139話 説得しよう(意味深)
話し合って得ることが出来た情報はこんなかんじだった。
1、彼が死んだ日と俺が死んだ日は一致している。
この情報はぶっちゃけ役に立つかどうかわからない。
まあ、魔王からの転生者か判別するときにでも使おう。
2、カナル・ジルフォンは現在14歳。
死んだ日は同じなのに転生する日は違うってどういうことよ。
まあ、地球とこの世界の時間は連動してないってことの証明にはなったな。
3、転生者はもう一人心当たりがあるそうだ。
アルト・シーモアというらしい。
貴族の令嬢だそうだ。また貴族か、俺からすれば羨ましいぞ。
4、カナル・ジルフォンは特に現代知識とかを持っているわけではない。
極々普通の高校生だったそうだ。
銃弾は避けられないし、古武道みたいなものも習得していないし、人を殺す覚悟とかがある訳ではない極々普通の高校生だったそうだ。
逆に俺みたいにこんな詳しく色んな物の作り方を覚えてる奴がの方がおかしい。
科学部は俺の人格を大きく狂わせたけど、その分有用な知識をくれたって訳か。
5、ゴムについてだが、そこはカナル・ジルフォンがジルフォン家当主を説得してくれることになった。
実際はジルフォン家当主の弱みを突きつけて脅迫するらしいのだが。
一瞬コイツ本当に普通の高校生か、と思ったが、本人曰く失敗すれば勘当される率が上がるのでデメリットはないらしい。
失敗されるとこっちが困るのだが。
6、カナル・ジルフォンの戦闘スタイルは、スピード型。
『フリースヴェルグの化身』という加護によって大幅に風属性が強化されているため、『ウィンド・ブースト』がトンデモナイ出力になるそうだ。
後はそのまま風属性と雷属性を詠唱省略しながらチマチマ攻撃していくスタイルらしい。
一応切り札もあるそうだが、教えてくれなかった。
因みに、詠唱省略は努力して身につけたらしい。
俺達が話した内容を箇条書きにすると、こうなった。
「さて、じゃあ俺は家に帰る。
クソ親父を説得しなければいけないしな。」
「頼んだぜ?こちとら死活問題だし。
折角命懸けで乾季の『食人樹林』に突っ込んだのに得れた物が石鹸だけとか本当にやめてくれ。」
「お、おう?『食人樹林』てのが何かは知らんが、大変だったのだけは判った。全力でクソ親父を説得しよう。じゃあな。」
ん?なんか今の発現から物騒な感じが。き、気のせいに違いない、うん。
「ちょっと待て!お前、なんて呼べばいい?
普通にカナルでいいか?」
「あ?そんなことか。普通にカナルでいいぜ。」
「了解。じゃあな、カナル!」
カナルはただ手を振ってドアから出て行った。
防音魔法は解除していったみたいだな。
俺も出るか。
――――――――ガチャリ。
「あっ、ロイドさん!話、どうでしたか?」
ダルファさんが心配してように聞いてきた。
「ああ、大丈夫。寧ろカナルがジルフォン家当主を説得してくれるってさ。
良かった良かった。これで安心してゴムが売り出せそうだ。」
「もう名前で呼び合う中ですか。いいですね、若者は……。
それより、ゴムは売り出せそうですか。良かったです。
あ、お客さんが来ました。私はこれで。」
流石ダルファさん。客への接待には余念がない。
さて、俺はやることないし帰るか。
俺は、魔手装甲と『ウィンド・ブースト』を使って家に帰った。
――――――――ペターン、ペターン。
「うっほほーーい!!!楽しい!!」
「凄いよギル!これ、伸びてもすぐに形が戻るんだ!」
…………………。
「お前らぁ、ゴムに何やってんだぁぁぁぁぁ!!!?????」
「「うわああああああ!!!!『ブースト』!!!」」
やべっ、魔手装甲発動してる状態で殴っちゃった。
ま、『ブースト』掛けてたしあんまりダメージはないだろう。
「なんでだ?何で殴られたんだ!?」
「お前らダンジョン行くんじゃなかったの!?
ていうかそこに『触れるな危険』て看板置いてあるだろ!?
何で見てないんだよ!?」
「よ、読めなかった…………………『ーれるな危険』としか……………。」
マジかよ、お前ら漢字読めないのか。
っておい!
「じゃあ何で近づくんだよ!?危険てのが読める普通近づかんだろ!」
「だって布団干してるみたいないい匂いが臭さの中に少しだけ残ってたんだ…。」
「何でゴムの臭さに対しては躊躇しなかった!?
つうか、あの布団の匂いって確かダニが死んだ時の匂いだぞ!?」
あれを知った時は絶望的だった。
クンカクンカスーハーしてた匂いがまさかダニの死体の匂いだったとは思わなかった。
「「!?」」
二人もビビってるな。うん。判るぞその気持ち。
「とりあえず、まだゴムはちゃんと完成してないから触るな。」
ここ大事な。
「「はーい。」」
まさか好奇心の塊だった俺がこんなことで人を叱る日が来るとは。
フッ、世の中とは実に突飛なものだな。(キメ顔)
「ロイドが変顔してるとこ悪いけど、暇だからどっかダンジョン行かねえ?」
「変顔!?てか、暇つぶしにダンジョンか……………。」
「まあ、いいんじゃない?」
何気にまだ午前中だし。
よし、ダンジョン行くか。
俺達はダンジョンへと向かった。




