一日くらいで集まるだろう。
やることはこれからいうから。今から基地のやつ集めて基地集会やるぞ。」
「「「了解。」」」
さすがリーダー。
もう作戦が立ってるぽいな。孤児歴16年らしいし、生きることへのポジティブ魂が凄いのだろう。
後、基地の人を集める前に少女に名前を聞いておく。
ぶっちゃけ女子は苦手だから(リンさんも含めて)、あまり気が進まないのだが、一応聞いといたほうが良いだろう。
「名前はなんて言うんですか?」
「私はリーユ。一応風属性の魔力持ち。君、ロイド君でしょ?宜しく。」
「こちらこそよろしくおねがいします。」
風属性のリーユさんか。ちょっと言葉が淡々としてるけど、そのほうが俺的には気が楽だ。女子っぽいのは滅茶苦茶苦手だしな。
それにしても俺って有名になってんのな。仕方がないか。
「ザックが死んで皆も凹んでいると思う。
が、俺達にはもっと深刻な問題があるのを忘れていないか?
それは食料不足だ。ま、食料用倉庫がやられたんだから当たり前だわな。
てことで、俺達は『堕ち豚』のブルドン家を襲おうと思う。
異論があるやつは手を上げてくれ。」
十数人が手を挙げる。
「よし、じゃあそれぞれ言ってくれ。」
「まず、人数が足りないんじゃないか?」
「ロイドの恩のおかげで人は呼べる。次。」
「わざわざ危険な貴族の所に突っ込む必要もないだろ。
スラムのやつから巻き上げればいいじゃん。」
「あいつらは中々に危険だし、盗れる量も少ないだろう。
それよりも女ばっかり囲って警備もあまりちゃっかりしてない『堕ち豚』の
方が生き残れるだろう?」
その『堕ち豚』て野郎は欲に溺れて駄目になっていった貴族筆頭て訳か。
なるほど、カモだな。
「そもそも生き残れるのか?」
「それをこれから説明する。黙って聞いててくれ。」
これら3つが主な異論だったようだ。
後はポツポツと出て来る異論を全てリーダーがなぎ倒す。
「んじゃ、異論はもう無いようだし、どんな作戦で行くか説明する。
お前ら絶対覚えておけよ。いくら『堕ち豚』でも貴族だ。
油断したら死ぬからな。」
そう前置きして、リーダーが語り出す。
話が終わると同時に基地全員の人がそれぞれの仕事のために動き始めた。
そして、つぎの日の真夜中。
総勢70人ほどの孤児が各地に散って、ブルドン邸を囲っていた。
この作戦において、鍵となるのは魔法だ。
昨日、基地の中でリーダーが開口一番そう言った時には安堵した。
まあ普通に考えて、いくら70人いるとは言えど相手は貴族だし、
数の暴力で押し切ることは難しい。
たとえ成功しようと、多分その時は結構な犠牲者が出るだろう。
だが、魔法をうまく使えば一気に形勢逆転できる。
例えば、護衛を全員一か所にまとめて『アース・ホール』で嵌めるだけでもかなりこちらが優勢になる。
むしろ魔法を使わずに突破する方法が俺には思いつかない。
ぶっちゃけ言うと、リーダーが数の暴力で押しきろう!なんてことを言わないか結構ハラハラしていた。
まあそんなことは起こらず、リーダーは短時間でなかなかいい作戦を立ててくれていた。文句無し、バッチグーだ。
しかも一人一人の役割が覚えやすいので絶対この中に作戦を忘れたやつはいないだろう。
「「「我が雷の力集いて彼の者に見えぬ束縛を!『パラライズ』!」」」
「ぐっ!痺れる!」
「いきなりなんだ!?」
「ぐああああああっ!」
おっと。ついに最初の攻撃が始まったな。
因みに今のは雷属性の対象を麻痺させる魔法。
全部で雷属性の人は6人いるので、最大で同時に6人もの護衛を止められる。
とりあえず、これで門番は止まった。
が、俺達の狙いは門番を止める以外にもう一つ目的がある。
それは、
「ど、どうした!?なんかあったのか!?」
「「「我が土の力集いて大地に変化を!『アース・ホール』!」」」
相手の増援をさらに止めること。
幸い土属性が使えるのは俺含めて10人もいるので、でかい穴ができる。
いやもう落ちるは落ちるは。玄関の目の前に作ったので、開けた瞬間に何人も落ちた。だいたい6人くらいかな。
人が滝の様だぁ!うん。何かが違う。
「今だ!乗り込むぞ!」
リーダーの言葉を境に、総勢70人が全力でブルドン邸へと駆けだす。
「むふ?何があったのdあべぼら!?」
なんか太ったやつが出てきたが、速攻で轢かれた。
多分こいつが『堕ち豚』だろう。ちょうど俺の足元にいたので踏んどいた。
コイツはあれだろう、人から税金だけとって自分だけのうのうと暮らしてるタイプだろう。そんな感じのことを皆言っていたし。
なら躊躇はしない。この踏みつけは常に困っている人に手を貸さず、いつも自分のことを考えていた罰だ。
総勢70人もの孤児は、扉という扉を開け始める。
食料庫の場所がわからないからだ。
多分台所の近くにあるだろうが。
