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263話 最強の魔法使い

『魔法都市』には、あっさり入れた。

地面に頭を埋める俺たちをガチキチを見るような目で見ていた門番たちだったが、ギルマスをみるなりキリッと敬礼をし、通してくれた。

本人曰く顔パスらしい。強い。


その流れで、ギルドの中へ。

ギルドの中は、『城塞都市』と違って上品なものだった。

いや、ありゃ活気があるなんてレベルじゃないな。原因は多分大体ギルマス。


ギルドの様子を見る限り、ここのギルマスを務めているという『最強の魔法使い』は貴族のような人なんだろう。

受付も非常に丁寧だった。


そして、そんなギルドも顔パスであっさりとギルマスの執務室へ。

その前の通路には、大量の本棚が。殆ど魔法に関してのものだ。


そして、その執務室の扉をギルマスは躊躇なく蹴っ飛ばして開けた。


「よーう!元気にしてたかぐべらぁ!?」


と同時に、逆に吹っ飛ぶ。見れば、消えきらなかった雷の線がギルマスから執務室の中へと続いている。

その先にいたのは。


「相変わらず野蛮だな、シュルド。」


本を読みながら指先をギルマスに向ける青年だった。

年は25くらいというところか。だが、その冷徹な雰囲気は熟練の魔法使いのそれだった。ここに転がっているギルマスとは大違いである。

というか、こいつ本名シュルドっていうのか。


「おめーも容赦なさすぎだぜ。俺じゃなかったら死んでるぞ。」


「お前だったからぶっ放したんだよ。新型の魔法を作ったんだが試す相手がいなくてな。」


そういって、『最強の魔法使い』は口元を軽く歪ませた。

訂正、全然上品じゃない。なんかもう既にマッドサイエンティストのそれを感じる。


「ひでえもんだぜ。俺はただ単にお前を超える逸材を持ってきただけってのに。」


「なんだと?

いや聞いてないぞそんなもの。」


「言ってねえもん。」


「おいギルマス、てめえ面会を取り付けてきたって何しれっと嘘ついてんだよ。」


「へっへっへ。まあいいじゃねえか。」


へらへらするギルマスを肯定したのは、意外にも目の前の青年だった。


「………まぁ、魔力操作なら俺より上だな。」


「え!?」


「うちのホープだぜぃ」


「そうだな。お前にしてはいいものを持ってきた。

悪いが………こいつ、少し試させて貰うぞ。」


瞬間、目の前の青年から殺気が膨れ上がった。

条件反射で、魔法を展開。


(『リュミエール・シーカー』!)


そして、相手の魔力を見ようとして………失敗した。

俺の魔法はあっけなく上書きされた。

膨大な魔力の込められた、『マジックサーチャー』によって。


「くっ………!」


魔手装甲を展開し、出方を伺う。魔力の変動が見えない以上、魔法の実体を見てかわすしかない。


俺は集中して青年を見つめるが、彼は『マジックサーチャー』を展開したきり動かない。


動かない。


動かない。


「………………よし、合格だ。」


「…………へ?」


「どうだ、凄いの持ってきただろ?」


「凄まじい魔力操作だ。ウィルって奴にも驚かされたが、コイツはそれ以上だな。何より光属性魔力に加えて魔手装甲を独学で編み出したってのが凄い。

ただし魔力量が致命的に少ないな。それと、攻撃魔法の回路が何故か閉まっている。

凄いがなんとも極端なやつだ。」


「あ、あはははは………。」


この時間だけで攻撃魔法が撃てないのまでわかっちゃうのかい。

だが、わかるなら丁度いい。


「因みに、攻撃魔法が撃てるようになるには?」


「諦めろ。それはおっそろしいほど強固に門が閉まっている。

そうだな、まるで光属性の過剰魔力回復量を全て内側の何かに向けてるみたいだ。お前にならあの伝説の五大獣すら3匹は放り込めるぞ。」


「まじかよ、あの伝説の『五大獣』が3体か。

『フレースヴェルグ』を収めるカナルにもびっくりしたが、お前はそれ以上だな。」


「え……?カナルが………!?」


そういえば、あいつ『フレースヴェルグの化身』っていう加護を持っていたな。

まさかそんな凄いものだったとは。


「というか、お前見たんだろ?うちのギルメンがあいつ偵察してたの。いつ暴走するかわかんねえから一応見てんの。」


「ああ、あれか………って、暴走?」


俺の疑問に、『最強の魔法使い』は答えてくれた。


「五大獣は人間を憑り代とするんだが、基本的に憑り代の意識を奪って顕現する。今のカナルはしっかりと共存しているようだが、いつ食われて五大獣『フレースヴェルグ』が復活するかわからないからな。」


「あいつ、そんな綱渡りのようなことを………。」


「まあ、『フレースヴェルグ』は気まぐれなところがある。

今ん所多分カナルというやつを気に入っているんだろうな。奴が飽きるのがいつかわからない以上、見とかなければ。」


転生者だからだろうな、と勝手に結論を出す。

確かに、この世界のものからしたら興味は尽きないだろう。


「さてだ、その話は置いといて本題入ろう。

お前、こいつを弟子に取る気はないか?」


ギルマスがとんでもないことを言う。

だが、目は本気だ。


「ギルマス、マジで言ってるのか………?」


「マジだよマジ。

おめえ、最年少Bランク達成だぜ?結構凄いんだぞこれ。」


「だからっt「そうだな、弟子はキツイがいい師なら紹介しよう。」


「お前は教えないのか?」


「正直、俺が伸ばせるところは少ない。せいぜい魔法の構造を教えれる程度だ。

だが、『風帝』なら………。」


「あいつか!確かにあっているな!よし、さっさと紹介状書け!ロイド、いくぞ!」


「えっ!?待って急展開すぎる!?というか何処に!?」


「獣人の大陸、『カンプーフ』だよ!」


「はあああああ!!!?????」


拝啓、ギル、シュウ。

なんか俺、この大陸から出そう。


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