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185話 概念魔法万能すぎェ・・・・・・

やべえ、どうしよう。


『氷帝』さんの見たこともないような真剣な眼差しに、俺は思わずたじろいた。

これで回答ミスったらガチで死ぬる可能性すらある。

もしかしたら死は免れるだろうが、それでも何かしら害はあるだろう。

考えろ、俺。

こっちだけが知っていて、相手がそういう所に詳しくなくて、尚且つ無害っぽいやつ。


あ、光属性。


「え、えーっとですね、今の、実は光属性の魔法だったんです。」


「魔力が動いてなかったようですが?」


しまった、この人『マジックサーチャー』使えるんだった。

なんか誤魔化せないかな………。

あ、また閃いた。


「概念魔法との混合なんですよ、これ。」


「概念魔法?」


『氷華』が首を傾げるが、『氷帝』は「知らなくていいことですぞ。寧ろ、知ってはいけないですぞ。」と彼女を諭した。

だろうな。概念魔法について詳しく知っちゃうと覚えられなくなるし。


『氷帝』は、俺の返答自体には幾分か納得してくれたみたいで、表情が緩むのがわかった。

しかし、今度はまた真剣な表情がアリエルに向けられる。


「そうですか、それなら大丈夫ですな。


それでは、今度はアリエル殿。貴女に質問ですぞ。



――――――――『ダーク・ブースト』。

その切り傷は、この魔法によってできた物。違いますかな?」


『氷帝』の目が、更に細くなる。

思わずアリエルを見た俺は、その姿にビックリした。

切り傷だらけなのだ。

『マジックサーチャー』によると、服の内側までも切り傷が刻まれている。

おかしい事に、逆に服には一切切り傷が付いていない。


「…………。」


アリエルは、無言になる。

その名からするに、多分『ダーク・ブースト』は闇属性の支援魔法だ。

効果はわからないが、切り傷という反動がついてくるものなのだろう。


『氷帝』はそれに気づき、アリエルに闇属性の有無を間接的に訪ねているのだろう。

俺は非難を込めて彼女に目を向けた。

すると、テレパシーが飛んできた。


(どうしましょう?)

(俺だって困ってるわい!?大体何でそんなヤバイ魔法使ってんの!?)

(『唸る水流』ですよ!?出し惜しみしたら負けます!

というか、本当にどうしましょう?)


いやあ、残念。あっちにも打つ手無しのようだ。

あ、ちょ、いや、待てよ。


(概念魔法で誤魔化すってのは?)

(流石です。)


「『ダーク・ブースト』…。確かに、あの呪術と似ていますね、私の概念魔法(・・・・)は。

ただ、『ダーク・ブースト』とは違うものですよ。勿論、私は闇属性も持っていません。」


「………。


そう、ですか。

そういうことなら、そういうことにしておきましょう。

疑って悪かったですぞ。」


「いえいえ、よく言われることなので気にしませんよ。」


この女め、よく言うよ、と思いながら俺は安堵の息を吐いた。

流石概念魔法。何でもありだ。


いや、ぶっちゃけ『氷帝』の表情は険しいままだけど。

そりゃ、あんなんで納得するはずがないわな。

「実は魔王さんからチート貰ってこうなりましたw」とか言ったらどんな反応するんだろうな。



………………。


真面目な話。

いつか、言った方がいいのだろうか。

俺の前世も、魔王のことも、おっさんの事も、チート(笑)のことも。

何となく、言ったらいけないような気がして皆には言ってなかった。


やっぱり、言わなきゃいけないんだろうか。

まあ、俺の周りは基本的に今を生きる者(後先考えないバカ)ばっかだから気にしなさそうではあるが。

うーん、でもそうすると貴族とかが騒ぎそうだな。魔王と関わってるし。


この世界での魔王の扱いはヤバイからな。

全生物(魔物や悪魔を除く)の敵って言われてるぐらいだし。

俺的には転生させてくれたありがてえショタなんだが。


まあ、全生物の敵ってのもわからんでもないけど。

今までの魔王は片っ端から人間の町を潰そうとしてたようだし。

俺が会った魔王は今までそんなこと一回もしていない穏便な奴だけど。


それでも、『魔王』という存在は恐怖の対象なのは変わらないんだろう。

『魔王』=悪っつうイメージが刷り込みすぎているし。


やっぱり、転生云々のことは転生者以外には言わないほうが良さそうだ。

言わなくてもそこまでデメリットないし。


「皆様、お待たせしました。

馬車の準備が出来ましたよ。」


そこまで考えた所で、執事さんが俺らに声をかける。

そういえば、この人も何気に闘ってたな。

襲撃者から『氷帝』の使用人を守っていたし。異世界の執事マジやべぇ。


老体に隠された実力に感心しながら、俺はシュウを担いで『マジックガード』に乗り込んだ。


あ、勿論アリエルにはヘイレンかけといたよ?傷だらけで痛々しかったし。















微妙な雰囲気のまま乗っただけあって、馬車の中は割と口数が少なくなってしまった。

と言っても、シュウとギルと『氷華』が寝ているので起きているのは俺とアリエルと『氷帝』しかいない訳だが。


「「「……………。」」」


3人揃って黙って俯いてるとはどういうことだ。

くそ、お通夜かよ!

テンション低いのは嫌だぜ、俺!


一応内心で叫んでみたが、何の効果もなし。当たり前だ。

いや、ホント俺も寝てこの空間から逃げてぇよ。『マジックガード』の操作と馬車の前を照らす仕事があるから眠れないけど。


城塞都市に早く着くことを切に願いながら、俺は大きく欠伸をした。


俺、家に帰ったらのんびりするんだ。



光属性の明かりの先に、段々城塞都市が見えてきた。

今週の土曜日から1月20日辺りまで毎日更新していこうと思っています


冬休み暇なもんで(笑)

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