218話 ファンタジー凄すぎンゴwwwwww
定期テストと熾烈な戦いを繰り広げていたため、遅れました。すみません。
「ああ、坊主か。」
クエスト用紙を持つ俺を見て、おっさんはそう言った。
「ギルとシュウはいないけど、多分この道なら大丈夫だぜ。」
「今更お前の実力を疑う気にもならねえよ。
最近出た『ラケルトゥス・ドラゴン』もお前が致命傷を負わせたんだろ?
……………そうだ、坊主。
お前さん、『ラケルトゥス・ドラゴン』の魔石はあるか?」
「一応、あるにはあるんだけど…………。」
「何かあるのか?
まあいい。一回見せてみろ。」
言われたままに魔石を取り出し、俺はおっさんに渡した。
「…………………………。
少し劣化していないか?
とてもあの強力な竜のものとは思えない。」
「さっき言おうとしたことなんだけどな、かくかくしかじかで…………。」
俺がギルのことを説明すると、おっさんは魔石を弄りながら成る程、と言った。
「通りであんな重い得物をあの歳で振るえる訳だ。
ならこいつは小僧の靴にしてやろう。
この魔石なら、あの小僧に足りていなかった脚力を上げてくれる筈だ。」
「え?あいつ脚力が足りていなかったのか?」
「ああ。坊主やシュウは体のバランスがいいが、あの小僧は下半身が上半身に比べて弱かった。
『ラケルトゥス・ドラゴン』の魔石を足につけていれば、その内足もしっかりとするはずだ。
よし、こいつは今日から鍛錬してやるとしよう。」
「あれ、今日から村に行くんじゃあ………。」
「積み荷に携帯できる溶鉱炉の魔道具がある。
そいつを使う。」
なんじゃそりゃ、と思ったが、ここは異世界。
無から炎を生み出したりとか躊躇なく物理法則をねじ曲げてくるので今更驚くのもおかしいような気がする。
「そりゃありがたい。お代は?」
「お得意様だしな。
200万メルでいいぞ。」
20万円ってところか。
少々高いかもしれないが、使うだけで竜の魔力が足に馴染んで脚力が上がる靴だ。
妥当だろう。寧ろ彼の言う通り安い。
…………………それに、金は腐るほどあるからな。マジで。
「わかった。支払いはいつも通りで。
それで、いつ出発できる?」
「もういけるぞ。」
そう言いながら、おっさんは奥の方においてある荷台を指さした。
「あれに全部積んである。」
「いや、おっさん。荷台だけあっても引くものがいないと意味が無いだろ?
見たところ馬とかもいないようだし。」
「そういえば、坊主には言ってなかったな。
あいつ、自力で走るぞ。」
「ファッ!?」
「魔道具でな、『無人走行』が付与されているんだ。」
「それ、だいぶ高価なんじゃあ…………。」
「王国の旧友が送ってくれたものだからな、タダだぜ。
さて、じゃあ乗れ。とりあえず目的地を設定する。」
「どこのカーナビだよ…………。」
「うらよっと。」
俺は、魔手で魔物から魔石を奪い取り、自分のポケットにしまった。
この荷台、意外とスピードがあるからスナイプが難しい。
「とんでもない索敵能力だな。」
「死んだ爺ちゃんが『マジックサーチャー』だけは怠るなって。」
「そ、そうなのか………。」
「冗談だよ。そもそも俺は自分のじいちゃんを知らない。」
「おい!?」
そんなツッコミをしている間にも、おっさんはさっき言っていた靴を作っている。
靴のサイズが合わないのではと思ったが、伸び縮みする革で作ってくれるらしい。
相変わらず良い物を作ってくれる。
「そういえば、おっさんはなんで村に行くんだ?」
「お袋に会いに行くんだ。
序に武具を安めで売る。あそこは一人も鍛冶ができねえからな。
ったく、周りに魔物がうじゃうじゃしてんのに無茶してくれるぜ。」
「お袋…………か。」
お袋と聞いて胸がチクリと傷んだ。
ふと、望郷の念が頭をよぎる。
けど、俺はそれをすぐに振り払った。
今さらそんなもんを望んだってどうしようもない。
「そういえば、魔力持ちの俺が村に入っても大丈夫なのか?」
自分が捨てられた理由を思い出し、俺はおっさんに尋ねた。
「ああ、大丈夫だ。
正直いって、魔力持ちが捨てられる理由は後々村でいざこざになるからって理由が主だ。
よそ者は大丈夫だろう。」
あー、成る程。
魔法ってのは便利極まりないものだ。
苦労しなくても火が出せるし、井戸まで行かなくても水が出せる。
そんな人間が周りにいれば、それまで保たれていたパワーバランスとかが一瞬で崩壊するだろう。
けど、それだけで間引きなんてするか…………?
他にも何かあるのかもしれないな。
「なら良かった。」
そういいながら、近づいてきた蛇の魔物をぶち殺す。
更に、大型の虫の魔物を荷台で轢き殺した。
意外とパワーと耐久力あるなコレ。
俺はごおごおと燃える携帯溶鉱炉と荷台が地面を蹴る音を聞きながら、うーんと伸びをした。
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