244話 僕は死にましぇん!
キ○ークイーンばりの爆弾パワーでボスを突破した俺は、メモを携えてギルドに帰ってきていた。
「ただいまー。」
「はっや!?お前日帰りで突破ってどういうことだよ!?」
「ボス以外はそんな強くなかったからな。それに、迷宮形式じゃなかったらから登るだけですんだ。」
「ボスは強かったのか。で、どんな感じだったよ?」
「ほい。」
俺は、グランさんにさっとメモを渡した。
「成る程な、爬虫類系か。元の動物があまり大きくない奴らばかりだから確かに弱いかもな。
しかもこれ相手の毒の効き具合とか書いてあるぞ。何やったんだお前。」
「わざと噛まれて『アンチポイズン』したんだよ。そんな変なことか?俺だったらいくらでも取れる作戦だ。」
「見た目にそぐわぬワイルドさだな。光属性の特典ってところか。」
「だな。殆どの怪我が一瞬で治るってのはでかいぜ。」
「まあ、魔力すら持ってねえ俺からすりゃあ魔力持ってるだけでも十分なんだけどな。
で、肝心のボスはと。
キマイラか。魔石はどうした?」
「超火力で葬ったからな、魔石が溶けた。」
「魔石が溶けたってなんだよ!?
キマイラってアイツ防御力たけえだろ!?」
「だから超火力で葬ったんだよ。
お前見てたっけ?あのラケルトゥス・ドラゴンにぶちかましたアイテム。
あれのエネルギーが全部熱になったバージョン。それを二個も使ったら溶けるわ確かに何やってたんだ俺。」
「相変わらず恐ろしいもんを隠し持ってんな………。お前狙われるぞ。」
「もう狙われてるわ。最近一回捕まったし。」
「警備兵にか?確かに街中で火で遊んでたら捕まるな。」
「いや貴族に拷問用途で。」
「……………なんでお前それで死なねえんだよ。」
「まあ、悪運だな。」
あれは運だった。偶々失敗した作品をあっちが使うとは。
「最近こねえと思ったらそれか。」
「まあ、あとはフェルトの手続きだな。」
「よく働くなぁ。
お、メモの評価が来たぞ。A+だ。よく纏められてたからな。
ってな訳で、これが報酬だ。」
グランさんは、そう言ってドンと金を置いた。
最近は報酬も多くなってきたな。危険度も増したけど。
俺が中身を確認していると、グランさんが中の職員に呼ばれた。
「ん?どうした。
……………え?お、おう。
ロイド、お前に何かあるみたいだ。ちょっとそこで待っててくれ。」
会話の内容は聞こえなかったが、気にせず待つことにした。
この時間帯は何処も混んでるはずなんだが、相変わらずグランさんの所は人が並んでいない。
皆若い女の方にいくからな。
グランさんの不人気っぷりに妙な安心を覚えて俺が待っていると、グランさんが戻ってきた。
「ギルマスからの推薦だ。お前、Bランクの試験を受けないか?」
「はい?」
「キマイラ殺したって話聞いてたらしくて、「ならもうBランクでいいだろ!…………………ヒック」とか言ってたらしい。」
「なんで酔っぱらいの発言をまじめに受け止めてんの!?」
「あいつ、残念なことに酔い耐性まで極めたせいで酒爆飲みしながら理性保てるんだよ。」
「残念だ。」
「ああ、残念だ。」
「でだ。Bランクの試験の内容はどうなるんだ?」
「逆に質問だ。Bランクまで来ると、何が求められると思う?」
質問を質問で(ryと言おうとして、自重した。
「生き残ることか?」
「それも大事だな。
だが、それはBランクに推薦されるくらいの冒険者なら当たり前にできることだ。
お前がいい例だな。なんでだってくらい死なねえ。」
「おい、俺にそこまで死んで欲しいか。」
「お前がどうやったら死ぬのか教えてくれよ。」
質問をしつもn(ry
「……………で、答えは?」
「単純な戦闘力だ。
逃げるとかじゃなくて、とにかく相手を倒せる。
その点、ギルとシュウはギルマスのお墨付きだし、お前はBランク下位のパーティが倒すようなモンスターを単騎で倒した。
戦力としては十分と判断されたんだろ。」
成る程な。
考えてみれば、もうBランクまで到達すれば村の防衛戦、迷宮攻略とかでの要になったりする。
そんな奴が逃げて生き残ることばかり考えていちゃダメなのだろう。
「因みに、Bランクになることで得られる特典とかはあるか?」
「勿論あるぜ。
例えば、そうだな。
闘技場あるだろ?あそこが訓練に使える。あと、お前が喜びそうなものだと図書館の利用が結構解禁される。」
「いいなそれ。受けるわ。」
「いいのか?他の二人の意見は聞かなくて。」
「このパーティの運営は俺に任されているからな。大丈夫だ。」
「なら、これを見てくれ。」
そう言って、グランさんが紙を見せてくる。
書いてあるのはBランクの試験の内容だった。
1.雑魚処理
虫系ダンジョン(Bランク)いずれかの制覇
2.対強力モンスター
何かしら強力なモンスターが出没している場合はそのモンスター、いないようであればBランクのボスを倒す。
「この2つをクリアすれば、お前もBランク冒険者になれる。」
「成る程な。」
「まずは1番からだな。
準備ができたらここに来てくれ。」
「あいわかった。」
虫系ダンジョンか………。
対策を考えながら、俺は家に帰った。




