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245話 虫うざすぎンゴ………

「ウラララララララァァァァッッッ!」


「WRYYYYYYYYYY!!!!!!!!」


二本の大剣が、宙に浮く4本の水の剣が、50cmはある虫型モンスターを大量に切り刻む。


「くっそ、こいつらどんだけいやがんだよ!」


「一体一体はよえーんだけど!」


「後方から群れ、来るよ!」


俺らが奮闘するその後ろで、影の薄い男が一人立つ。

言わなくてもわかると思うが、現在俺達はBランク昇格試験の最中だ。

目標はBランクダンジョン、『ケーファ・ダンプ』における、モンスター5000体の

討伐。

今は繁殖期なので勝手に襲ってきてくれるから5000体は楽とか言われてはいた。

けど。


「一回に襲ってくる群れの数が多すぎる!というか普通に強い!」


「二人じゃキツすぎるぜ………ッ!」


シュウは足場が沼なので俺達の足場を作り、さらに俺達に回避行動をとらせないため全ての攻撃を防いでいる。

実質攻撃できるのは俺とギルだけ。

しかも、相手も雑魚とはいえ流石にBランクダンジョン、振るえば当たるってわけでもない。

しっかり見極め、できるだけ多くを巻き込めるよう考えて攻撃してやっと効率良く殺せるのだ。

当然、この作業には集中力がいる。


「ロイド!また休む!」


現に、もうギルは集中力と体力が切れて仮眠をとるのを何度も繰り返している。

こういうのに慣れててかつ魔力がほぼ無限に使える俺だから、ここまで休みなしに戦えるのだ。

だが、やはり一人では限界が来る。


「シュウ、投げてくれ!」


「わかった!」


疲れで隙ができた俺の背後から、シュウがボールを投げた。

俺の魔手がそれを握ると、空いている穴から勢いよく煙が飛びでる。

それがモンスターに当たるとモンスターはヘロヘロと沼に落ちて沈んでいった。


今のは前世でいう殺虫剤だ。

虫の神経を虐めるピレスロイド系成分の中でも強力な『イミプロトリン』をいれてある。ゴキジェットとほぼ同じ威力だ。

だが、作るのが難しいのでそこまで作っていない。割と切り札的存在なのだ。


一時的に戦線を維持できたのを確認して俺は戦線に復帰する。

後で今技で隠密を行っている監視官に質問されそうだ。


だが、そんなことを考えている余裕は今はない。

とりあえず、限界が近づいてきたから一旦虫達を撤退させることにした。


マッチに火をつけ、それを何本も山なりに投げてばら撒く。因みに、このマッチは滅茶苦茶もえるようにしてあるので火力は結構ある。

それが未だに空中にある間に、魔法を発動。


「『ウィンド・ロール』!」


風を生む、ただそれだけの単調な魔法。

だが、これを小規模の竜巻のように使えば変わる。

竜巻はマッチの火を吸い込み、ちょっとした火災旋風もどきと化したのだ。

上昇気流万歳!


ジュアアアアアアと音をたて、虫型モンスターが面白いほど焼ける。

ただ、コントロールはあまり出来ていないので『セイクリッドガード』で防いでないといけないのが欠点だ。


「きぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」


虫型モンスターは、相変わらずの素早さで竜巻から逃げる。

竜巻はそれを逃さず焼きまくる。

一部は逃げ切ったようだが、まあ今は体勢を立て直すためにやったので逃すことにした。

あとは、『エクスカリバー』で叩き斬って火災旋風を消去。


虫寄せのために使っていた光球を消し、俺はその場にへたり込んだ。


「うああ、疲れる………。」


試験は、まだまだ続く。














なんとかモンスター5000体斬りを達成した俺達は、ギルドに戻っていた。


「うーん、やっぱお前ら範囲攻撃が乏しいみてえだな。」


報告書を読んだグランさんが言った。


「俺は攻撃魔法が使えないし、シュウは魔力が少なすぎるからな。

火災旋風とかなら結構威力は出るんだが。」


どうせ俺が魔法を使えたとしても魔力総量の問題で俺も大魔法は使えないんだけど、と内心追加しておく。


「ああ、あれな。報告書にも書かれていた。他に、しょっちゅうモンスターを殺す煙が出ていたらしいがあれは何だ?」


「虫を殺すための薬だよ。モンスターにもちゃんと効いてよかった。」


「また訳の分からんものを作って………。

まあ、そういう知識も含めての冒険者だし、普通に合格なんだけどな。」


「寧ろ俺の場合強みはそこだからな。

で、二つ目の試験は?」


二つ目の試験は大型モンスターの討伐。

俺達にとっては一つ目より楽なはずだ。


「それがよ、最近ちょうどいいモンスターが出没しねえんだよ。

ダンジョンのボスを倒すことにしてもいいんだが、できれば防衛戦とかも覚えてほしいからあまりやりたくない。


ってことで、何かしら出没するまで待っててくれ。」


「ということは、待機?」


「そういうことになるな。

今日はもう疲れただろうから帰って休め。」


「わかった。」


俺は、他の冒険者と遊んでいる二人を引き連れて、家に帰った。

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