1話 ショタ魔王・・・・・だと!?
目が覚めた。いや、正確に言うと意識は戻ったが目は見えない。
まああんな火ん中に顔から突っ込んだんだから目とかもうダメだろう。
ってアレ?俺生きてるのか?
いくらあの野郎共が科学バカでも救急車を呼ぶことぐらいは出来るか。
でも生きてて良かった。結構苦しかったけど。命あっt
「あ、起きた?」
ファッ!?人居たのかよ?目が見えないって不便だな。元々悪かったけど。
まあまずは現状把握が先だ。
「ここ……どこ…?」
あれ?口もやられたか。本当は「ここはどこだ?」と聞こうと思ったんだが。
「ここ?精神世界だよ?」
少し高めの声が帰ってきた。
……あっ厨二病ですね分かります。どうせ病院かなんかだろ。
ってかなんでそんな奴が俺の側にいんだよ。
俺の知り合いに厨二病は居なかったはずだが……。
いや、ネッ友にいたな。でもあいつは確か32歳のNEETだ。
こんなに声は高くない。
「君………だ……れ?」
「僕かい?人類を揺るがすと言われている、魔王様だよ。」
「………………。」
こいつ重度の厨二病だ。いやもうマジでこいつやばい。
小6の時に「我が右腕よ、イデアに湛えし混沌をその身に携え彼の者を潰せ。『炎魔の死爪』」とかやってた俺レベルだ。
救いようがない。
すまない、名も無き厨二病よ、俺は君を救えそうにない。
軽度なら同胞として語り合えたかもしれないのに………………。
実に残念だ。(真顔)
「君さ、僕のこと信じてないよね?」
顔に出てたか。まあこんな奴信じれたらすごいと思うが。
「失礼な!僕を崇めてる魔物は多いんだぞ!」
出たよ厨二設定。でもさ、後で思い出すと辛いんだぜ。
………………………。
ん?俺、今何も話していないよな?じゃあどうして会話が成立してるんだ?
まさかの読心術が使えたりとか………。
「当たり前じゃないか。僕は結構万能なんだ。」
マジか。また会話が成立したよ。
新手のエスパー?PSIか?
あ、万能ってことは目も治せるのか?
「出来るよ。ていうかできたら僕のことを魔王と認めてよね?」
応とも。じゃあやってみてくれ。
ってか、なんかこの魔王(仮)、言動が可愛いな。
「いくよ、『ヒネトヘイレン』」
その言葉を合図にしたかのように視界が晴れていく。
そして俺の目に写った人物は。
――小学5年くらいの男の子だった。
「すげえ。」
思わず呟いてしまった。だって想像してみろ。
小5ぐらいの男子が目を治そうとして口まで治る程の力を出したんだぞ?
しかも「ヒネトヘイレン」て言っただけだぞ?
これはあれか、マジで異世界来ちゃったパターンか?
魔法(?)あるし。
でもなんで魔王が回復魔法使えるんだよ。
普通、魔王とかは回復魔法喰らったらダメージ受けるだろ(錯乱)
「良く分かったね。僕は普段は君達が俗に言う『異世界』に住んでるんだ。
んで気まぐれでこっちの世界に来たら君が面白い感じに死んでたってわけ。」
!?何か目が冷めてから驚いてばかりだが、今のは1番聞き捨てならんぞ?
結局俺死んでんのかよ!?しかもなんだよ。面白いって。
「ああ、気付いてなかったのか。
じゃあ教えてあげるよ。君は埃で転んだんだ。掃除をしなかった罰だね。
それで君があの炎に突っ込んだ後すぐ救急車を呼べば右目は失明、
左目と口と鼻は軽度の火傷で助かるはずだったんだけどね。
君の友達は何をトチ狂ったか警察しか呼ばなくってね。救急車を呼んで無かったんだよ。
で、彼らが気付いた時にはもう手遅れだったってわけさ。」
…………。
何も言えねえ。ホントに何もできない科学バカだったか………。
掃除をしなかった俺が言えることじゃないかも知れんが。
「でね。そんな可哀想な(笑)死に方をした君なら僕の暇つぶしになってくれると思ってね。
君を個性的なチート付きで僕の世界へ転生させてあげるよ。」
え、ガチで?(笑)ってのが引っかかったが獣もふもふとか魔法ぶっぱとか出来んの?よっしゃきてる!