まあそんなことを考えながらも俺は目の前のドアを開けた。
俺の後ろには他にも何人か仲間がいた。
当然俺が開けたドアに皆ではいったのだが、中の光景を見た瞬間俺を含めて
全員顔をしかめた。
中に女性が裸で泣きながら座っていたのだ。それも何人も。
女を囲っているとか言ってたけど、見事に外れ部屋を当てちまったようだ。
全員が出たのを確認して、ドアを閉める。
ああ、胸糞悪かった。女性恐怖症な俺でも同情しちまう。
気を取り直して次の部屋を向かおうとした所で、遠くから声が聞こえた。
「おーい!見つかったよ―!!!」
お、やっとか。これで次の段階に移れる。
急いで声の下方向に向かう。
もうそろそろ落とし穴に嵌めた奴らが出てきそうだし。
『ウィンド・ブースト』を全力で掛けて走って行くと、案の定キッチンに
食料庫があったようだ。沢山仲間が集まっている。
勿論食料庫は室内にあるのでそのまま盗むならもう一度玄関を通らなければいけないが、そこは
「「「わが火の力集いて彼の者に豪火を!『エルダーファイア』!」」」
壁を燃やしちゃえば良い。
え?食料が燃えるって?いや、大丈夫。壁が燃やし尽くされると同時に、
「「「わが水の力集いて彼の者の火を消せ!『アンチフレイム・ウォーター』!」」」
水魔法の耐火魔法で防ぐからだ。
因みにこれも攻撃魔法なので、俺だけ『アクア・ムイ』である。ぐすん。
「今だ!早く食いもんを持って帰れ!」
「「「「ういっす!」」」」
リーダーの合図とともに皆が食料庫に手を突っ込んでいく。
そのままブルドン邸を出ると同時に風属性が一人一人に『ウィンド・ブースト』をかけていく。
言うのを忘れていたが支援魔法は攻撃魔法と違って魔力さえあれば多重展開が可能なので、俺はとにかく『ウィンド・ブースト』をかけまくった。
「ふざけるな!ワシの飯を返すが良いネズミども!」
豚がそれを言うか。内心突っ込みながらも次の段階へと進む。
「「「わが土の力集いて彼の者を守れ!『マジックガード』!」」」
これで足止めさせてもらう。
ただ、そんなに強度がある訳じゃないので護衛が来ればすぐ割れるだろう。
その時は後ろにいる雷属性の人に任せるが。
「くそっ!孤児ごときが俺達を舐めやがって!」
早っ。もうあの落とし穴から抜け出してきたってのか!?
さすがにプロってわけか。糞っ!
「パラライズお願いします!」
「勿論!」
「「「我が雷の力集いて彼の者に見えぬ束縛を!『パラライズ』!」」」
「そんな何度も食らうかっ!」
嘘だろ!?パラライズを躱しやがったっ!
「お返しだ!
我が火の力集いて彼の者を守る盾を破壊せよ!『マジッククラッシュ』!」
彼の手から放たれた小さな火の玉が『マジックガード』を壊す。
―――――バリン!
「くっ!」
誰かが思わず呻く。
そりゃそうだ。予想以上に護衛が強すぎた。こりゃあ奥の手を使うしか無いな。
「リーダー!アレを使います!」
「速くしろ!」
やっぱり時間がないか。
俺はポケットから火打ち金とそこら辺で見つけた無駄に硬い石を取り出し、
同じくポケットに入れておいた煙玉を取り出す。
そう。煙玉だ。
多分これを振り払える人などほとんどいないだろう。
俺は、ありったけの煙玉に火をつけて投げつけた。
煙がどんどん出て来る。視界はすぐに真っ白になった。
「何だ!?これは!こんなの聞いていないぞ!」
そりゃあ聞いたことがないだろう。俺の自作だし。
まあそれはともかく、今この状況で動けるのは『マジックサーチャー』を使える俺だけだ。
さっき護衛の奴は魔法を使っていたから『マジックサーチャー』で判別すれば動きを止められる。いやあ、穴から抜け出せたのが一人だけでよかった。
俺はこっそり護衛の後ろに回り込み、『アクア・ムイ』を固定させて水の玉で頭を囲った。
「!?◯☓△□※!?」
要するに溺れさせたわけだ。
普通なら水ができたあとは下に落ちるのだが、直接魔力球に触れて置けば落ちないことが判明したので水を固定させることに成功したわけだ。
護衛はしばらくもがいていたが、動きが止まった。
因みに『マジックサーチャー』には反応しているので死んではいない。
まだ人殺しは出来そうにないし。
「護衛は止めました!逃げますよ!」
そう言って『ウィンド・ロール』で煙を吹き飛ばす。
見ると、『堕ち豚』は気絶していた。
どおりで声が聞こえなかったわけだ。こっちには好都合だが。
「オッケイ!オラ!逃げるぞ!」
「「「「うっす!」」」」
残っていた皆も食料を腕いっぱいに抱え、出て行く。
俺も魔力の手を使って大量に持った。
周りを小さな光属性の魔力球で照らしながら走り去り、俺達は基地の中に駆け込んだ。とにかく嬉しくて叫びたい。
「ただいマンボウっ!」
「「「「……………………。」」」」
あ、白けた?