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224話 貴族優遇されすぎィ!

無職転生、完結してしまいましたね………

翌日。

おっさんに呼ばれた俺は、おっさんの家で胡座をかいていた。


「………で、おっさん。

どうしたんだ?急に呼んで。」


「ああ、お前に頼まれていたブーツと、それに加えて『ビッチュウグワ』って奴の試作品を作ってみた。ちょっと見てくれ。」


おっさんは、そう言ってまずはブーツを見せてくれた。


うん、魔力が凄いな。持ってるだけで『白濁拳(ヴァイス・ファウスト)』のような魔力を感じる。


「ハラショー、こいつは力を感じる。

で、名前とかどうするんだ?」


「特に決めてないな。

『リザードスタンプ』でよくね?」


「まあ、それでいいか。

じゃ、ちょっと面白そうだし履いてみるわ。」


「!?ちょ、お前はダメ……「いだっ!?」

………そいつ、何故か魔力持ちは受け付けねえんだよ……………。」


うっわ、ビビった。

魔力が流れる回路に電流が流れた感じ。

後遺症は………うん、ないな。


「まあ、こいつはいいや。

で、備中鍬はどこだ?」


「そこにたてかけてある。

どうだ?なんか変なところはあったりするか?」


指さした方向にある備中鍬を見たが、特に変なところはない。

まあ、もともと俺は農業が云々言えるほど農業に精通してないが。

それよりも。


「そもそも農具だし、そんな精密なものを作る必要はないと思うぜ?

いや、素晴らしい出来だけど。」


おっさんの作った備中鍬は、とても一日で作ったとは思えない程美しいシロモノだった。

刃先がスラリと伸び、それでいて細すぎない。

武器として使えそうだ。流石武具職人。農具を絶首の鎌に変える程度造作も無いってか。



……………いやおかしいだろ。


「そうなのか?

ほら、さ。お前が作るものって大抵精密じゃん?」


「これはあくまで農具だからさ、そんな凝る意味は無いぜ。」


「マジかよ………張り切って損した………。」


「お、おう……………。」


おっさんは、そう意気消沈すると徐ろに携帯型溶鉱炉を取り出し、鉄を叩き始めた。


「…………何してんの?」


「何か疲れたから『センバコキ』でも作るわ。」


鍛冶に疲れて鍛冶をするのか。つわ◯すかよ。















「いやー、今日も仕事が早く終わったぜ。

坊主、ありがとな。」


「俺も特にやること無いからな。

丁度『豪気』の練習にもなるし。」


俺の『ブースト』もギリギリ様になってきた。

少なくとも知らないうちに体力が底をつきてぶっ倒れるなんてことはなくなった。


「俺も『豪気』を扱えるように鍛錬してみるか………。」


門番さんも俺に影響されたのか、真剣に考え始めた。

ってか、豪気ってどういうものなんだろう。

魔力はなんとなくわかるが、豪気はよくわからん。

体力が謎エネルギーに変わるとかどういう原理なんだ。


「ちょっと家に帰って筋トレをしてくる。

お前はどうする?」


「じゃあ、少しこの村を回ってみるかな。

ほら、俺この村よく知らないし。」


「そうか。

まあ、特に見ても面白いことなんか無いと思うがな。

じゃ。夜には戻ってこいよ。」


「おう。」


門番さんと別れた俺は、村の散策を始める。

特に宛もなく、フラフラと。

田舎でのこういうのんびりとした行為は、俺を癒してくれる。

生まれてから戦闘ばっかしているからかな。

我ながら早死しそうな人生だ。



この村を散策していて最初に思ったことは、貧相すぎる、だった。

門番さんのように俺を泊められるだけの余裕があるのはほんの一握りだというのも分かった。

見たところ、いうほど作柄も悪くないはずなんだが……………。

税金か?


「じーさん、ちょっと質問いいか?」


近くにいた畑仕事をしている爺さんに声をかける。


「あ?誰かと思ったら昨日のチビすけか。なんだ?」


「ここの税金って重いのか?」


「………………!」


じーさんは、目を見開いてこっちを見た。


「ホントにそれはしらねえって顔だな………。

そんだけ小さくて冒険者ってことはてめえ、元々孤児だな?

ならまだ幼いし知らねえか。


言っとくが、こういう辺境の村の税金ってのは結構キツイぜ。

少なくとも毎年半分は取られる。

んで、そのオレ達が汗水たらして作った作物は貴族様の道楽に消えるってわけだ。

いやー、下級でいいからオレは貴族様に生まれたかったよ。」


「貴族に生まれたかったってのはわかるな、俺も。」


アリエルやカナル、イグニスなんかを見てるとしょっちゅう羨ましくなる。

まあ、金だけなら俺も中級貴族に並ぶが。


「まあ、チビすけは戦うセンスがあったからいいけどよ。

オレなんて、何の才能もねえただの男として生まれたからな。

おかげさまで老いぼれになっても搾取されまくりよ。

見ろよ、この手。苦労の跡が見えるだろ?

あっはっはっはっは!」


そう言って爺さんは、滅茶苦茶マメや傷だらけな手を広げてみせた。

枯れ木のような体に比べ、意外とその手は分厚かった。

よく見ると、爺さんの身体の大事なところには未だしっかりと筋肉が残っている。


俺は、なんとなく複雑な感情を抱いた。


「おーい!オヤジィ!サボってねえで働いてくれ!」


俺が爺さんに声をかけようとした途端、畑の奥の方から40代ほどのおっさんが叫んだ。


「ありゃりゃ。怒られちまったよ。

んじゃ、オレは仕事に戻るぜ。

あ、そうだ。冒険者なんて危険な仕事をやってるチビすけに老いぼれからのアドバイスをやる。

チビすけ、無理はするなよ。

人生、死ななけりゃあ案外どうにでもなるからなぁ!」


あっはっは、と笑い、爺さんは畑仕事に戻った。

なんとなく、爺さんが可哀想になった。


……………城塞都市に帰ったら、後で税金について皆に聞いてみよう。

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