ありがとう科学バカども!そして埃!おかげで俺は異世界ライフを堪能できるぞ!!!
「じゃあ早速転生させるよ?」
おkおk。ドーンと来いや。
「いくよ。『レインカーネーション』」
俺の下に白と黒の魔法陣が現れた。魔法陣から出る光を浴びているとだんだん意識が薄れていった。
「せいぜい僕の役に立ってよね。」
魔法陣が消えた後、魔王はニヤリと笑いながら呟いた。
科学バカ共がどんな感じで警察しか呼ばないポカをやらかしたか、的な閑話
主人公が倒れたことにより、実験装置も倒れ、現在科学室は火の海。
2年 「うわああああああああ!!!!おい、信夜ぁ!
くそ、マズイ、火ぃ来やがった!一旦科学室出るぞ!」
2年「ちょっと待て、何で火災警報器とか鳴らねえんだ!?」
2年「実験の邪魔になるからってこの前取り外したばっかだろ?
それに、この部屋は本校舎と隔離されてるからそう簡単にセン公も気づかねえ!!」
2年一同「「「しまったあああああああ!!!!!!」」」
2年「とりあえず救急車だ救急車!なんだっけ、110番が消防署だよな!」
1年「え、ちょ、先輩違いま「こちら◯☓市警察の緊急呼び出しセンターです。ご用件は?」
2年「え、あ、えっと、「おいお前!何サツ呼んでんだ!!!『簡易ダイナマイト』とか『自作ピストル』とか見られたらヤベえじゃねえか!?」しまったあああああああああ!!!!!」
2年「それよりも信夜の命のほうが大事だろ!?早く用件伝えろやヴォケェ!」
2年「ちょっと待ってくれえ、なんて言えばいいんだ!?
俺コミュショーなんだよぉぉぉぉ!」
1年一同「「「なら何故アンタが電話かけた!?」」」
2年「先に言えよ!くっそ、俺が電話してやらあ。「もしもし、警察さんよ、火事だ。火事なんだ。住所は△□市〇〇区2条6丁目だ。名前は「☓☓中学校」。一人、火の中にいる。早く来てくれ!」
2年「ちょっと待った、3丁目じゃなかったか?」
2年「マジで!?どっちだったっけ!?」
「3丁目。」「6丁目。」「3丁目。」「6丁目。」
2年「はあ!?結局どっちなんだよ!?」
2年一同「「「3丁目(6丁目)。」」」
2年「ふざけるな!?「警察さん、どっちでもいいから来てくれ!」
警察「今そちらに向かっている最中だ!マップによると3丁目らしいぞ!
あと、救急車と消防車も向かっている。君たちは出来るだけ消火器で火を消してくれ!あと、学校なんだったら先生もそちらにいるんだろう?手伝ってもらいなさい。」
2年「あ、いや、先生は諸事情でいません…。」
警察「なんだって!?なら早くそこにいる全員で協力して火を消すんだ!」
2年「よしお前らぁ!火ぃ消すぞぉ!て、消火器何処だっけ?」
2年「科学室の中だろー。」
2年「ファッ!?」(ガタッ
2年「おいい!?何電話切っちゃってんだよ!?
つか、どうする?俺等は何をすりゃあいいんだ!?」
1年「先輩、消火器持ってきました!」
2年「ナイス!よっしゃお前ら、発射アアアアア!!!!!!」
2年一同「「「おんどれえええええ!!!!!」」」
結局、消防車と救急車が間に合わず、主人公は乙った。
(なお、緊急用に準備していた幾つか消火器が爆発して15分ほどはまだ生きていた模様。)