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262話 幕開け

最終章スタートです。

木々に溢れた山の上を、俺は魔手を広げ滑空(・・)していた。


「うーん、まだ風にうまく乗れないな………。」


「おい!集中を切らすなアホが!」


「うっわ師匠のいつの間に!?そして風を起こさないでくれよ!落ちる!」


「たわけ、この程度の風で落ちるようじゃ急な事態には対応できんじゃろ!」


「この程度の風って言って魔法使うのはなしだろ流石に!?」


滅茶苦茶なことを言うカラスの鳥人族の師匠に殺意全開で魔手を飛ばすも、叩き落とされる。

この半年で俺の魔力も随分濃密になったのだが何故師匠はそれを片手ではたき落とせるのかが未だにわからない。


「おい、呆けてないでもう一回飛べ!無駄に覚えがいいんじゃから詰め込むぞ!」


「あーはいはい………」


俺は、師匠の罵声をどこか遠くで聞きながらここ最近の半年間を走馬灯のように思い出していた。















事の始まりは、俺が『グランドタートル』を倒してギルドに帰ってきた時のことだ。


因みに、俺らは戦いを見ていた『紅槍』さんと一緒に村へは帰らず直接戻ってきた。

ヴェインは布でくるんで村の前においておいた。別に俺が捨てられたことの意趣返しをしたわけではない。多分。

それと、ルー君には一筆したためておいた。内容は秘密だ。


で、今。ギルド内。


「最年少Bランカー『イレギュラーオルフェン』の誕生に乾杯!」


「「「かんぱーーい!!!!!」」」


酒臭い男たちに揉みくちゃにされてます。


(どうせこんなことになるなら女性のほうがいいなぁ……こいつらゴツゴツしてるし。

でもいざやられたら恐怖でチビるな俺。女性怖い。)


思考回路は熱気に当てられ既にトリップ寸前である。

魔手で強引に体を押し出し、人の輪から抜け出す。

ギルとシュウには囮になってもらおう。俺はあの中にいたら死ぬ。


ふらふらとしながら壁にもたれかかっていると、ギルマスが寄ってきた。


「おー、お疲れのようだな。新Bランクパーティリーダーさんよ。」


「………あれ、絶対どんちゃん騒ぎがしたいだけだろ。」


俺は、さっきから思っていたことを口にする。

なんか腕相撲大会始まってるし。なんでAランクまで参加してんだよクエストいけよ。

それを、ギルマスは肯定した。というか、否定のしようがなかった。


「そういうもんだ。口実はなんでもいいんだよ。」


「全く、いい迷惑だぜ。」


「そう言うなって。実際、いけ好かないような奴がなったわけじゃなくある意味マスコットのお前らがBランクになったから皆本心から喜んでんだぜ。」


「まぁ、そうだな………。」


どうも人混みはなれない。というか、『グランドタートル』の一件から俺は若干精神的に疲れていた。


「さて、おめでたくBランクに到達したお前に、いい話がある。」


「な、なんだ?」


「『世界最強の魔法使い』ってのに会ってみたくないか?」


「そりゃ、会えるもんなら会いたいぜ。」


「そういうと思った。ってな訳で、早速面会を取り付けてきた。」


「はっや!?」


「友人だからな。

ってな訳で、パッパと行っちゃおうぜ。」


「今から?この群衆をおいて?というか二人は?」


「大丈夫だ、正直こいつらお前がいようといまいと勝手に騒いでるだけだぞ。」


「だな………。」


あ、グランが勝った。あいつ足悪いのに凄い腕力だな。あれじゃ踏ん張れないだろ。


「じゃ、いくぞ。肩に乗れ。」

「え?」


なんか後ろを向いて屈むギルマス。


「な、何やってんの?」


「お前を乗せて全力疾走したほうが早く着くからな。」


「待って、何処行くつもり?」


「『魔法都市』だけど、どうした?」


魔法都市って言っちゃあ………


「王都より遠いじゃねえか!?」


馬車で2週間の距離だぞふざけてんのかこいつ。


「まぁまぁ、直ぐ着くから気にすんなって。早く乗れい。」


「お、おう……。」


背中に乗ったはいいが、なんか凄く嫌な予感がするぞ。


「よし、じゃあいくぞ。魔手でしっかりとしがみついとけ。」


「お、おい、お前何をするつもりだ?」


「『弾壁』『ブースト』」


横に壁が生み出され、ギルマスがその場でジャンプする。

あ、これシュウの移動方法だ。

背中を、冷たい汗が流れ落ちた。


「『跳躍』!!!!!!!!」


「ぎゃあああああああああああああ!!!!!!死ぬううううううう!!!!!??????」


自分でやる人間カタパルトとは比べ物にならないスピード。というか、これ新幹線のスピード越えてんじゃねぇの!?


「ってか、なんで死んでねえんだってレベルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!????」


「障壁出しながら跳んでるからな!!!!しかも圧力がかかると固くなるおまけ付きだ!」


「ころ○んせーかよテメェェェェェェェェ!」


なんて言ってると、魔法都市の門が遠くに見えてきた。

だが、接近スピードが半端じゃない。


「………あれ、これ止まれんの!?」


「無理だな。地面と激突だぜ!」


「ふざっけんなァァァァぐべっ!?」


二人で仲良く地面に顔から突き刺さった。

序に地面から顔出した時に魔法都市の門番さんに変なもん見る目で見られた。

ぜってえあいつは許さん。いつか殺す。


俺は固く誓った。

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