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206話 ギルマス は たおれた!

すみません、宿題なるモンスターの猛攻により間に合いませんでした。


今日中にもう一話投稿します。

バタ、と数々の実力者がその場で倒れる。


「ワリィ………。

野郎、突進のタイミングを測ってやがった……。」


ギルマスも、片膝で苦しそうにしている。

豪気が無くなるということは、体力もなくなるということ。

スタミナを限界まで使い切ったのだ、仕方がないだろう。


「それでもお前の『イージス』がなかったら誰も止められなかったぜ。」


『イージス』と『ラケルトゥス・ドラゴン』の衝突による二次災害から考えるに、あの一撃は『セイクリッドガード』2枚程度なら余裕で貫通するほどの威力があった。

それを考えれば、ギルマスを責めることは誰にもできない。

そんなことを考えながら、俺は指示用にギルマスから拡声器っぽい魔道具を借りた。


「だが、こちらの被害は甚大だ。

流石はドラゴン、知能も高いというのか………!」


そういう騎士団長も、若干声に疲れが出ている。

俺のように、消耗が少ない人間は少ない。

せめて、俺のヘイレンに疲労回復効果があれば、と思うのだが、生憎とこの世界の回復魔法にそのような効果はない。


そして、残念なことに疲労困憊した俺らを待ってくれるほど『ラケルトゥス・ドラゴン』は優しくはない。


「BUOOOOOOO!!!!!!」


『ラケルトゥス・ドラゴン』の口に、魔力が貯まっていくのを確認した俺は、すぐ近くに居た騎士団長に聞いた。


「『ナイト・ダイヤガード』はもう一度使えます?

アレさえ長時間防ぎ切れれば、元々ドラゴンの中でも魔力の少ない『ラケルトゥス・ドラゴン』の魔力を枯らせることが出来るはずなんで。」


「使える………が、次で最後だ。

だが、遠距離からの一撃とはいえあのブレスを耐えられるのは私以外に居なさそうだな。

やらせてもらおう!」


はっきり騎士団長が断言すると、その場で高密度の魔力が豪気が集束を始める。


「BURUAAAAAAAAA!!!!!!」


しかし、それの完成を待つような正々堂々としたドラゴンでは無いことを、俺達はこの流れで知っている。

遂に魔力が貯まりきり、『ラケルトゥス・ドラゴン』がその口をかぱっと開けた。


「くっ、完成を急ぐか……!」


「いや、その必要はありません、騎士団長さん。

皆!時間稼ぎをすっぞ!『セイクリッドガード』ォ!!」


「「「了解したぁ!!」」」


冒険者達の中でも防御に長けた者達が集まり、盾を作る。勿論、その中にはシュウもいる。


「団長様だけに負担をかける訳にはいかん!行くぞ者共!」


騎士達からも盾を構えた者が集まった瞬間、遂に恐るべきブレスが発射された。


「GOUAAAAAAAAA!!!!!!」


絶叫とともに発射されたブレスは、大分遠距離から撃ったにも関わらず、鼻からのブレスよりも高い威力を誇っていた。


それでも。


「絶対に、通すなよ!」


「あったりめぇよ!」


ギリギリでブレスを防ぎきる。

殆ど傷つけられたことのない『セイクリッドガード』が歪み、それを他の皆で支えている状態。

ぶっちゃけ、キツイ。

周りの人も豪気を使い果たして倒れ始めているし。

せめて、もう一枚強固な壁があれば………!


「おい勇者ァ!!!働け!」


「ヒィッ!!!ごめんなさい今使います『セイクリッドガード』!!!!」


一人のこのこと後衛組に混ざって魔力を回復していた勇者を、俺がギルマスから借りた拡声器っぽい魔道具で呼ぶと、更にもう一枚『セイクリッドガード』が追加される。

俺の『白濁拳(ヴァイス・ファウスト)』のような魔力軽減用の装備を持っていない勇者なら魔力を大量に消耗するだろうが、割とどうでもいい。

っつーか、使い潰されろ。


俺の険悪な雰囲気に教会の奴らが文句を言うが、『セイクリッドガード』の一部分をちょっと開けて教会の奴らに少しブレスを当てたら静まった。

碌に働いてねぇんだから黙ってろや、チクショウ。


2枚に増えた『セイクリッドガード』により、体力切れで気を失う人が減る。

けど、これでもあと20秒が限界…………!


