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24話 2歳にこんなのやらせるとか・・・どんなブラック企業だよ

「ふうぅぅぅぅ。ギリ間に合ったあぁぁぁぁ!」


100個目の煙玉を煙玉の山にのせ、俺は深く息を吐く。

なんとか集会までに終わらせられた。

因みに今日が集会の日だ。

本当に疲れた……。毎日早起きしてた前世とほぼ変わらない睡眠時間だった。

いくらなんでも2歳の体にこれはキツイ。

このまま寝ちゃいたいけど、これから集会あるしなぁ。

集会始まるまで時間あるし何やろう。てか早く行ってもリーダーの修行が待ってるだけだが。


とりあえずリーダーは集会の準備でいないし、ニスさんとガットさんでいいかな。報告するのは。あの二人が一番煙玉への関心が高いだろうし。


言うのを忘れていたが、集会のある日は昼でも大抵全員は基地にいる。

もちろんその日の食料を盗れてない人は集会にも出ないが。


でもって二人を探す。あの二人は仲がいいから一緒にいることが多い。

あ、いた。二人の会話の邪魔にならないよう話しかける。


「ギリギリ煙玉100個出来ましたよー。」


「な!?」


「ガチで!?」


「はい。ついさっき終わりました。」


「本当にやべえな、お前…………。」


「俺、もうお前に常識を求めるのを諦るよ……。」


「今地味に酷いこと言われたような……。まあ要件はそれだけです。

一応報告はしといたほうがいいかな、と思いまして。」


「わかった。じゃあもう集会行ったらどうだ?リーダーが待ってるぞ。」


ニスさんがちょっとニヤけながら言う。いや、完全に騙そうとしてるよねこの人。今リーダーの所行ったら破滅だろうが。肉体が。


「おいお前何地味に騙そうとしてんだよ。ロイド、信じるなよ?

ニスはこんなことが好きなんだ。あまり信じるな。」


「おいー。これで騙されたら面白かったのに………。」


「いえ、前にクルトと一緒にやっちゃったので騙されませんよ?

というかこんなに疲れてるのにあれをやらせようとするとかどんだけ酷なんですか貴方は!?」


「くそっ。知ってたのか。まあいいや。

そんなことを言ってるうちに本当に集会の時間になってきたぞ?

お前の体力だと今から行ったほうがいいんじゃないか?」


時計(日時計)を見るともうそろそろ11時になる頃だった。

確か集会は12時からだ。たしかに今の俺じゃあ1時間かかるからな。

もうそろそろ行くか。


「有り難うございます。後、お願いなんですけど皆で協力して煙玉を運んでもらえませんか?」


「多分良いっていうんじゃないか?自分の身を守るもんなんだし。」


「ではお願いします。僕も少し持っていきますから。」


魔力の手を使えば6個持てるし。

とりあえずもう行かないと。間に合うかなぁ。


煙玉の山から6つを無造作に引き出し、ウィンド・ブーストを掛けて

俺は基地を飛び出した。













山についた。

時刻は約11時58分。危なかった。これより早く行ってたら修行が襲ってきただろう。

因みにもう殆どの人が来ている。煙玉も運んできてくれたようだ。


後はリーダーの号令を待つだけ。と言うかどうやら俺の到着を待っててくれたようだ。俺が到着したのを確認して、リーダーが口を開く。


「これから、第130回総集会を始める!」


「「「「おおおお!」」」」


いつになくハイテンションだ。やっぱり煙玉効果?


