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163話 押してダメなら引いてみな(キリッ

ストーリー評価が1000を超えました!!

有り難うございます!!

「『弾壁』『ブースト』『跳躍』!!!」


シュウは空中で勢い良く『弾壁』を踏み、貴族へと突進した。


「ちょ!?お前落ち着け!!!」


「フッ、愚かな。所詮は――――――――」


――――――――ズガアアアン!!!!


「――――――――肉壁、ということか。

私が『地帝』と呼ばれていたことまで忘れるとはな。」


「ッ!『マジックガード』か!!」


「『弾壁』『跳躍』『跳躍』『跳躍』!!!!」


『地帝』の『マジックガード』に阻まれても、シュウは突撃をやめない。

マズイ、完全に怒りで我を失っている………!!!

つーか、何だあの『マジックガード』!!俺のより圧倒的に耐久あるじゃねえか!!


「ギル、どうする!?『マジックガード』を破るか、それともシュウを止めr「『カウンタークレイヴ』!!!!!」なっ!何やってんだ!!!」


相手が攻撃してないのに『カウンタークレイヴ』を使ったって無駄なだけだろ!?

俺がビックリしていると、急に『地帝』の『マジックガード』が軋み始めた。


「凄え!シュウの奴、自分の突撃で生じた衝撃波を『カウンタークレイヴ』で跳ね返してやがんだ!!」


「成る程!!」


俺が納得した瞬間、シュウが『マジックガード』をぶち壊した。

が、それでも『地帝』の余裕の表情は崩れない。


「『シーシュポスの岩』。」


とてつもない魔力の波動と共に、シュウの動きが止まる。

いや、シュウは動いているのだが、その場から一歩も進めていない。


「『跳躍』『跳躍』『跳躍』ッッ!!!!」


「ハッ、近づける訳がないだろう。引くことを知らぬお前には、な。

では、そろそろこちらからも行くとしよう。『クリスタ・ルーン』。」


『地帝』の足元から黒光りする巨大な槍が現れる。


「な、何じゃありゃあ!?」


クルトがビビって叫びだした。

だよな。わかる。あれは、余りにも危険だ。

多分、『地帝』は今打てる最大限の力でこの魔法を行使しているのだろう。

溢れ出る魔力がヤバイし。

さてと、流石にこれは盾なしのシュウじゃ耐えられ無さそうだし、一肌脱ぐとしよう。


「『オープン』『セイクリッド・ガード』!!!」


シュウを庇うように前に立ち、『セイクリッドガード』を展開する。

良かった。あの『シーシュポスの岩』っつうのは単体にしか効かないようだ。お陰で俺の動きは全く阻害されてねえ。


「クックック、光属性か。面白い!!我が全力を持ってその盾を砕いてみせよう!!!」


『地帝』の目が急に好戦的になり、槍から溢れ出る魔力が跳ね上がる。

シュウが舐められまくって居たように感じてムカついてきたが、それは『ガコン』という音と共におっさんに処理される。

お陰で、『地帝』から放たれる巨大な槍を、俺は平常心で向かい打つことが出来た。


――――――――ギャリリリリリリリリリリリリリ!!!!!



『セイクリッドガード』と『クリスタ・ルーン』が嫌な音を立てて激突する。

一見拮抗しているように見えるが、『セイクリッドガード』が少々押されている。ヤバイな。


「ッ!!!」


「どうしたどうしたァ!そのままだと肉壁諸共貫かれるぞぉ?」


流石に無理をしたのか、口から血を流しながら『地帝』が吠えた。

つうか、肉壁肉壁うっせぇんだよ。キレるぞ、俺。あ、おっさんに吸い取られるんだった。


「テメエ、肉壁肉壁うっせえよ!!!

『ブースト』『最大重量(マックスウェイト)』『ドラゴンスマッシュ』!!!テメエがミンチになれよオラァ!!!」


良かった、俺の代わりに怒ってくれる奴が居た。

ギルは相当キレているのか、全力で『地帝』を殺しにかかった。

流石に『地帝』も魔力切れだと打つ手なしのようで、全力で回避していた。

お陰で『クリスタ・ルーン』の制御が崩れ、『セイクリッドガード』が打ち勝つ。


「クッ、肉壁のくせにいい仲間を得たようだな。

ここは一旦引くとしよう。


…………シュウ、いや、肉壁よ、壊れてくれるなよ。」


『地帝』はそう言いながら懐に手を入れ、ある物を取り出した。

それを見て、俺を思わず目を見開いた。


「煙玉!?」


「その通り!!では、また会おう!!」


「全力でお断りするぜコンチクショウ!!!」


俺がそう叫んだ直後、辺り一面に煙が立ち込める。

瞬時に『マジックサーチャー』を使うが、とてつもないスピードで彼は遠ざかっていった。

おいおい、魔力切れ起こした直後って普通はフラフラになる筈だろ。何でそんなに元気なんだよ。


「くそ、逃げられた……。」


「落ち着け、ギル。それより今はシュウだ。気絶してるから今は大丈夫だが、起きたら精神状態がどうなるかわからねえぞ。」


「マジか!?」


「ああ。とりあえず、何処かに寝かせないとな。その後皆で作戦会議を開こう。クルト、元孤児の皆がいる所に案内してくれ。」


「あ、ああ。わかった。つーか、お前らといると驚かされてばっかだぜ………。『地帝』と張りあうとかどんだけ強くなってんだよ………。

ああ、ロイドが大人しくミルクを飲んでた頃が懐かしいぜ………って、痛い痛い!!魔力の手で俺を抓るな!!悪かったって!!」


「シュウが起きるから静かにしろや阿呆。」


「酷えな!?お前、なんか俺に対していつもキツくねぇ!?」


「ハッ、気のせいだろ。

それよりさっさと案内しろ。」


「はいはい、わかりましたよっと……。」


俺らは、クルトと一緒にスラムに入っていった。

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