「完成したぞ!『ナイトソウル・(騎士の誇りは)マイティシールド(崩れない)』!!」


「頼みましたよ、団長さん!!!皆、離れてください!」


Aランク冒険者、『青盾』さんがそう指示し、俺と勇者が『セイクリッドガード』を解除した。

直後、ブレスが再び地面を削り始める。

だが、やはりそれが俺らに向かってくることはなかった。


――――――ギィィィィィィンン!!!!


騎士団長による全力の防御は、ブレスをしっかりと食い止めた。

ギルマスの『イージス』のように完全に不動という訳にもいかないが、それでもあまり軋んでいない。


「お前ら!見たところ『ラケルトゥス・ドラゴン』はブレス中はあまり動けねぇぞ!ここは騎士団長様に任せて行くぜ!」


『紅槍』さんがそう言うと、まだ体力に余裕のあるメンバーが一斉に突撃する。

俺も、ここんところ減っているのは魔力だけなので参加することにした。

強力な障壁を貼れてなおかつ体力が残っているのは俺と糞勇者と『青盾』さんくらいしかいないしな。

糞勇者は魔力回復にまた逃げやがったし、『青盾』さんは体力を大分使ってフラフラしているから、俺が出るしか無いというわけだ。


突撃をしながら、俺は『マジックサーチャー』を展開し、あちらの残り魔力量を測る。


「13秒だ!あと13秒でアイツの魔力は一旦底をつくぞ!」


やはり魔道具で叫びながら、俺はスピードを上げた。


「なら、そのタイミングを狙って攻撃だ!魔力切れによる酔いを狙うぞ!

さあ、走れ!ターゲットはヤツの右目だ!」


『ラケルトゥス・ドラゴン』までの距離は一キロほどある。

秒速70mをこえたスピードを出さなければならない俺達だったが、命を掛けたダッシュによりこれを可能にした。


「3!」

「2!」

「1!」


ゼロ、というところでブレスがちょうど止む。


「さあ、やれぇ!『スカーレットスティング』!」


防御不可能なタイミングで一斉に一点集中型の一撃を右目に叩き込む。

一部、右目がどっちかわからなくて左目を攻撃している奴もいるが、まあ基本冒険者はバカだからしかたがないか。


俺も、全力の『クリスタ・ルーン』を右目に叩きこむ。

『ラケルトゥス・ドラゴン』がまぶたを閉じて俺らを断ち切ろうとするのを『紅槍』さんがその槍で食い止め、魔力切れで碌に動けない『ラケルトゥス・ドラゴン』を虐める。


くそ、それにしてもコイツ目まで硬いのかよ。反則だろ。

『ラケルトゥス・ドラゴン』も痛がっているようだが、視力を奪うことは叶わない。


「チッ…………!このまま魔力酔いから覚めちまうぞ……!

しゃらくせぇ、『カラドボルグ』!!!!!」


もどかしくなった俺は、自爆覚悟で『カラドボルグ』を叩き込む。


――――――ぐちょり。


「GYAAAAAAAAAA!!!!!!!」


初めて、『ラケルトゥス・ドラゴン』が痛みによる絶叫を上げた。

と同時に、ポキっという聞きなれた骨折音を聞きながら俺は落下する。


「おぉっと、あぶねぇあぶねぇ。もう少しで坊主が落下死するところだったぜ。」


「一応受け身をとってたんだが…………。まあ、どうも。」


知り合いのBランク冒険者に担いで貰いながら、俺達は逃走を始める。

流石に激おこだろうからな。

ブレスが飛んでこないとはいえ、怖い。


俺は、激痛に苦しむ『ラケルトゥス・ドラゴン』を見ながら、折れていない左腕でガッツポーズをした。


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