173話 ゴロ○ニャ(´;ω;`)カワイソス
「出ました、上級魔法『クリエイト・ゴーレム』ゥ!
この魔法でゴーレムを2体も出せるのは世界広しといえど『地帝』ただ一人ぃ!
これはシュウ選手、絶望的だァァァァ!!!!!!」
「あの魔法まで習得しているとは。流石ですな。」
俺は、実況の声を聞きながら、歯を噛んでいた。
『クリエイト・ゴーレム』ってのがどれだけ強いかはわからないが、間違いなく厄介な魔法だろう。
3mはあるゴーレムが2体入れば手数の面でも盾の面でもかなりマズイことになる。
しかも、全く対策してないし。
最後の望みといえばアダマンチウムの魔力中和能力だが………。
ここはひとまず様子見をしよう。
シュウの防御力ならそうそう倒れることはない。
「行け。全力で粉砕するのだ。」
「ッ!!!」
畜生、もう動き出したか。
つーか、ゴーレム速っ!動き自体はトロいのに、一歩一歩がデカくて変に速いんだけど!?
何だよ、ゴーレムが遅いとかいう風潮。大嘘じゃねえか。
一方、シュウはゴーレムに対して『封土の盾』を構えた。
やっぱりアダマンチウムの魔力中和に頼る作戦で行くか。
「クックック、やはりアダマンチウムに頼るか。」
シュウの様子を見て、『地帝』がニヤリと笑う。
その直後、『封土の盾』とゴーレムが衝突した。
――――――――ガシャン!
観客が固唾を呑んで見守る中、ビルが崩壊する時のような音と共に、ゴーレムが崩れおちる。
………………。
「「「は?」」」
いやいや、さっきまでドヤってたのは何だったんだよ!?
「全然効かねえな(冷や汗)」的な何かか!?
俺達が盛大に突っ込んでいる中、『地帝』が余裕の表情を保ったまま一言呟いた。
「『合成』。」
途端にさっきまで転がっていたゴーレムの残骸が蠢きだし、残った一体にくっつき始める。
俺達は、その急展開をポカンとしながら見ているしか無かった。
「クックック、崩れて結構。ソイツの仕事は崩れることだからな。
本命はこちらだ。巨大化したゴーレムは基本的に魔力関連の干渉を受けにくくなるからな。」
「おぉーっとぉ!初見であるはずのアダマンチウムにも直ぐ様対策を施す!
圧倒的だッッ!!!!!」
「ですが、干渉を0に出来るわけではありませんからな。勝負を決めにかかってくるでしょうな、アイツも。」
俺はそんなことより「そいつの仕事は崩れることだからな。」にゴロ○ニャを幻視したんだがな…………。
って、そんなこと言ってる場合じゃねえ。
魔力関連の干渉を受けにくくなるってのは、結構キツイ。
アダマンチウムがゴーレムに致命傷を与える、というのを知ってしまった分、そのキツさが身にしみる。
が、何もアダマンチウムがゴーレムの弱点じゃない。
例えば、今ゴーレムが攻撃のためにその拳を振り上げているように、接近戦しか出来ない、ということ。
「シュウ!倍返しにしてやれぇぇぇぇ!!!!!」
俺が言うより前に、ギルが叫んでいた。
考えることは同じ、てか。
「『カウンタークレイヴ』!!!」
ギルが叫ぶのに呼応するように、シュウが技を使う。
直後、ゴーレムがその巨大な拳をシュウにぶつけた。
――――――――――――――――ドゴオオオン!!!!!
再度、何かが崩れるような音がし、辺りに砂煙が立ち込める。
が、俺は一つ、重大なことに気づいた。
「シュウ!『地帝』が居ない!背後だ!!」
「チッ!」
直後、金属同士がぶつかり合う音がし、砂煙が吹き飛んだ。
ぶつかっていたのは、小型の『クリスタ・ルーン』と『封土の盾』。
「本当に厄介だな、アダマンチウムは!その針自体までも丈夫だとは!」
「僕は『クリスタ・ルーン』をアダマンチウムに触れながらも継続させている貴方にびっくりだよ!」
流石に分の悪さを感じ取ったのか、『地帝』は直ぐに『クリスタ・ルーン』を収め、純粋な鉄の剣を生み出しながらシュウへ斬りかかった。
しかし、ただの鉄の剣如きでは『封土の盾』に敵うはずもなく、あっけなく弾かれる。
シュウがその隙を逃さず第4のギミックを発動しようとした瞬間、又もや『地帝』が一言呟いた。
「『送還』。」
直後、先程までシュウの後ろに無残に転がっていた大量のゴーレムの残骸が、『地帝』の元へと飛んで行く。
その途中に居たシュウを巻き込みながら。
「ガぁっ!?」
シュウの防御力のお陰で体が貫かれることはなかったが、それでも押し流されるように『地帝』の方へと吸い寄せられる。
その『地帝』の手には、又もや小型化した『クリスタ・ルーン』が。
「ギミックだっ!!!」
気付けば、叫んでいた。
シュウもそれで対処が間に合ったのか、なんとか『封土の盾』からあの爆発音が聞こえた。
――――――――ボン!!!!
シュウの体が、一気に横方向へと流れる。
直後、ゴーレムの残骸と『クリスタ・ルーン』が激突した。
――――――――ジュアアアアアアア!!!!
何とも言いがたい音とともに、今度は水蒸気らしき何かで『地帝』が覆われる。
あっぶねー、間一髪だった。
因みに、今のギミックは黒色火薬を使ったものだ。
あくまで脱出用のものなので、俺の『人に対しては使わない』というポリシーは守られている。
効果は、今実践してみせた通りだ。
爆風で体をふっ飛ばし、とにかく体を逸らす。
「マズイな……………………。」
俺は、ゴーレムを完全に潰せたことに喜びながらも、残っているギミックの数を数えてため息をついた。
畜生、あと4つしか残ってねえ。
ゴーレム「解せぬ」




