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18話 群れバトル 狼

昨日PCが使えず投稿できませんでした。すみません。

じゃがいもを水魔法で崩したり唾液でぐちゃぐちゃにすること約30分。


「完食!ご馳走様!」


俺は、食べきった。

これでじゃがいもは芽をくりぬいたら毒がなくなるという事が証明できたはずだ。時間かかったけど。


「うーん。何はともあれ芽をくり抜けば毒がなくなるのは本当のようだな………。たしかにこれなら不作も乗り越えられるかもしれない。」


「ほんとどこからそんな知識が出てくるんだ、お前。まあその知識が俺たちの役に立つからいいんだけどよ。」


「じゃ、証明できたってことでいいですか?」


「もちろんだ。

おい、お前ら!この案に文句があるやつは言ってみろ!」



―――――し~~~ん



「よし、じゃあこれで集会は終わりだ!各自帰ってよし!ただし見つかんなよ!」



今日の集会はもうお開きのようだな。皆集まって下山し始めた。

多分麓から分散するつもりなのだろう。


「ロイド、帰ろうぜ。」


10人くらいが帰った所でクルトが話しかけてきた。そういえばここに来る途中でクルトが「もし見つかった時に逃げやすいからなるべく真ん中にいた方がいい」とか言ってたっけ。


「そうだね。」


が、ここで別の事態が発生する。

俺達が列の方へ向かおうとしたその時、



「「「ワオオオオオオオオオン!!!」」」



「な、何があった?」「今のってまさか…………?」「ウルフか?」

急に皆がざわざわしだす。

というか今のって狼の鳴き声だろ。のんびりしてる場合じゃないじゃん。



「おい、お前ら!ビビるな!あと水属性持ちは『マジックサーチャー』を使え!」


さすがリーダー。落ち着いている。ただ大声を上げるのはやばいように気がする。それはともかく、


(『マジックサーチャー』!)


「なっ!」


魔力を持った何かが3体、こっちに接近している!?


「どうした、ロイド。」


クルトが驚いた表情をした俺に話しかけてくる。


「なんか魔力を持った3体のものが接近してくる!」


「マジか!リーダー!魔力を持った何かが近づいてくるそうです!」


「まさかの魔物か!?全員、逃げろ!分散してな!」


いや、俺走れないから。走っても遅いから。狼相手に相手に逃げるとかそれなんて無理ゲー?しかも魔物って言ってるから多分狼よりも強いのだろう。


「ぎゃっ!」


「ギーグ!?」


まずい。もう狼が来やがった。もうここで殺すしか無いじゃん。

あのギーグって人を癒やしたら早急に狼を殺さないとな。


「皆!ギーグはいい!早く逃げろ!遅い奴は置いてけ!」


誰かが叫んでいる。その言葉を合図にしたかのように、皆が逃げ出した。

小さい子とギーグを置いて。



……………。あれ?何か見捨てる感じになってるだろ、これ。

いや、でもリーダーなら見捨てるなんて真似はしない筈っ!


希望を込めて後ろを見ると、リーダーは見事に人の波に押さされながら行ってしまった。

しかもなんか狼追いかけてないし。完全においてかれた組をゆっくり食すつもりなのだろう。どんな痛みが襲ってくるのだろうか。


そんなことを考えて前世の死ぬ直前の痛みを思い出す。あんなのは絶対に嫌だ。なんとかしてこいつらを撃退or討伐しなければ。

そういえば前に狼に襲われた時も同じようなことを考えていたな。


ま、いいや。それよりも重要なのはこれからどうするかだ。

ついさっき、倒れたギーグさんを先に癒やすべきか。それとも先に狼を倒すべきか。うーん。やっぱりそんなに傷が深くないからあとで治してもいいかな。よし、先に狼を倒そう。


まずは、自分に『グラウンド・ブースト』、『ウィンド・ブースト』、『アクア・ブースト』を掛けておこう。

やっぱ凄いわ、魔法って。こんなに短期間でリラックスできる方法は早々無い。

ついでに魔力の手も展開しとく。俺の手含めないで4本の手があるから他の人も癒やしたり、守ったりできるし。

これ以上やると、俺の魔力回復量を超える。

後は、どうやってこいつらを倒すか考えるだけだ。

今のある攻撃手段は魔力の手、変形魔法の2つ。でも魔力の手はそこまで威力がない。やっぱり変形魔法でいくか。



ここまで『アクア・ブースト』で集中された脳みそで考え終わった所で、

狼たちは俺の魔力を感じ取ったのか睨むような目線をしてくる。

ふむ。相手にも思考はあるようだ。魔物だからかな。

でもそれで襲いかかってこないのなら好都合だ。


さて、始めますか。


「イッツ・ショータイム!」



――――――――――めっちゃ恥ずかしいっす。













よし、まずは『アース・ホール』で嵌めよう。そこから何かしらの手で殺す。


俺の考えが纏まった所で、狼達が動き出す。

狼は合計三体。どうやら分散し、ここにいる全員を殺してからゆっくり頂くつもりのようだ。どう考えても知能があるな。


どうやら魔力を出しまくっている俺は後回しっぽい。

俺が一番年齢が低いにもかかわらず、他の人に向かって走りだしたからだ。


『アクア・ブースト』で極限まで集中した脳みそが狼達の動きをすべて教えてくれる。

一体が動き始めた。どうやら俺の右にいる4歳ほどの女の子を狙っているようだ。

俺は遠距離攻撃が魔力の手しか無いので、一旦『グラウンド・ブースト』を取り消して『ウィンド・ブースト』を強化する。

魔力の手の範囲に入ると、勢い良く土の魔力球を作り出し、


(アース・ホール!)