「今日は殆どのやつは知ってると思うが煙玉の使い方と配布だ!」


その瞬間、後の方にいる他の基地の人がざわめく。

「そんなの聞いてねえぞ!?」「どちらにせよ今回はいいことが聞けそうだぜ。」「またあれじゃね?ロイドってやつが……。」


そんな言葉を制するように一人の人が立ち、質問している。

あ、ギーグさんだ。真面目だしなぁ。


「そんな話聞いてないぞ?ていうかそもそも作ったのか?それともどこかから盗ってきたのか?」


「完成したのが一週間くらい前だしな。いう暇なんて無かったよ。

因みに作ったのは「小さな天才」だ。今回は100個位作ったから使い方を覚えてくれ。とい訳でこれから使うのに必要な道具と煙玉を配布する。

それぞれ基地の人に分けてくれよ?てことでロイド。『火打ち金』を作り始めてくれ。」


「わかりました。」


リーダーが言い終えると、またざわざわしだした。

それを無視して、俺は火打ち金を作ることだけに集中する。

俺は集中すれば4つまで同時に魔法が使えるし。すぐに100個の火打ち金も出来るだろう。

俺は、ひたすら同じことをする脳に切り替えた。








火打ち金が作り終わる頃、ちょうど煙玉の配布が終わっていた。

ふう。ここずっと疲れてばっかりだ。早くぐっすり寝たい。

あーもう寝ちゃおう。こんな苦痛は嫌だ。

煙玉の説明をリーダーに丸投げするのは気が引けるが、俺の体が持たない。


おやすみ。がんばれ我らがリーダー。

心のなかで呟いて、俺は寝た。

















目が覚めると、自分が基地の中にいることに気付いた。

たしか寝た時は山の中だったし、誰かが担いでってくれたんだろう。


閑話休題。外を見ると、朝、ということがわかった。

日時計を見ると今は三時十分。ずいぶん寝たな。


とりあえず、こういう時にいつもしている訓練をしよう。

まず、筋トレ。小さい頃から筋肉をつけちゃうと背が伸びにくくなるのは知っているが、さすがにこの体で人から逃げられるとは思えない。

筋トレを30分ほどした所で、黙想に移る。

黙想とは普通、集中力を高めたり自分を見つめなおす為にやることが多いのだが、前に黙想して魔力を見つけられたようになにか見つけられないだろうか?

と考えやってみた結果、魔力の手が少しずつ大きく出来るようになっていくのを感じたのだ。それ以来、俺は暇な時には黙想をしている。

因みに『マジックサーチャー』で魔力の総量は増えたのか調べてみたが、

全く増えてなかった。べ、別に落ち込んでなんかいないんだからね!


と回想はともかく、黙想を終えた俺は、次に攻撃魔法の練習を始める。

ぶっちゃけ諦められなかったのだ。だって男なら一回はドカンと爆発とか起こしてみたいと思うだろ?

まあどうせ俺じゃあ火属性がないから爆発は無理だが、それでも岩雪崩とかやってみたいのだ。本当は結構魔法の練習に時間がかかるそうなので、

もしかしたら俺でも攻撃魔法が使えるかもしれないと懸命に練習している。


こんな訓練を四時半位まで続けていると、大抵リーダーが起きてくる。

相変わらず最速だ。前世の俺と起きる時間が変わらない。


「おう、おはようロイド。すげえグッスリ寝てたぞ?」


「そうですか……。でもあんなブラック企業まがいなことをやれば誰だって

グッスリ眠りたくなりますよ。」


「ブラック企業……?まあいいや。今日はお前にやってほしいことがあってな。」


「煙玉作りですか?ちょっとあれは休ませてくださいよ。」


「いや、違う。煙玉は関係ないんだ。

ロイド、お前さ―――――


食料調達を始めないか?」


え?食料調達って盗みのことだろ?いずれやらなきゃいけないとはわかっていたけど、ちょっと心の準備ができてない。

なんたって現大日本に住んでた奴が盗みをするんだぜ?そら戸惑うわ。


「いや、別に今じゃなくてもいいぞ?本来は四歳からやるもんだしな。

ただ、お前はもう十分に戦闘力があるし、煙玉もあるからもう十分食料調達が出来る能力があるな、と感じただけだ。

ただお前は常に腹が減ってるだろうから提案してみただけだ。」


うーん。たしかに俺は常に空腹にうなされている。正直出来るものならやりたい。

ただ、いいのだろうか。我慢できる空腹を解消するために人から物を取る、と言うのは。あまり気が進まない。


「やめて、おきます。」


「そうか……………。いや、いいんだ。まだ二歳だしな。

それに芋やら煙玉だとか治癒魔法とかで十分役に立ってるしな。

別に責任を感じる必要はないぞ。」


いやあ、リーダーの優しさが身にしみる。いつもは完全ヤンキーだけど、

こんな一面もあるんだよなぁ。て、まさかツンデレ属性か!?


「有り難うございます。まだ決心がついていないので今度にしますよ。」


「わかった。あと一つ、頼みがあるんだが………。」


「なんですか?」


「実は、昨日酒場で飯を盗りに行った奴が、そこにいた冒険者に襲われたらしいんだ。幸いその冒険者はそこまで強くなかったから逃げれたらしいが……。ちょっと骨をやっちまったらしい。光属性のほうが後遺症が残らないし、治してもらえないか?」


「勿論ですよ。それが僕の仕事ですから。」


「よし、じゃあそいつは他の基地にいるんだ。ついてきてくれ。

あ、後ついでに『ウィンド・ブースト』も掛けてくれ。出来るだけ他の人間に見つかりたくないからな。」


「了解です。ちょっとおぶってください。」


因みにもうおぶってもらうのは慣れた。人間どんなに恥ずかしくても慣れればへっちゃらなのさ!


「オッケイ!じゃ、行くぞ!」


その瞬間、かなりのスピードでリーダーが走り出す。



―――――ガチャン。バタン。


ドアを一瞬だけ開きリーダーと俺は患者の元へ向かう。


前世では絶対なかったであろう出来事。

それが、今の日常になっていることに俺は楽しさを感じる。

生きる為に動くってこんなに嬉しいことなんだと、実感した。


ああ、なんだか滅茶苦茶叫びたいなぁ。

もういいや、叫ぼう。


「この世界にっ!圧倒的感しっ!」





―――――あっ。舌噛んじまった。


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