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201話 医療無双ハジマタd=(^o^)=b

ギリセーフ!

「ありゃま、ロイド君かい?丁度いいところに来てくれた。ちょっと手伝って欲しいんだ。」


今日、俺が来ているのは庶民用の病院。

教会が経営しているものとは違い、設備、治療特化の魔力持ちは少ないが、値段が安いところだ。

前にも言ったが、俺も暇な時にはここでボランティアをしている。


「おいおい、来て早速それはねぇだろ。俺も一応病人だぜ?」


「ロイド君は殺しても死なないような人だからこき使ってやれ、院長が言ってたからね。」


「あんのジジィ……………。」


俺は、何とも食えない爺さん院長の顔を思い浮かべながら悪態をついた。


「その分右足の手当を先にしてあげるから我慢してほしいな。」


「あー、はいはい。そこはちゃんとしてくれるのな。」


そう言いながら、俺は椅子に座って右足を出した。

目の前の彼は、一旦仕事を中断して俺の足を診る。


「うーん、初日に比べるとマシになっているけど、まだダメなのかい?」


「あれから一週間経ったんだけどなぁ。まあ、もうちょっとしたら『マグナヘイレン』の圏内だろうさ。」


「そうかい。なら良かった。いつまでも君の足がこんな状態なのは君のファン(近所のおばちゃん)にとっても辛いだろうしね。

とりあえず、包帯を巻き直しておくよ。」


「頼んだ。出来るだけ隙間を無くしてくれよ。

破傷風にでもなって治るのが遅くなったら困るからな。」


困るんだ。あのおばちゃん達、俺の右足が動かなくて機動性に欠けているのをいいことに抱きつこうとしてくる。

完全に小動物扱いなんだが。精神年齢中二としてはこれは非常に虚しい。

悲しいというより一周回って虚しい。


「相変わらず君の知識は役に立つね。『破傷風』なんて君に聞くまでは原因がわからなかったよ。」


そう、俺は、医療知識も提供しているのだ。

これでも、昔はガチで医者になろうとした身。

そこら辺の中二よりは医療知識を多めに持っていたのだ。


「はい、包帯は巻いといたよ。じゃあ、早速働いて貰おうか。」


「言われなくてもやるって。」


そう言いながら、俺は松葉杖をつき始めた。

こういう小さな施設だと『マジックガード』で浮きにくいんだよな。

因みに、松葉杖を持ち上げるのさえも魔手装甲を使っている。

仕事しろ俺の筋肉。














「いやぁ、ロイドちゃんも怪我してるのにすまないねぇ。」


「俺の怪我はあとちょっとで治るから大丈夫だって。それより、ばあちゃんはもう熱なんて出すなよ。」


「あんがとさんねぇ。」


「おう。

次の人ー!」


俺が来ると、この病院は途端に流れが変わる。

それまでは溢れるほどいる入院患者にに魔術師や医者が必死で手当をして回るのに対し、俺の場合は短時間で軽く入院患者を全員治せる。

寧ろ新しく来た患者さんがどんどん俺の前に並び、『ヘイレン』か『キュアポイズン』をかけられて帰っていく感じだ。

要するに、回転がめちゃくちゃ早くなる。


大抵はこれで治るのだが、偶に強烈な怪我やら病気を持ってる人が来ることがある。

そういう時は『マグナヘイレン』先生の出番なんだが。

この魔法を使う時は一旦俺も魔力を練らないといけないので、若干回転が遅くなる。

因みに、今までこれで治らなかったのは俺の右足くらいなもんだ。

そういえば、俺の右足がどれだけ酷い状態にあるかわかるだろう。


「ロイドさん!『ペイン』の方が来ました!」


「なっ!皆、悪いが早く通してやってくれ!『ペイン』にかかりやすくなるぞ!」


『ペイン』、というのはその名の通り激痛を伴う病気だ。

地球にはないものだが、とりあえず『ヘイレン』一発で治るので助かっている。


こいつは、ここ1ヶ月スラムの中で増え始めた病気で、多分新手の伝染病だ。

症状は、気管や胸の強烈な痛み。

患者が咳をしたりすると広がりやすい、というのしかわからないが、とりあえず被害を防ぐために無料で簡易マスクを配ったりしている。

限界はあるが、まあないよりはマシだ。


患者の痛みが引いたことを確認しながら、俺は安堵した。

今のところ症状が出ればすぐ治しているのでに死人は出ていないが、これでどうしようもない程被害が拡散すればどうなるかわかったもんじゃない。

今はまだ俺がいなくても治療特化の魔術師達は持っているようだが、被害が拡大すれば俺も常にここで『ヘイレン』をかけ続けるハメとなるだろう。

いや、寧ろそれでも足りなくなるかもしれない。


これで教会に勤めてる奴等が格安で働いてでもくれたらいいんだが、生憎とあいつらはぼったくることしか考えていない。

勇者といいこれといい貧しい奴は引き取らない孤児院といい、割と教会は害悪な気がする。

それでも一定数の信者は獲得してるっつうんだからビックリだ。

俺にはどうもあれがいいとは思えないね。








夕方になってボランティアを終えた俺は、そのまま孤児院へと売上の確認に行った。

どういう訳か、その途中で「噂の銀色だ!捕まえろ!」という元気な声が聞こえたが、聞かなかったことにした。


だから俺はどこのはぐれメ◯ルだよ!

確かに速くてすぐ逃げるけど!

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