落とし穴を作る。

が、狼は俺の接近を警戒でもしたのか既に後に飛び去っていた。


「チッ。」


次だ、次。

俺は、急いで後を見ると、二体目と三体目が同時に動き出したのが解った。

二体目は三歳ほどの女の子、三体目は六歳ほどの男の子を狙っている。

どちらも俺から相当離れているが、今の俺なら追いつける。


(ウィンド・ロール)


風の流れを変える魔法を行きたい方向の逆の方向に飛ばし、その反動で移動する。

多分6キロくらいしか無いであろう俺の軽さがあってこその移動だ。

制御ができないからそのまま『アース・ホール』につなげるのは無理だが、

スピードはある。

で、今回の場合、魔力の手をいっぱいに広げながら突進して攻撃することにした。風の威力がわからないから時速何キロかは知らん。


「「ギャウ!?」」


「きゃっ!」


「わっ!」


あ、二人共巻き込んじゃった。

いや、怪我はないから大丈夫か。風が強かっただけだろう。

念の為治癒魔法を掛けておく。


狼を見ると、吹き飛ばされた二体はちょうど最初に襲ってきた狼の近くへ転がる。

最初に襲われた女の子もこっちへ来たので、ギーグさんも魔力の手で回収する。最初は後回しにする予定だったけど危ないから先に治そう。

死なれるのも凄い嫌だからな。


(ヘイレン)


ギーグさんの方は見ない。狼がいつ襲ってくるかわからないし。

ただ、今は見捨てられた組六人で集まっているから、分散されても

ここを狙ってきていることは明白だ。それなら俺もより楽に対処できる。

それに、こんだけ集まっちまえば一番の脅威である俺を狙って先に殺そうと思うだろう。


狙い通り、狼達は俺めがけて飛びかかってくる。

前、右後、左後。普通なら躱せない。飛びかかってくるんだから上は無理だし、防ごうにも必ずどれか一つは視界にはいらないから一回は攻撃を受けることになる。

でも、俺はたくさんのことに集中できる。『アクア・ブースト』もあるから尚更だ。集中さえ出来れば後は、


(マジックガード!)


三枚の盾をイメージする。


―――――メギッ。


「ワフ!」


前の狼を弾く。



―――――ギリッ。


「ウォン!?」


右後も弾く。



―――――ガリッ。


「ガフ!?」


最後。左後。


三体全てが弾かれ、狼達がたじろいた所で一気に三つの土の魔力球を地面につける。


(アース・ホール!)



深さに特化した落とし穴。魔力が少ないからそこまで深くは無いが。


「「「ワオ~~~~ン」」」


見事に三体とも落ちる。バスケみたいだ。



「…………。すげえ……。」


後ろから声が聞こえる。振り向くと、唯一狙われなかった3,4歳の男の子が

呟いていた。他の人も呟きはせずとも目を見開いたり驚いている。

今気づいたが、ギーグさんも起きたようだ。

良かった。怪我も後遺症もなくて。


「ロイドだったか?ありがとう。この恩は必ず返す。」


「いえいえ。僕も人が死ななくてよかったです。」


「そうか……。で、狼はどうするんだ?その落とし穴で放置しとけばかってに死ぬのか?」


「いえ、そこまで深くはありません。二十分もあれば抜けだせます。

奴らは知能があるようなので、多分追いかけられるでしょうね………。

という事で今ここで殺しちゃいます。」


「わかった。どうやって殺すんだ?」


「今から考えますが何か?」


「後二十分しかないんだから急いでくれよ。もし遅れたら洒落にならん。」


「はいはい。じゃあちょっと考えるんで静かにしてください。」


どんなやり方がいいだろうか。

俺が使えるものは、水、鉱物、風、魔力の手だ。

制限時間は約二十分。確実に狼を殺そう!どんなミッションだよ。


まず、思いついたものから出していこう。

魔力の手で圧迫死→時間が掛かるから却下。

魔力の手で落とし穴を深くする→狼が魔力の手から登ってくるかもしれないから却下。

マジックガードで圧迫死→魔力の手と同じ理由で却下。

鉱物を生み出して流星群→いくらなんでも魔力が持たないから却下。


そういえば鉱物って硝酸カリウムみたいのも含まれるのかな?

