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271話 獣人

「とったどー!」


「おお!いいぞお前!船に置け!」


俺が巨大マグロを船の上に置こうとすると、それだけで若干船が傾いた。

重い。


(うん、これ片手でコイツを引っ張り上げるのはキツイな)


一旦船に上がり、そして『アクア・ブースト』で強化した魔手を構える。


「うんしょぉーっ!」


ドシン、という音ともに巨大マグロが船に乗った。


「お、おい船がぐらついたぞ今!?」


「どんだけ重いんだよそいつ………。」


見たところ、起きてるのは船員、そして一部の乗客だけのよう。

大半は寝ている。

巨大マグロに襲われてよく寝れるな。それとも俺への信頼か……?

後者だと信じておこう。

まあ、多分寝ようが寝まいが俺が突破されたらほぼ確実に死ぬだろうから気にせず寝たんだろうな。この世界の住民はやはり肝が太い。


「そうだ、ロウ。魔法陣と収納袋を返してくれ。」


「言われなくてもそのつもりだよ。」


うん、保存状態はバッチリ。


「それじゃ、おらはもう寝るだよ。疲れただ。」


「あ、俺のために起きててくれたのか。ありがとう。」


「気にすることはないだ。それじゃ、また明日。」


ロウは、体をふらふらさせながら船に戻っていった。

なんか悪いことしたな。

明日なんか埋め合わせでもしよう。


「そうだ、船長さんよ。もうそろそろ中継地点の島が見えるんじゃないか?」


「そうだな、明日の昼には着く予定だ。」


「なら、そこでこのマグロを食べよう。」


「おいおい、魔獣って食えんのか?」


「何言ってるんだ、魔獣なんか皆食ってるだろ?」


「マジでか………!?」


船長が本当にショックを受けたかのような顔をする。

いや、別に魔力さえ処理すれば食えるだろ。現に城塞都市ではみんな魔獣の干物とか食ってたし。

あ、わかった。


「もしかして、ここらへん近辺では食べないのか?」


「そりゃ、魔獣は汚いものだから腹をこわすってのが常識だぞ。

よく教会で言ってるだろ。」


「うん、そりゃ、嘘だ。実際、城塞都市では皆何の躊躇もなく食ってる。」


それに魔獣食えなかったら現地での食料調達の難易度上がるだろ。


「城塞都市は化け物揃いと聞いたが、やっぱり化け物揃いなんだな………。」


「いや、違うから。

知らねえけど、教会がそれを言ってたのか?」


「まあな。実は俺も教徒でな。」


「全くそうは見えないんだが。」


俺の知ってる教徒はなんかよくわからないエンブレム付けてたり凄かったぞ。

少なくともTシャツ以外つけていない日焼けしたゴリマッチョではない。


「うっせえ。ただ単に小さいころよく教会にお世話になったから、ってだけだ。」


「そうか。まあ、掟で禁止されてるのに無理に食わせるのも難だし、いいよ。」


「それより食っても大丈夫ってのが俺は信じられねえ。」


「じゃあ、実演するぜ。」


そういって、俺は収納袋からイノシシの魔獣の肉の干物をだし、パクっと食った。

うん、普通。


「ほら、何もないだろ?」


「ま、まあ、それでも怖えからやめとくよ。

お前もヒョロそうに見えて滅茶苦茶頑丈なのはさっき見せつけられたしな。」


「いや、俺とか何処打たれても致命傷なんだが………。」


球○川くんかな。俺もあの能力欲しい。勝てないのは辛いけど。

というか、教会が魔獣を禁止してるとなんか裏があるようにしか思えない。


「まあ、この際マグロは置いておこう。多分俺は食わん。

それより、お前は寝なくてもいいのか?」


「そうだな、寝るとするか。」


水の中で動くと疲れる。プールに入った後眠くなるあれだ。

あれは、体温が変化しまくったり水圧が滅茶苦茶かかるから疲れて眠くなるらしい。


俺は、そのままベッドにダイブすると意識を失った。















「おい、起きろ!上陸したぞ!ってか置いてくぞ!」


「ファッ!?」


船員に置いてかれると聞いて、慌てて飛び起きた。

ってか、上陸早くね!?

と思ったら、太陽がバッチリ真上にあった。

久しぶりにグッスリ寝れたな。実感ないけど。


「そういえば、あのマグロは?」


「現地の人も集まって焼いて食ってるよ。

まだまだ余ってるから安心しろ。」


よかった、腹が減ってたんだ。

ベッドからのそっと起き、『アクア・ムイ』で水を被る。


「………あまり船室を濡らして欲しくないんだが。」


「すまんの。」


普通に『アンチスリープ』使えばよかったな、と思いつつ甲板に。

みると、本当に島についていた。

見れば煙が上がっている。あそこで焼いてるのか。


「そうだ。お前、今までずっとあの大陸に留まってたんだよな?」


「あ、ああ。そうだなぜ。」


「ならびっくりするだろうな。クックック。」


「?」


「まあ、島に降りて煙のほうに行ってみな。」


俺は言われたとおり船から島に降りた。

森、というよりはジャングルを通り、そして煙のある広場に向かう。

そこにいたのは


「おおっ!?」


「おお、おめーも食いに来たのか!こっち寄れよ!」


今まであまり見なかった、沢山の獣人だった。


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