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221話 森の畜生共強すぎェ…………

―――――――――バキッバキッ


『スカーレットグリズリー』は凄かった。

進路を塞ぐ木は全て腕をなぎ払うことで倒し、堂々と歩いて行く。

流石森の畜生共。そんじょそこらの有無現象とは格が違うぜ。


(それじゃ、門番さん。弓を頼んだ。)


門番さんに『アース・ブースト』をかけ、俺はそう促す。


(わかった………。)


『アース・ブースト』により心が落ち着いた門番さんは、静かに矢を番えた。



――――――――――――ヒュッ


静かに、矢が飛ぶ。

そしてそれが『スカーレットグリズリー』の目玉に命中する――――――


前に、『スカーレットグリズリー』がその右腕でしっかり叩き潰した。


目が合う。


(魔手装甲、『ウィンド・ブースト』!)


『スカーレットグリズリー』の注意をひくため、俺が全速力で前線に出る。

そのまま魔手で矢っぽいものを作り、『スカーレットグリズリー』の目にゴーシュート。

しかし超エキサイティンはせずに、普通に外れて『スカーレットグリズリー』の肩に当たった。


まあいい。

今のでさっきの矢を放ったのが俺だとは思ってくれたようだ。


さっと体を沈ませ、『スカーレットグリズリー』の足元に潜り込んだ俺は、回し蹴りを『スカーレットグリズリー』の左脛に当てる。


「GAAAAA!!!!」


しかし、怯まず『スカーレットグリズリー』はその右手を振り下ろす。

それをバックステップで回避。

目の前を豪腕が通りすぎた。


(あっぶねー。)


こいつの腕力だと俺の魔手装甲だって耐えられないだろう。

冷や汗を流しながら、俺は体勢をを直し、そのまま跳躍。

振り下ろされた『スカーレットグリズリー』の右腕に飛び乗り、駆け上がって『スカーレットグリズリー』の頭頂部に到達する。

さて、〆だな。


「『クリスタ・ルー………ぐぅッ!!!!!」


『スカーレットグリズリー』の爪が、俺の腹を切り裂く。俺の体は、簡単に『スカーレットグリズリー』の上から落ちた。


(『ヘイレン』!)


直ぐ様それを治し、受け身で衝撃を軽減。すぐに立ち上がって接近する。

くそ、痛かった。何だあの爪。


「GUOOOOOO!!!!!」


俺が接近する中、『スカーレットグリズリー』が咆哮とともに、魔力を高め始める。


(ブレスかよ!魔手装甲解除!)


「『セイクリッドガード』!」


展開すると同時に、赤黒いブレスが飛ぶ。

火属性と闇属性が混じったそのブレスは、威力はないものの周りをものすごい速度で延焼させていく。

いや、寧ろあまりに速い速度で燃えるため、周りに被害が広がらなかった。

勿論、『セイクリッドガード』はビクともしない。


――――――――――――ヒュン。


ここで、待ち望んでいた矢が放たれる。

『セイクリッドガード』を突破しようと躍起になっていた『スカーレットグリズリー』の左目にさくっと刺さる。


「GURUU!?」


――――――――――――ヒュン。


続いて第二矢。

こちらも見事右目に命中。


俺は悶絶する『スカーレットグリズリー』に追撃をかけようと走りだす。

その瞬間、俺は突然右へと吹っ飛ばされた。


(え?)


録に受け身も取れず木に激突。

そして、木を2本なぎ倒し、俺は止まった。


「ガフッ………。何が………。」


顔を上げると、そこには目を射抜かれながらもこちらの方を向いている『スカーレットグリズリー』が。


(まずい……!『ヘイレン』!)


魔手装甲で体を操り、近くの木の上に立つ。

そのまま『ヘイレン』の連打で体を癒やし、『スカーレットグリズリー』を見据える。

なんでだ?なんで目が見えないのに俺の方を向ける?

『スカーレットグリズリー』は間違いなく俺のことを見れない筈だ。


……………………そっか。


嗅覚だ。

あいつは、今俺のことなんて見ちゃいない。

俺を臭いで感知している。


「GURUOOOOO……………」


当の『スカーレットグリズリー』は口から黒い何かを出しながら、右腕を天に掲げ始めた。

その瞬間、『スカーレットグリズリー』の首筋に傷口が生まれる。


「くそ………『ダーク・ブースト』かよ………!」


俺の呟きを肯定するようにさっきよりも速く『スカーレットグリズリー』は地面を駆ける。目的は……………やっぱ俺か。

まあ、門番さんの方にいかれるよりはマシか。

ってか俺の臭いしかわからないからこっちにしか来ないよな。


なら、やりようはある。

俺は『ウィンド・ロール』を起こし、そのまま右の方に逃げる。


「!?」


途端、『スカーレットグリズリー』は突然目標失ったかのように止まる。

そりゃそうだろう。


なんたって臭いが完璧に分身した(・・・・・)のだから


(その隙がてめえに死を与えるぜ…………!)


「『クリスタ・ルーン』ッッ!」


再度、回転する槍を展開。

『スカーレットグリズリー』もやっとこっちに気づいたようで、右腕を振り上げる。


「え、ちょ、速っ!?」


「GURUUU!!!!!」


しかし、『スカーレットグリズリー』の右腕は予想を超えたスピードをたたき出していた。

加えて左腕も出され、『クリスタ・ルーン』と『スカーレットグリズリー』の両腕が拮抗する。



―――――――――――――ギギギギギギギッッッ!!!!!


「こん、のっ…………!」


押し込もうとするが、『ダーク・ブースト』で上がった身体能力に打ち勝つことが出来ない。

寧ろ、押されている。


「『フレイム・ブースト』……!」


残り少ない火属性魔力を総動員し、無理やり押し込まんとするが、やはり一歩足りない。

もう少し回せる魔力があれば魔手装甲が使えるのに………!


(せめて、せめて何か一手…………!)


そう思った瞬間、俺の体から何かが生まれた。

その何かは俺の体力を食べ、一気に急成長する。

ここまで僅か1フレームにも満たない時間。

けど、俺は本能的に理解できた。


こいつが、あの『豪気』ってやつだ。


そして、その『力』が俺の右腕に集中する。

その『力』はごく微量だったが、一秒にも満たない時間の中で、それは大きな力を発揮してくれた。


「うおっ!」


右腕の力が増幅する。

今なら……!


「突き抜けろ、『クリスタ・ルーン』!!!」


「GURUAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」


『フレイム・ブースト』で強化された両足で力強く地面を踏む。

そして、叫びながら俺は跳んだ。


「うおおおおおおお!!!!!!」


そのまま、『クリスタ・ルーン』は『スカーレットグリズリー』の脳天を突き抜ける。


鮮血、そして少量の黒い液体が舞った。

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