試しにイメージしてみる。


(アース・ホール)


あ、出てきた。これが硝酸カリウムだと証明する方法はないかな。

思い出した。硝酸カリウムは加熱すると溶けるんだ。

というわけで服に作っておいたポケットに手を突っ込み、

とある四角い箱を取り出した。

因みに今取り出した箱にはこう書いてある。


『マッチ』


何処で手に入れたかって?

実は服の修理をしていた時にポロッと落ちてきたのだ。

あまりにも嬉しくて盗っちゃったよ。


で、それは置いといて。

早速魔力の手でマッチを擦る。そして、魔力の手に持たせていた硝酸カリウム(?)に近づける。

すると、硝酸カリウム(?)が解け出した。

これは硝酸カリウムってことでいいか。いや、加熱すれば溶けるなんて

他にもあるだろう。今度は他の物質で試そう。

お次は塩化ナトリウム。要するに、食塩である。

本当はあまりいいことではないけれど、舐めてみる。

うん。ちょっと味が違うけど食塩だな。しょっぱい。

こりゃどう考えても塩化ナトリウムだ。

今、塩化ナトリウムが出せたってことは遂に本命を出せるかもしれないな。


期待を込めて一つの物質を生み出し、その物質に水をかける。


(成功か。)


俺の目の前に、火が生まれた。


俺は、その生み出した炎を、狼のいる落とし穴に投下する。


「オオオオオオオーーーーン!!!!」


凄い鳴き声だな。耳がじーんとする。

思わず耳をふさぎながらも、俺は第二の炎を生み出し、別の穴へ投下する。


「「オオオオオオオオーーーーーーン!!!!!」」


ああ、更にうるさい。

でももうそろそろ死ぬだろうからいいや。

大音響に耳をふさぎながらも、最後の穴に炎を投下する。


「「「ウオオオオオオオオオン!!!!」」」


フラッとしてきた。戦闘中にこれされなくて良かったな。確実に隙ができる所だった。

さて、余裕ができた所で問題です。

火属性のない俺が、どうやって火を作ったのでしょうか?


答えは『ナトリウムの性質』でしたー。


因みに、使ったのは『アース・ホール』と『アクア・ムイ』。

『アース・ホール』で硝酸カリウムを生み出した俺は、

前々から作ってみたいと思っていたナトリウムを作った。

ナトリウムは、水や空気中の水蒸気で燃える。偶に爆発もするが。

ということで『アクア・ムイ』で水を作り、ぶっかけた。

まあ要するに、これで水をかけても息を吹きかけても消えない炎が完成したわけだ。これを厨二風に名付けると、


不滅の豪炎(エターナル・フレイム)。」


俺の、唯一使える強力な炎魔法だ。


「「「オオオオオオオオオオオ………………!!!!」」」


それにしても本当にうるさいな。後の皆も耳をふさいでいるし。

内心で愚痴を言っていると狼の声が一つ減った。

一匹目が死んだのかな。ちょっとグロそうなのであえて落とし穴はみない。

続いて二匹目も死んだようだ。もう最後の一匹が襲ってきても大丈夫だな。


「ギャオオオオオーーーーン!!!!」


よし、全滅したな。

後は火を消すだけ。ナトリウムを『アース・ホール』で消すのが無難だな。


やっぱりグロは嫌なので落とし穴に魔力の手だけを突っ込んでナトリウムを探す。お、あった。魔力の手ごしに熱が伝わってくるから多分これだろう。


(アース・ホール!)


魔法を使うと、熱も消えた。手を戻して次の穴のも消そう。

そう考えて魔力の手を短くしていると、何かが手に当たる。

なんだろう。少なくとも壁じゃない。うーん。あ、これ石か。

けどなんかただの石じゃない。まるで魔力を持ってる石のようだ。

一応その石をひっつかんで引きあげる。

なんか黒光りする赤黒い石だな。地味に綺麗だ。

あとで先生にでも聞くかな。そう考えて服に作ったポケットに入れた。








他の穴でも、黒光りしている石が見つかった。大きさは微妙に違うが、

内容は殆ど同じだ。ほんとなんなんだよ、これ。

まあいいや。狼も殺して無傷で終わって万々歳だし。さて。


「帰るか。」


誰かに背負わせてもらおうと後ろを向く。恥?今回は諦めるよ。一人で下りきれる自信がないし。


「お前…………何者なんだ?」


振り向きざまにギーグさんに言われる。

まあ確かに狼3体を殺す1歳児は俺ぐらいしか居ないだろう。


「すみません。もう疲れて眠いので背負って下山してくれませんか?」


実は今、滅茶苦茶眠い。立っているのも限界なレベル。

まああんだけ集中して動いたんだからしかたないかなぁ。

じゃ、後は頼むよ………。おやすみ。


「おいちょっと!はぁぁ。俺コイツがどこの拠点にいるかしらねえんだよなあ。仕方がない。リーダーのところまで連れてくか。

おい!お前ら!帰るぞ!」


「「「「は、はい!」」」」



初の真面目なバトルシーンになります。

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