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251話 対グランドタートル 1

『グランドタートル』目指し走る俺達は、道中で森に差し掛かった。

どこか見覚えがある森だ。

そんなことを考えながら、木から木へと飛び移る。

勿論、こんなところでは馬も自転車も使えないので自転車は収納袋に、馬は置いてきた。

因みに、あの馬は普通に強い。Dランクの魔物までなら処理できるだろう。

馬まで強いってAランクすごすぎだろ。


その本人は、槍に火属性を付加させて、道を切り拓いていた。

森を傷つけるのは近隣の住民にとってはあまり好ましくないことなのだが、まあ急いでいるから仕方がない。


(………お?)


俺の『マジックサーチャー』に、魔物が映る。

次の瞬間、俺の魔手に何かを潰した感触が残った。


「狼の魔物、一体駆除。」


「お前さんの攻撃、リーチどうなってんだ………。」


『紅槍』さんの呆れた声を聞きながら、俺は次の獲物を探す。


「そういやよお、なんか魔物とかモンスターが多くねえか?」


厄介な猿系モンスターの処理をするギルが、木の上から言った。


「『グランドタートル』の影響だろうね。やっぱり早めに倒さないとマズイよ。」


「実際、今回のターゲットは魔力だけなら一流だぜ。

あたりにこれだけ影響を及ぼせるモンスターは中々いねえ。しかも知能持ちとなると………。案外、厳しい敵かもしれないな。」


「Aランクがそう言うと説得力があるな!」


「気楽に言うなぁ………。命掛かってるんだよ?」


「それはいつものことだろ!」


「「言われてみればそうだ」」


俺ら死にかけまくってるからな。

安全マージンを確保してたはずなのに気がついたら敵陣に突っ込んでたりしている。

ってか、突撃中の高揚感って結構すごいからな。ほらあれだ、無双ゲームでWRYYYYYYYYYYYYY!!!!!!ってなるだろ?あれをリアルでやるようなもんなんだ。


「まあ、でも実際作戦を立てるに越したことはねえぜ。

最低限敵の情報だけでもしっかり共有しておけ。ロイド、お前、グランに話聞いてただろ?」


「そういえば、言ってなかったな。」


「よくよく考えたら僕達、『グランドタートル』について殆ど話を聞いてなかったね。」


「今回相手にする『グランドタートル』は、防御力の高いモンスターだ。

まあカメのモンスターは大体そうだが、そいつは群を抜いて硬いらしい。

攻撃方法は土属性魔法。」


土属性の厄介なところは、単純な物量攻撃をしてくるからかわしにくい所。

それと、防御力をあげられる上に『ヘイレン』も使えるところだ。

逆に、弱点は燃費の悪さ。だが。


「魔力が多い奴の土属性魔法ってことは、かなり強えんじゃないのか?」


「聞いた話だと、魔力制御が雑らしい。

だから、想像するほどのパワーは出ねえ。」


「なら『マジックサーチャー』があれば大丈夫かな?あと、他に特徴とかある?」


「擬態能力だ。

まあ、これは『マジックサーチャー』があるから大丈夫だろうな。

それと、普通に重いから体当たりだけで俺らじゃ死にかけるぞ。直撃はするな。」


「そこは僕の出番だね。」


「防御は全部シュウに任せる。『マジック・ティラン』で『マジックサーチャー』を共有するから魔法にも対応できるはずだ。

雑魚は俺が一人で牽制しよう。

『グランドタートル』を倒すのはギルの役目。いいか?」


「「分かった!」」


正直、一人一人の負担は大きい。

だが、この3人なら出来るはずだ。今までもなんとかなってたしな。


「そうだ、大事なことを言ってなかったな。

今回の『グランドタートル』、知能が高いらしい。」


「そいつは凄えな!

ってことは、モンスターと話せるのか?」


「らしいな。人語を理解できるらしいから、かなり知能が高いはずだぜ。」


「どの能力よりも、それが一番厄介な気がするよ。

それに、近隣の魔物も統率してるんでしょ?」


「ああ。それに加えて、ちょっとした罠とかがあるかもしれないな。気を付けて戦いに挑むに越したことはない。」


「そいつは怖えな………。まあ、罠とかなら躱すのは得意だぜ!」


ギルの勘はそういった戦闘に関わるものに対して恐ろしいほど効果を発揮するからなぁ。

最近は魔手も切ってくるようになった。例の『ラケルトゥス・ドラゴン』の魔石を吸収して得た力は伊達じゃないようだ。若干羨ましい。


ここまで考えた所で、俺は悪寒を感じた。

そうだ、夢の内容(…………)を思い出せ。


(近いうちに、俺は怒りを覚える(…………)…………?)


ハッとした。

もしかして、誰かが『グランドタートル』に殺られる………?

そう考え始めた途端、体が震えだした。


あの記憶(………)が甦る。

赤い液体が辺り一面に拡がった、あの光景が。

血を浴びた剣を引っさげて笑顔を浮かべる勇者が。


…………大切な友人の、死が。



「……ィド!ロイド!ねえ、いきなりどうしたの!?」


「うあ!?

……………いや、大丈夫だぜ。ちょっと緊張しただけだ。」


「そ、そう?ならいいんだけどさ………。」


そう、まだ大丈夫だ。それに、それで俺がキレると決まったわけじゃない。

まだ考える時間はある。その間に、どうにかしよう。


俺が、平静を取り戻した直後。


『マジックサーチャー』に、巨大な魔力反応が写った。



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