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196話 カ◯ノ、始動!

若干オーバーしました………。

あれから一週間が経った孤児院前の通りには、こんな看板が掲げられていた。


『サイクルショップカ◯ノ!本日朝10時開店!』


その前には、もう既に人の列ができている。

因みに、今は午前9時だ。開店まであと一時間。


「さぁ、最後のひと押しだ!」


「「「はい!!!!」」」


俺は、一生懸命に準備をする彼らを見て、満足気に頷く。

そんな俺の肩を、ポンと叩く人が居た。

おっさんを含めた、職人達である。


「おうおう、もう人溜まりができてんじゃねぇかぁ!」


「俺らも坊主に協力した甲斐があるねい!

こんなに沢山の人が来てくれるなんて思いもよらなかったぜ!」


「皆が宣伝してくれたからな。

この場で礼をさせてもらうよ。有難う。」


俺が礼をすると、皆がその上から背中をバンバン叩いた。

いてぇ、おっさん達は体が強いんだからもうちょい手加減してくれよ。


「礼なんか要らねぇよ。

序にな、久々に職人根性をそそられたからよ、ちょっと改良策を出してみたんだ。」


「あ!?それはウチも同じだ!」


「こっちだってそうだ!舐めんな!」


そう言って、軽い殴り合いを始める。

冒険者もそうだが、こいつらホントに肉体言語が多いな。

因みに(意味深)ではない。誰得なんだそれ。


「お前ら一回落ち着けって。

坊主も困惑してんだろ?しかも、あと一時間もせずに開店だ。

後にしてやれ。」


職人達の中でリーダーらしき人が、その場を治める。


「チッ、後にしてやらぁ!おい坊主、後でお前んち押しかけるからな!」


「「「覚悟しとけ!」」」


俺が唖然としていると、職人の一人がやれやれ、と言わんばかりに首を振る。


「本当に彼らは血気盛んだねぇ。」


「それだけのもんに携われたからな!」


「そう真っ直ぐに言われると流石の俺も若干恥ずかしいんだが。」


「はーはっは、素直な所もあるじゃねえか!」


又もや肩をビシバシと叩かれる。


そんなこんなで話していると、一人の少年がちょいちょい、と俺の服を摘んだ。


「お、どうした?」


「えっと、リーダーが内装が終わったから指示をくれって…………。」


「おお、わかったわかった。


わりぃな、皆。ちょっと用事が出来た。」


「おう、俺もお前の仕事のジャマをするつもりはねえよ。じゃあな!」


「おう!話があったら何時でも来てくれ! 歓迎しよう、盛大にな!」


俺は、彼らと別れて少年について行った。















初日は、大成功となった。

準備していた600台もの自転車が、次々と売れていく。

こんな練習の必要な物が次々と売れるのは、職人達が軽々と乗っていたから手軽に見えたからかもしれない。

一応、不良品がうんたらかんたらとか言われるのは面倒なので、「人によっては練習が必要です」という張り紙はしてある。


そんなことを考えながら俺が偶に来る貴族の相手をしていると、見覚えある顔が3人来た。


「おお、カナルとアリエル………と、イグニス!?

なんでお前がここに!?」


見ると、イグニスはアリエルに抱きつかれてもがいているようだ。


「いや、属性が同じで、尚且つ学園に通ってるカナル先輩に話を聞こうとしたらこの女がっ!」


「そういうことだったのか。俺は何でさっきから俺に話そうとしてたのかわからなかったぞ。」


「この女が抱きついて話させてくれなかったんだ!」


(ええと、実は私、前世から猫とか犬とかそういうものには目がなかったんです。

なんか彼を見たら、その生意気さが逆に私の萌ポイントを刺激してきまして。)


慌てたようにテレパシーで抗議してくるアリエルだったが、


(いや、やめてやれよ。イグニス苦しそうじゃねえか。)


というと、彼をぱっと離した。

どうやら、周りの人のことに意識が回らなかったようである。


「で、ロイド、なんか騒がしいけど、お前今度は何をやってんだ?」


「イグニス、お前知らないでここに来たの!?」


「そこの二人に連れられて………。」


そう言って、イグニスはカナルとアリエルを指さした。


「いや、ちょっとまってくれ、俺達は最初からここにやってくる予定だっただけで………。そのイグニスって奴はアリエルのせいだぞ。」


「えーっと、私が全面的に悪いです。

イグニス君、ごめんね?苦しくなかった?」


「いや、そういうのは母さまとばっちゃで慣れてっからいいんだけどよ………。

で、結局ロイドは何をやらかしたんだ?」


「俺のやることを一々変なものみてえに扱わないでくれよ………。


今回は、新しく作り出した物を売っている。

でだ、今回作り出したのは『自転車』って奴で…………。」


俺がひと通り説明すると、イグニスは目を見開いた。


「それって、あれか!

最近巷で噂の職人達が愛用しているやつ!」


「そうそう。どうだ?欲しいだろ?」


「勿論だ!金は出す!幾らだ?」


「待て待て、ちゃんと行列に並んでから買え。」


「ちぇっ、横入り出来ると思ったんだけど。」


「俺は客を平等に扱うんだ。」


そういうことをしないと、逆に後々面倒なことになるからな。

俺は面倒なのは嫌いだし。


「そうかい………ってあれ!?あの二人は!?」


「もう列に並んでいるぞ。」


「早っ!?よし、俺も並ぶかぁ。」


「そうしてくれい。」



因みに、看板を見てアリエルが吹き出していた。

カナルはわからなかったようだ。

リア充め、ポ◯モンなんてやったことなかったか。


段々とメッキの剥がれていくアリエルさん(´・ω・`)

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