203話 ギルマスがまともな件wwww
すみません、遅れました。
今日中にもう一話更新したいと思います。
「お前ら、内容はわかったな?
なら、これから準備を始めろ。
時間は、30分だ。いいな?解散!」
ギルマスがそう締めくくると、冒険者が一斉にドアに殺到した。
(まあ、俺はそんなもん無視するけどな!『マジックガード』!)
俺が空中に『マジックガード』を出してそれに飛び乗ると、ギルとシュウも俺に続いた。
他にもAランクの人たちが圧倒的身体能力で跳躍しているのが見えたが、それを気にせず俺達はギルドの上の方にある窓を開けて、外へと飛び降りた。
「よっしゃショートカット成功!」
「家に帰って準備だ!」
俺達は、冒険者の怨嗟を聞きながら家に帰った。
「よし、準備はできたな?それじゃ、行くぞ!!!!」
ギルマスがそう叫び、緊急用の転移魔法陣に乗った。
この転移魔法陣は、基本的に耐久度の関係上使われることは少ない。
魔力に溢れたダンジョンと違って、魔力の足りないここで強引に使うので、消耗度が激しいらしい。
そんなことを思い出しながら転移魔法陣を踏んだ俺は、すぐに王都の近くの草原に転移した。
周りを見渡すと、皆ここにいることからここが転移先なのだと理解した。
てっきり王都の中に直接転移するのだと思っていたが。
まあ、転移魔法陣が設置できる場所は限られているので仕方がないだろう。
因みに、転移するのはランクが高い順だ。
理由はというと、
―――――――――ボゴン!!!!
「おい!転移魔法陣が壊れたぞ!」
「チッ、Dランクの途中で壊れたか。
残りの奴らには徒歩で来てもらおう。」
このように、何時転移魔法陣が壊れるかわからなかったからだ。
送られる人数が限られるのなら、強い人から送るのは当たり前だろう。
送られなかった人は、さっきも言っていたように徒歩となる。
よかった、俺の時はもって。
「んで、ギルマスよぉ、ドラゴンが現れるってんのは何処だぁ?」
Aランク冒険者、『茶槌』さんがギルマスに問う。
確かに、目の前の草原にはいつも通り弱い魔物しかいない。
「あ?ここだぞ?」
ギルマスがそう言うと同時に、草原の向こうから巨体が現れた。
「「「ッッッ!!!!!!!」」」
目がいいものは、その不気味さに。目が悪いものは、その大きさにビビった。
「クヒヒ、トンデモねえ奴が来たなぁ。」
『黒鎌』さんが、舌なめずりをしながら鎌を強く握る。
『ラケルトゥス・ドラゴン』は、体型的にはベヒモスのようなドラゴンだった。
しかし、見た目はぜんぜん違う。
その足は非常に太く、見るからに筋肉質。
それらが動く度に伸縮し、それが影響した常に体中がモゴモゴと疼いているようにみえる。
後ろ足が特に太く長いから、恐らく二本足でも立てるのだろう。
その巨体は、ただ歩いているだけなのに俺達に威圧感を与える。
「確かに、コイツはやべぇな。上級悪魔とは比較になんねえ。流石は討伐ランクS+ってか。」
俺がそう呟いていると、ギルマスが声をはりあげた。
「お前ら!威圧感に飲まれるな!即死するぞ!」
ハッとなり、俺は我に返った。
他の人達も、同じようにハッとした顔でギルマスを見る。
「戦う前から怖気ついてんじゃあどうにもならねえぜ。
お前ら、覚悟を決めろ!」
「「「おう!!!!」」」
ハハッ、なんだ、お前ギルマスらしいことが出来んじゃねえか。
俺がそう思った直後、隣でいきなり地面が輝きだした。
魔力の高まりを感じ、構えた俺だったが、その心配は杞憂に終わる。
「王都騎士団、第一番隊到着!」
「同じく第二番隊到着!」
「同じく第三番隊!」
「同じく第四番隊!」
転移魔法陣から、共通の甲冑を着た騎士たちが現れた。
その先頭を歩く騎士に、ギルマスが声をかける。
「おお、お前も来たか!今日は頼むぜ!」
「ふっ、『人類最硬』のお前が来てくれればこちらも百人力だ。こちらこそ頼むぞ。」
そう言って、二人は握手した。
あれ、よくよく見るとあの騎士って騎士団長の印持ってんじゃん。
人脈も凄いんだな、ギルマス。
騎士が転移し終わると、今度は更に隣の地面が光りだした。
「『聖十字隊』、ただ今到着!」
そんな号令が聞こえた瞬間、冒険者が一気に殺気立った。
そうか、あいつらが教会の奴らか。
興味津々で俺が眺めていると、次々と豪華な衣装をした人が出てくる。
「あんな防具で戦えるわけがねぇだろ」とか冒険者が毒づくが、そんなものどこ吹く風と言わんばかりに
「おやまぁ、嫉妬ですか?いけませんよ。嫉妬は人の道を外させると神も言っております。」
元々、冒険者とは基本短気なものだ。
何人かが飛びかかろうとしたが、それはギルマスに止められた。
「…………確かにムカつくが、今やったって問題になるだけだぜ。
それじゃあいつらの思うツボだ。」
「流石はギルドマスターですね。頭が足りてない冒険者共とは思えない発言です。」
何人かがマジギレしたが、周りが抑える。
俺もソイツらを抑える派だったのだが、一人の人間が召喚された瞬間、俺の表情が変わった。
「だめだよ、司祭さんたちも人を虐めちゃ。」
「これはこれは申し訳ありません、勇者様。以後気をつけます。」
―――――――――勇者。
『イレギュラーオルフェン』を纏う空気が、変わった。
遂にブクマが全盛期まで戻りました。
『地帝』の辺りで80件ほど減ってたんですよね。
あの頃は死ぬかと思いました。




