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222話 魔力持ち不遇すぎワロタwww ワロタ………

「うおお、つか、れた………。」


『スカーレットグリズリー』を殺した俺はその場で倒れた。

やっべえ、めっちゃ疲れた。

なんだ『豪気』って。なんでこんなにスタミナ削られるのに皆動き回れるんだ。

さて、こんな血生臭いところにいるのも嫌だし一旦門番のもとに帰ろう。


おーいイ◯ノ!キャッチボールやろうぜ!ボールお前な!


俺は、ぼっちキャッチボールを魔手で繰り広げながら、森の中を飛ばされていった。













「いやぁ、良かった良かった。

矢が意味ないのがわかった時はヒヤヒヤしたぜ。」


「意味なかったわけじゃないけどな。

お陰でだまし討ちが成功した。」


あいつが嗅覚に頼らざるをえない状況になったからこそ、最後の臭い分身が成功したわけだし。


「まあ、結果オーライってところか。

それにしても、凄えよなあ、魔力ってのは。

今坊主が宙を浮いてるのも魔法なんだろ?」


「まあ、な。


………………そうだ、一つ質問ししてもいいか?」


「いいけど………どうした?」


「じゃあ遠慮なく聞くけど。

なんで『魔力持ち』を捨てるんだ?

こんなに便利だし、何より大きな戦力にもなるじゃないか。


いろいろ調べたけれど、やっぱりそこがどうしてもわからないんだ。」


「そうか………。

お前は、孤児か。」


勘の良い人だ。

でも。


「俺のことはどうでもいいだろ?」


「そうだな。

で、なんで『魔力持ち』を捨てるかだったな?

まあ、利便性や戦闘力の面で言えば確かに魔法は便利だよ。

でも、人間が集まって暮らすなら、どうしても人間関係が大事になってくる。」


「『魔力持ち』は性格が悪いとでも?」


「いや、そんなんじゃない。

じゃあ例えばだ。

水魔法が得意な『魔力持ち』が村にいたとしよう。

その時、丁度井戸の水が枯れかけた。

すると、どうなると思う?」


「皆がその『魔力持ち』に頼る?

いや、でもそれじゃ悪いことは…………。」


「いや、それであっているぞ。

皆が『魔力持ち』に頼ることで、その『魔力持ち』の立場、地位というのは自然と上がる。本人が望まなくてもな。

そうすることで、上手く保たれていた村における人間関係のバランスは崩れ始める。

それだけじゃなく、例えばもしその『魔力持ち』が性格に難のある人物だったらどうする?

すぐ調子にのってその場所を滅茶苦茶にしてしまう。

実際、それで殺人事件が起きたりもしているんだ。」


「でも、ただでさえ『魔力持ち』は少ないのに、更にその中で破壊衝動に囚われる人間なんて殆どいないはずだろ?」


「まあ、坊主の場合はしっかりしているからそう思うかもしれない。

けどな、普通の人は自分が集団の中で絶対的な力を持っていたら大抵歪む。

少なくとも、過半数は性格が歪む。

そんな諸刃の剣を、自分の近くに置けるか?

置けたとしても、どうしても対応は不自然になる。それが、更に『魔力持ち』を歪ませるんだ。

都会の中なら騎士団もいるし暴走しても武力でどうにかなるが、大抵の村は『スカーレットグリズリー』なんかが襲撃してきたら逃げ惑うしか出来ないほどに弱いしな。」


「そう、か。なら仕方がないか………。」


「まあ、お前の気持ちもわからんでもないぜ。

でもな、歪んだ『魔力持ち』ほど怖い存在は無いんだ。

この掟が全くなかった時代、各地で『魔力持ち』によって壊滅する街が大量に出たらしいぜ。」



………。


俺は、魔手と門番さんに引きずられる『スカーレットグリズリー』の死体を見ながら思った。

魔力ってのは、強大な力だ。

俺みたいな貧弱な9歳児でもこんな凶暴な魔物をを殺せるだけの力を得ることができる。

確かに、危険だ。


「………豪気は?」


「豪気も、確かに危険だ。

でも、大抵豪気を得るのは心身ともに成長した後だからな。余り心が歪まない。」


「成る程な。」


どんな力も使い手次第ってか。

だから、魔力持ちの俺も今は受けいられているのだろう。

だから、俺が捨てられたのも仕方がない。


いや、ポジティブに考えよう。

捨てられなければ俺が今まで会ってきた皆とは会えなかったかもしれない。

そう考えればいいんだ。


「……………悪いな、暗い話なんかして。」


「いやいや、お前がそう思うのもわかる。気にすんな。」


門番さんは、そう言って軽く笑った。


「いやー、それにしても6歳とは思えない頭の良さだなー。

俺びっくりしちゃったよ。」


「俺は9歳だッ!」


「……………え?」


「くそ、そんなに俺はチビか。そうか………!」


「いや、うん、まあ気にしてたのなら悪かった。」


「いいんだ。俺はどうせチビだから。」


「そんな悟りを開いたような顔をされても……。

やっぱり坊主は変わってるなぁ。

大人でもないけど、子供でもない。」


(そりゃ俺中身中二の頃からほぼ成長してないからな…………)


いや、多少は成長したかな。

まあ、毎日が生きるか死ぬかの日々だったし人として自然な成長をしてなくても仕方がないか。


俺は乾いた笑みを浮かべながら村へと進んでいった。

なんか説明回になっちゃいました。

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