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198話 BUOOOO(笑)

1,2,3階層では名前の通りホブゴブリンばっかり出てきたのだが、4階層から『ハイゴブリン』というモンスターが出てくるようになった。

これは、ホブゴブリンとジェネラルゴブリンの中間ともいうべきモンスターなのだが、その強さはホブゴブリンとは変わらない。


厄介なのは、その性質。

ホブゴブリンは、基本的に単独行動をする。

しかし、ハイゴブリンは基本群れで行動するのだ。


だけど。


「『車輪切り』!」


「『フレイム・ブースト』!魔手発射ァッッ!」


「『タウント』、『カウンタークレイヴ』!!」


俺達にとっては、それは苦にならない。寧ろ効率よくて有難いくらいだ。

耐久のあるハイゴブリンも、俺達の3連撃を食らってはひとたまりもない。


この『イレギュラーオルフェン』は特化型が集まっていてお互いに補助しあっているお陰で、一人一人の戦闘力に対して割と強い。

耐久はないが、マッピングや回復など、補助に長けた俺。

考えることなどが苦手だが、パワーと第六感に長けたギル。

パワーはないが、耐久力の高いシュウ。

本当ならここに俺達の暴走を止めてくれたフィルがいたのだが……………。


―――――――――ガコン。


思い出して沸々と湧いてきた怒りが、おっさんによって吸い取られる。

ダンジョンの中で思考の海に溺れそうになっていたことに気づいた俺は、慌てて思考を現実に戻した。


「おーい、剥ぎ取り終わったぜー。

って、また思考がトリップしてやがる。」


「あー、わりぃわりぃ。気にしないでくれ。」


「戦闘中にトリップしないでよ…………。」


「流石にしねぇって。お、前方にハイゴブリンの群れだぞ。気をつけろ。」


「「了解。」」


俺達は、そんな調子でボス部屋へと突き進んでいった。















―――――――――ゴゴゴゴゴゴゴ。


そんな感じの効果音がつきそうな程重厚な扉を見た俺達は、すぐさま確信した。


(((あ、これ絶対ボス部屋だわ(ボス部屋待ったなし))))


「よし、休憩を取ろう。

挑むなら万全の準備をしないとな。」


なんたって相手はBランク相当。負ける気はさらっさらないが、できるかぎり準備をしていくべきだろう。


「そうだな。んじゃ、俺は寝るぜ。」


相変わらずのの○太流睡眠術を披露したギルが、グースカ寝息をたてる。

いつも思うのだが、こいつは寝ている間に敵に襲われる可能性を考えているのだろうか。


……………………考えてないんだろうな、基本馬鹿だし。


まあ、こいつは昔からそうだし仕方がないだろう。

呑気なギルを呆れた目で見ながら、俺は新たな切り札(・・・・)の点検を始めた。















「BUMOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!」


部屋に入った瞬間、ジェネラルゴブリンの雄叫びが部屋に轟いた。


「「「!?」」」


事前に調べておいた俺達だったが、その大音量に面食らい、一瞬たじろいた。

間髪入れず、配下のホブゴブリンとエリートホブゴブリンが襲い掛かる。


(しまった、先手を取られた!)


「『オープン』、『セイクリッドガード』!」


いち早く立ち直った俺は、その突撃を止めるために白濁拳(ヴァイス・ファウスト)を取り出し、『セイクリッドガード』を広く展開した。


「お前ら、現実に戻れ!いくら俺でもこの広さをカバーするのはキツイぞ!」


「わ、悪い!『オープン』、『ブースト』!」


「ごめんね!『ブースト』、『タウント』!」


モンスターたちの注意がシュウに向かったのを確認した俺は、『セイクリッドガード』を解除し、『重力魔剣』と『餓狼牙』の2刀流とスタイルを変えたギルとともに、ジェネラルゴブリンへと突撃する。


(『ウィンド・ブースト』!魔手装甲!)


走りながら準備を完了した俺は、一足先に拳をゴブリンジェネラルに叩きつけた。


「先手は頂いたぜ、ギル!って、あれ!?効いてねえ!?」


「ロイド、早く下がれ!」


脂肪に拳を阻まれた俺は、ギルの指示通りすぐ後ろに下がった。

そんな俺の目の前を、物凄い勢いで斧が通りすぎる。

脳天に当たれば、魔手装甲といえど即死を免れられなかっただろう。

冷や汗を流しながら、俺は魔手装甲の拳を槍状に変えた。

そんな俺の前で、斧を凪いだ事によって隙ができたジェネラルゴブリンにギルが躍りかかる。


「いきなりで全力で行くぜ………。『ダブル・ドラゴンスマッシュ』!」


ゴオッ!という音と共に、2つの大剣がジェネラルゴブリンの右肩に直撃した。


「BUOOO!!」


しかし、ギルの一撃をもってしてもジェネラルゴブリンに良い一撃を入れることは出来なかったようだ。

それでも痛かったようで、右手に持っていた斧を左手に持ち替えている。


「畜生、俺の全力だぞ?あれで右手が壊れた素振りすらないってどういうことだ……………ッ!」


どうやらさっきの一撃でキレたらしいジェネラルゴブリンが、左手に持った斧を振り回しながら近づいてきた。

俺は空中に、ギルはバックステップで避ける。


「BUOOOOOOOO!!!!」


(さっきから雄叫びがうっせえよこんちくしょう!)


そんなことを内心愚痴りながら、槍状の魔手装甲を空中から目に叩きつける。

ぐちゅり、という音とともに何かを貫く感触を手に覚えた。

やっぱり、目っていうのはどんな奴にも通用するな。


「よっしゃ、ナイスだぜロイド!『ダブル・ドラゴンスマッシュ』!」


右手で目を押さえるジェネラルゴブリンに、ギルがもう一度一撃をいれる。

左足を襲う痛みに今度こそ堪えたのか、ジェネラルゴブリンが後退った。

しかし、そんな隙を俺らが逃すはずがない。


「チャンス到来!『カラドボルグ』!」


「『マッスルブースト』!最後に『ダブル・ドラゴンファング』!」


巨大な光の剣と、龍の大顎が一直線にジェネラルゴブリンを襲う。

俺達が勝利を確信したその瞬間。


ジェネラルゴブリンが姿を消した(・・・・)


いや、違う。


(空中に跳んだか!)


「シュウ!気をつけろ!脂肪の塊が降ってくる!」


「え!?ってちょっと!」



―――――――――ドォシィィィィィィンンッッッ!!!!!



轟音が轟いた。

地面が揺れ、魔力と豪気の使いすぎでふらふらになった俺達の体が揺れる。


砂煙の中から、シュウが出てくる。

良かった、無事だったか。

そう安心した矢先に、砂煙の中から真っ赤な目とドス黒い魔力を噴出したジェネラルゴブリンが出てきた。


「『狂化』………!あんにゃろう、共食いしやがったな!?」



疲労困憊した俺達を、その赤目が見据えた。


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