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205話 超火力杉\(^o^)/オワタ……………

(不意を打たれたぁッ!!!)


まさか、鼻からブレスが飛んでくるとは夢にも思わなかった。

けれど、ギルのお陰で対処が間に合った俺は、叫んだ。


「『セイクリッド――――――「間に合え!『イージス』!」


しかし、その声はギルマスによって遮られる。

と同時に、俺らの前に巨大な盾が浮かんだ。



――――――――――――ゴォォァァァァァァンッッッ!!!!!



ブレスと『イージス』がぶつかりあい、受け止められきれなかった衝撃が『イージス』からはみ出る。


シュゥゥゥゥゥゥゥ、と音を立てながらブレスが消え、そしてそれが通った跡を見た俺達は、仰天した。


(地面、抉れ過ぎだろ!?)


確かに、ブレスが得意なドラゴンとは言っていた。

だが、直接当たった訳ではないのにこの惨状。

強すぎる。


「カァッ!!!やっぱ強えな、ドラゴンは。」


「それを受け止めるお前も大概だよ。」


流石のギルマスも消耗が激しかったようで、さっきまでの余裕が消えている。

けど。


「お前ら!アイツのブレスは、全部俺が受け止めてやる!

さあ、突っ込めェェェェェェ!!!!」


「「「ウオオオオオオオオオ!!!!!!!!」」」


それでも、あの一撃をその程度で耐え切った男がいるという事実は、頼もしい。

士気が十分に上がった俺達は、先ほど作られたクレーターを避けながら、突撃した。


「GURUAAAAAA!!!!!!」


『ラケルトゥス・ドラゴン』はそれに反撃するように巨大な岩石を生み出し、飛ばした。


しかし。


「「「『絶壁』!」」」


「「『セイクリッドガード』!!」」


現れた5枚の盾が、全てを弾く。


「さあ皆!気にせず突撃して!」


勇者が、そう言いながら全力疾走をする。

その手に持つは、あの忌々しい剣。

仲間を傷つけ、フィルを殺した剣。

それが、勇者の手から投擲された。


「『ジャッジメントスラッシュ』!」


それに続くように、一番前線にいる騎士達が剣を振り下ろす。


「「「『ソードインパクト』!」」」


衝撃波が合体し、巨大な一閃となって『ラケルトゥス・ドラゴン』を襲った。


巨大な二閃が、『ラケルトゥス・ドラゴン』の両腕を、しっかりと捉えた。

至近距離でどちらも放たれたので、流石にダメージは入ったようだ。


「騎士や教会共にばっかりいいところを取られてるぜ!お前ら、行くぞ!」


「「「おう!!!」」」


俺達冒険者も、一斉に攻撃を始める。

俺達冒険者には、騎士のような一体感もないし、勇者みたいな強力な存在がいる訳でもない。

でも、一人一人が生きていくことに全力を尽くしてきた人種だ。

一人一人の全力を込めた一撃が、少しずつ、だが確実に『ラケルトゥス・ドラゴン』にダメージを与えていく。


「ハッハッハ、俺も乗り込むかぁ!『ファランクス』!」


ギルマスも『ラケルトゥス・ドラゴン』の一撃をを防ぐように飛び込み、カウンターを決めていく。


「冒険者如きに手柄を譲るでないぞ!行け!我が教会が誇る精兵たちよ!」


「日頃の訓練を活かせ!お前ら、再突撃だァ!!!!!」


教会、騎士のトップも負けじと突っ込む。

普段は仲の悪い彼らが一つの集団となり、共通の敵に向かっていくのを見方を治療しながら見ていた俺は、不意に気づいた。


『ラケルトゥス・ドラゴン』の攻撃が、単調すぎる。


ドラゴンってのは、戦闘力だけだはなく知能も高い。

古代種には人語を話す奴すらいる。

そんな奴が、ただ踏み潰す、ただ尻尾を振り回す、ただ暴れる。

そんなことが、普通はあるだろうか?

幾ら名前が『ラケルトゥス(筋肉ダルマ)・ドラゴン』でも、脳みそまで筋肉ではないはず。


(ロイド君。何か、違和感を感じません?)


そう考えていた折に、アリエルからテレパシーが飛んできた。


(ああ。奴の攻撃が、単調すぎる。)


(しかも、それに気づいている人が少ないのです。)


ドラゴンと闘ったことがあるらしいギルマスなら、わかりそうなもんなんだが。

アイツは色々残念だからこの際置いておくとして、真面目そうな騎士団長ならわかりそうなんだが。


そこで、気づいた。


(…………この感触、どこかで感じたことがあるぞ。)


(!?何処でですか!?)


上級悪魔だ(・・・)。態と認識を薄くする魔法を使っていた。)


あの時は、変な気分だった。

目の前に上級悪魔がいるのに、まるでそれを路上の石でも眺めているような気分にさせられていた。


よくよく見れば、俺の見る限り違和感を持っていそうなのは『紅槍』さんや『白弓』さんなど、上級悪魔との戦いに参加していた人達だ。

それに気づいた俺は、すぐに近くに居た『黒鎌』さんに話しかけた。


「『黒鎌』さん。あまりにも、『ラケルトゥス・ドラゴン』の攻撃が単調すぎる。」


「クヒヒ、オメェもそう思ったか。」


「仮にもドラゴンが、あんな動きをすると?」


「しねぇ。俺も前に『レッサードラゴン』と闘ったことがあるが、『ラケルトゥス・ドラゴン』よりはまだ知能があったぜ。

気をつけろ、多分何かトンデモねぇのが飛んでくる。

鼻からブレスみたいな不意打ちが飛んでくるに違いねぇ。」


『黒鎌』さんがそう言い切った瞬間。

『ラケルトゥス・ドラゴン』が、突然二本足で立ち、翼を広げて飛んだ。


「「「なぁッ!?」」」


「マズイ!『イージス』!」


直後、『ラケルトゥス・ドラゴン』が自分のブレスを身に纏い、空中から突進する。

力を貯めていたのか。それとも、俺達の意識に余裕が生まれるのを待っていたのか。

どちらかはわからないが、その強大過ぎる一撃は、俺達を窮地に陥れるには十分だった。



――――――――ゴォォォォォォォン!!!!!



完全に攻撃ばかり意識がいっていたせいで回避不能な皆を救ったのは、又もや『イージス』。


しかし、今回はさっきとは勝手が違う。


「ぐ、ぐおおおおおおおっっ!!!!」


『ラケルトゥス・ドラゴン』の本領である怪力と、ブレス。

両方が伴った一撃を一人で食い止めるのは流石に無理がある。



バリィィィィン!!!!!


「『デコラーレ・ピュリファイ』!」


「『ナイト・ダイヤガード』!!!!」


『イージス』が割れる音がするが、光の縄を使って俺が行動を制限し、騎士団長の魔法と豪気の混合技が殺しきれない勢いを受け止める。


それでも、それまでチャージしていたであろう『ラケルトゥス・ドラゴン』の全力は、受け止められない。


そこに、数々のA、Bランク冒険者が飛び出す。


「ふっ飛べや、『ブラックサイクロン』!」


『黒鎌』さんを筆頭に、次々と『ラケルトゥス・ドラゴン』を押し返さんと必殺技を放つ。


「後ひと押し!『ホーリーバースト』!」


やっと驚きから戻った勇者がトドメのひと押しを放ち、『ラケルトゥス・ドラゴン』を押し返すことに成功した。いい所だけ取りやがって。


「はぁ……………はぁ………………。」


しかし、その代償は大きい。


その場に突っ伏した実力者達を見ながら、俺は下唇を噛んだ。

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