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231話 ようこそ、腹筋スレへ!

ニア家とブンドル家。

2つの候補を前にして、俺達は悩んでいた。


「なんでこう、2つも出るんだか………。」


「でも、ニア家のほうが確実性が高いよね。実際にお金も出しているし。」


「でもそれは証拠にはなりえませんよ?

将来有望な暗殺者や諜報員に投資して後々恩恵を得るというのは意外とよくある話です。」


「じゃあ、結局どっちも確定できないな。

変にニア家だけ疑ってニア家が俺達に敵意を持ってない場合、ニア家が敵に回ってもっと状況が悪くなるとかあるからな。」


何と面倒な。


「というより、相手が何のアクションも起こしてくれないってのが辛いよね。」


シュウが言うと、アリエルも賛同した。


「ここ3日間、本当に何のアクションもありませんでしたからね。」


カナルの風魔法にも、俺の『マジックサーチャー』にも少しもかからなかった。

あまりにも、平穏すぎる。


「………俺の防音魔法も完璧だからな、ここの会話から俺達が警戒されてるってことはないはずだよな。」


「確かに。」


カナルの風魔法による防音は凄い。

いつも大声のギルが更に喉と肺を『ブースト』して叫んでも全く音が漏れなかった。

因みに間違ってギルと同じ部屋にいたカナルは鼓膜が破れて可愛そうだった。俺が治したけど。何だあれ滅びの歌かよ。


「となると、僕達が情報屋を使ったのがまずかったのかなぁ………。」


俺達は防音なんて便利なシロモノを持ってないからな。

一応、情報屋側も防音用の魔法は使ってるだろうが、それでもカナルほど完璧じゃない。


「となると、やっぱり諜報員を雇いまくってるブンドル家もやっぱり怪しいな。」


「結局全部怪しいじゃねえか…………。」


「やっぱり、何か一つ相手側からアクションがほしい。」


「お、相手側にアクションを起こさせればいいんだな?」


「あ、ギルおはよう。」


ここで、頭脳労働は苦手だからとちょっと前から寝ていたギルが起きた。

ギルは、寝ぼけ眼のまま一つ提案した。


「 ロイドを餌にしようぜ 」



「………え?」


何そのまな板にしようぜ的なノリ。あれで次元関わらず何人の女性が死んだと思ってるの。

ってか何、俺腹筋スレのタイトルか何か?


「いい案だな、確実に釣れる………ぷくく………」

「Zzz………………。」

「そういえばペイント玉があったね。ロイド、嫌がらせの道具は揃ってるよ?」

「それに見てて楽しそうです。」


「ひでえ!?

ってかなんで言った張本人は寝てるのかなぁ!?」


おら『アンチスリープ』『アンチスリープ』『アンチスリープ』!

………なんで光属性の回復魔法が効かないんだコイツ。


「という訳で、ロイド、挑発は頼んだぞ。」


「俺の身の安全は誰が確保してくれんだよ………。」


「俺がお前を守ってやるから安心してくれ。」


そう言いながらとびっきりのイケメンスマイルを俺に向けるカナル。

俺が女子だったらイチコロだっただろうが、そもそも俺男だしノンケだししかもこれで守ってくれないとかだったら鬼畜だからな!?



結局、俺が両家に乗り込むことになった。

なんでや。















午前3時34分。

阪神が二次災害喰らってそうな時間に、俺はブンドル家に乗り込んでいた。


魔手にバケツを携え、『マジックガード』に乗って無音で窓に辿り着いた俺は、そのまま魔手を鍵穴に流し込み合鍵を作った。

そのまま、月明かりに被せるように俺がフラッシュを放つ。

門番二人は眠いのか、俺に全く気づく素振りを見せずその場に待機している。

それを確認した直後、俺の周りに空気の結界が張られた。


(よしきた)


カナルの防音結界だ。これで音は漏れない。

さっき作った合鍵で、窓を開ける。

なんだこれ錆びてんな。

まあ音でても関係ないけどさ。


半ばゴリ押しで窓をこじ開けた俺は、そのまま屋敷の中に潜入。

スヤスヤと子供さんが寝てたのでスルー。親のせいで子供が被害被るのはダメだよな。



―――――――――ズルッ。


と思った矢先、俺が見事にコケる。

と同時に思わず一本魔手の操作をミスり、バケツをひっくり返してしまった。


―――――――――ザアッ!


見事に青いペンキがぶちまけられ、子供がペンキまみれになった。


オヤノセイデコドモガヒガイカブルノハダメダヨナー。


さて見なかったことにしておこう。まだ寝てるし。


俺はソローっと部屋を出た。


続いて俺が向かったのはブンドル家の大きな廊下。

その横にある大きな壁に、彩り豊かに俺は大きく書いた。いや、描いた。



『ご立派な貴族様がただの庶民の小さな子供に振り回されて業を煮やすってねえどんな気持ち?ねえねえねえどんな気持ちー?m9(^Д^)プギャー』



やばい、コイツはムカつく。そして多分俺のことだってわかって余裕で刺客差し向けてくる。釣られクマー。仕事果たしまくりだよ。


ってか、その場のノリで書いちゃったけどこれブンドル家が『唸る水流』飼ってなかったらただ煽っただけじゃねえか?

ちょっとまずいかもしれん。

まあいいか、ブンドル家に関しては最初っから敵だったし。


それに


(どうせ消せねえしな………)



やっちまった感半端ねえ…………。

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