146話 弾けろリア充!!!!
ダルファさんやおっさんと会ってから4日後、俺のもとにカナルから手紙が来ていた。
内容はこんな感じだ。
魔法学園の実践訓練で『変化の洞窟』に行くことになった。
護衛をして欲しい。
因みに、今日は特別にDランクでも護衛依頼を受けられるから安心して欲しい。
待ち合わせ場所は魔法学園、時間は9時まで。遅れるな。
いつも通り淡白な文章だ。
そして無駄に字が上手い。俺の古代文字とは大違いだぜ。
よし、ならシュウとギルを叩き起こそう。
ロイド の めざましビンタ!
シュウ に 1のダメージ!
しかし ギル に 勘で躱された!
「お前等こんな所で高スペック発揮させる必要ないからな!?」
つーかそれ俺の筋力がショボイことも絶対関係してるだろ!
ああもう面倒臭い。
(『アンチスリープ』『アンチスリープ』!!!)
結局、困った時の『アンチスリープ』を使うしかないのか。
「!!おはよう、ロイド!今日もいい朝だな!」
「ふぁぁぁぁ、よく寝たー。」
「じっくり眠れるお前等がすげー羨ましいぜ…………………。
それはともかく、仕事が入ったぞ。護衛の仕事だ。」
「おお!誰の護衛だ?」
「あれ、でも僕等まだDランクで護衛依頼受けられないんじゃ…………。」
「いや、何でも今日は特別に護衛依頼が受けられるっぽい。
あと、護衛対象はカナル・ジルフォンだ。」
「ジルフォン!?それってロイドの邪魔をしてくる輩じゃねえのか!?」
「カナル・ジルフォンだけは違う。
アイツは寧ろ邪魔してくる輩と敵対してんだ。」
「なら味方だね!」
「そういうことだ。じゃ、早速待ち合わせ場所の魔法学園に行こう。」
「「魔法学園!?」」
「カナル・ジルフォンがそこに通っているらしくて、今日は実践訓練をする日らしい。
俺達はその護衛、って訳だ。」
「成る程な。で、待ち合わせの時間は?」
「9時だぜ。」
「今は7時か!ならもう家を出ようぜ。
あ、リーユさん!パン貰ってくぜー!!!!」
「フフ、相変わらずギルは元気だな。」
ギルが一人で家を飛び出していった。
「アイツ、魔法学園の場所知らんだろ…………。」
「追いかけようか。『弾壁』『ブースト』『跳躍』!!」
「ちょ!?せっかちだなお前等!(魔手装甲、『ウィンド・ブースト』!)
どりゃあああ!!!」
――――――――バコッ!!
「ん?今変な音がしたような?
ってロイドー!床を踏み抜くなーーー!!!!」
「リーユさんすまん!後で直しとく!」
直せる保証はないけどな!
というか、俺達のノリがグダグダすぎるぜコンチクショウ!
俺は、迷子になっているであろうギルを回収するべく体のギアを上げた。
「案外着くのに時間がかかったなー。」
「「迷子になってたお前が言うな!!!」」
家を出てから1時間半後、やっと俺達は魔法学園に到着した。
因みにギルを探すのにかかった時間は1時間だ。
とんだ時間ロスだったぜ。
ギルが果物屋のおばちゃんと楽しそうに話してた時は思わずぶん殴ってやろうかと思った。
「ギルへの愚痴はこの際置いとこう。
それにしてもデカイな、魔法学園。」
「俺等の家の10倍はあるんじゃねえの?」
「どうやって探そうか、そのカナル・ジルフォンって人。
これだけ広いと見つからないよ?」
「どっかに護衛の人が集まる広場でもあるんじゃね?」
「よし、俺が聞いてくる!
おーい、門番の兄ちゃん!俺等さ、護衛依頼を受けてきたんだけど、どっか集まる場所とかあんのか?」
「はあ?お前等みたいな子供がここの生徒の護衛依頼を受けてるだとぉ?
冗談もほどほどにしろ。」
「物分りの悪い兄ちゃんだなぁ。
ならちょっと俺の実力を見せてやる。おぅらよっとぉ!」
ギルが物凄いスピードで『重力魔剣』を門番の首に添えた。
血が、ツーと流れると共に、門番の顔が青ざめていく。
「ああっ!勢い付け過ぎちまった!!!ロイド、治してくれ!」
「馬鹿か!?お前は馬鹿なのか!?(『ヘイレン』。)
一応治しといたけどさ。
で、門番さん。場所教えてくれない?」
ちょっと待て、何だその化け物を見る目は。
俺のガラスのハートが悲鳴を上げるだろうが。泣くぞ、俺。てか泣きたい。
「こ、この学園の中央の校庭だっ!!た、頼むから早く行ってくれ!!」
「ロイド?なんか滅茶苦茶この人怯えてるよ?」
「メンタルが俺並みに脆いんだろうな。
おいギル、行こうぜ。」
「おう!」
俺等はコロッセオのように佇む魔法学園の中心を目指して走りだした。
「であるからして、この実践訓練は大変実りのあるものとなるだろう!!!
但し!無茶はするな!生き残ること第一に考えるように!
では、実戦訓練開始!!!」
前世同様長ったらしい演説を右から左に流した俺達冒険者は、それぞれの依頼主を探し始めた。
「ねえロイド、カナル・ジルフォンてどんな人?」
「会えばわかる。お、みーつけた。おーい!カナル!!!」
「「「――――――――!!!」」」
「ロイドか。今日は宜しく頼むぞ。」
俺がカナルに対して手を振ると、カナルもこっちに手を振り返す。
すると、俺の周りが一瞬だけ静かになった。
少しするとまた騒がしさが戻ったが、さっきまではなかった視線を感じた。
視線を向けてくる方向に顔を向けると、大多数が女子だった。
「お前、モテんのな。」
「戦闘力チートだし、貴族だし、前世の知識のおかげで勉強もトップレベルだしな。」
「そして顔もいいと。
俺の前世のダチなら多分嫉妬で襲い掛かってくるぜ。」
「そ、そうか。まあ、女子の視線には極力気にしないで欲しい。
あれでも貴族の娘が多いからな。恨みを買うと後々怖い。」
「了解。じゃ、シュウ、ギル。コイツを紹介するぜ。」
俺達は、それから実践訓練のルールやお互いの戦闘スタイルなどを確認し合った。
それにしても、女ってのはやっぱ怖いもんだな………………。




