14話 俺のチートがユニークすぎるんだが(1)
遅れました。
「うわあああああああ!」
「待って~♪」
俺は、今全力で逃げている。
何から逃げているって?それは――――
「止めてくださいって!リンさん!」
「止めて欲しければおとなしく捕まりなさ~い♪」
そう。こんな狭い広場で俺を今追いかけているのはリンという少女なのだ。
見たところ小6位なのだがウィンド・ブーストとアクア・ブーストを制御出来るギリギリで使いながら巧みに逃げているはずの俺を見事に追いかけ回すチェイス能力を持っている。
それにしてもこの少女、俺を見る目が怖い。まるで捕食者のようだ。
あと、なんでこんなことになったかというと、こんな感じである。
1、上目遣いで皆気絶。
2、攻撃魔法習得のために先生をアンチスタンで起こす。
3、ついでにと先生の後ろで気絶してる人を起こす。
4、魔法練習部屋に行こうとした所でリンさんに襲われる。
5、何故か皆が期待するような目で見ている中支援魔法で自分を強化しながら
リンさんから逃亡中←今ここ
うん。わけわからん。
とここまでのことを考えている間にリンさんが迫ってきた。
しかたがないのでフラッシュを使う。
「キャッ!?こんなの反則でしょ!?」
いや、1歳児を追いかけるあんたが言うな。
そう言おうとした所で先生が手を鳴らす。
「おーい。このまま見てたい気持ちもあるが二人共止めにしてくれ。
これからロイドに攻撃魔法を教えるんだ。」
「えー。やだやだ!絶対にやだ!」
「子供か!えーい。
我が土の力集いて地に新たな穴を『アース・ホール』!」
先生の魔法で小さい落とし穴が出来る。
「魔力の無駄遣いでしょ絶対!師弟揃って!」
「今のうちに逃げるぞ、ロイド!」
「はい!」
なんかこの状況だと先生が正しい。本能がそう告げている。
「逃げられた!?」
魔法練習部屋に入ると先生が勢い良くドアを閉めた。
「済まないね。ここは毎日が生きるか死ぬかの日々だから皆娯楽に飢えているんだ。言い方は悪いけど君は僕達のマスコットってわけだ。」
「そうなんですか…………。」
「話が理解できてただ弄られるだけでなく反抗もする。話も理解するし頭もいいのにおっちょこちょい。そんな1歳児に僕たちは不思議な感―――――」
「フラッシュ!」
「グワ!」
何か趣味について語られそうだったので黙らせる。セーフ。
つーか俺の認識がおっちょこちょいになってるってどういうことだよ!?
俺まだ他の人にあってから少ししかたって無いぞ!?
「で、攻撃魔法についてですが。」
「あ、うん。そうだね。まずは水魔法の初級から行こうか。簡単だし。
我が水の力集いて彼の者を撃て『アクア・ブリット』、発射!」
――――――――――バコン。
あ、さっき見たやつだ。
てかあの威力で初級かよ!
「無詠唱でいいですか?」
「ああ、そういえば君は出来るんだっけ………。まあそれはともかく試してみたら?」
「わかりました!」
という訳でイメージしてみる。先生がしたような水の弾丸を作って………。
お、指先に水ができた。後は発射するイメージだな。
「やっぱり飲み込みが早いなぁ。本当に僕の苦労は何だったんだよ……。
あ、あとは発射っていうだけだから。勝手に飛んでくはずだよ。」
後ろで先生が愚痴っているが気にしない、気にしない。
というか発射というだけで飛ぶとか魔法の中身どうなってんだよ!
「発射!」
キーワードを言ってみる。が、
――――――――――シーーーン。
何も起きなかった。水は指についたままだ。
………………………。
「も、もう一回…………発射!」
――――――――――シーーーーーン。
……………………。
「なんでだーーーーーっ!?」
あれからちゃんと詠唱をしてみたりイメージを変えたり打てる手は全て撃ったはずなのだが、体から離れなかった。
土魔法の『アース・ブリット』も、風魔法の『ウィンド・ブリット』も発射だけは、出来なかった。
「もしかしたら君は特殊体質ってやつかもね。昔居たらしいよ?攻撃魔法が
どうしても使えなかった人が。」
でも、俺は先生のこの言葉で悟った。
俺が、攻撃魔法を使えない理由。それは、多分チートのせいだ。
魔王が個性的って言ったのはこのことだろう。
確かに魔力量は少ないけど、属性は多く、魔力回復量が半端無いけど生活環境は悪く、でもそれを補う特殊な知識を持っているのに、
攻撃魔法が使えない。
確かに個性的だ。見るのに飽きない。もうユニークの部類に入ってるし。
でもな。いくらなんだってこれは――――――
「ありえないだろっ!?」
―――――先生が変な目で見てるけど気にしない、気にしない!
出来れば今日更新します。