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138話 転生者

「お前は、転生者か?」


この問いに、俺の思考回路は完全にショートしてしまった。


「……………………!!!!!」


どういうことだ。

いや、落ち着け。考えろ。

目の前の少年は今、「お前は、転生者か?」と訪ねてきた。

けどこの世界には転生者という概念がない。

図書館でも転生者についての文献が全くなかったし、多分合ってる。


なら、何故この世界で生きてるあんた(カナル・ジルフォン)がそれを知っている。


………………………。

考えられる理由は、一つしかないか。


「そういうアンタこそなんなんだ。転生者か?」


目の前の男、いや、青年も転生者である、これしかない。


「クク、その目からしてどうやらお前も心当たりがあるようだな。」


「ロイドさん!転生者とはどういうことですか!?」


ダルファさんが混乱気味に聞いてくる。

まあ、『転生者』という概念が今まで無かったのだから仕方がない。


「済まない、ダルファさん。俺には説明できない。

それより今から目の前のこの男と話がしたい。

奥の商品倉庫を使わせて欲しい。ついでに人払いもしてくれると助かる。」


「えっ!?」


「大丈夫、悪いようにはしないさ。」


「俺からも頼もう。俺も少しばかりコイツと話がしたい。」


「分かりました………………。では、私達は店の外に出ています。」


「いや、その必要はない。俺には防音魔法があるからな。

店内にいていいぞ。」


仕事の邪魔はしない、てか。


「有難うございます。では、ごゆっくり……………。」


俺達はカウンターの奥に入った。















「さてと、転生者についての話だが……………。

その前に防音を済ませよう。『マキシマム・スチウェイゲン』。」


入ってきたドアに手を向け、カナル・ジルフォンは魔法を発現させた。

見た目的には変化はないが、多分魔法がかかったのだろう。


「まず、単刀直入に聞こう。

アンタは、転生者か?」


話の主導権を握るために俺は椅子に腰掛けるなりすぐに尋ねた。

俺は相手が少しでもどもることを期待してたが、あちらは特に迷った素振りもなく淡々と答えた。


「そうだ。そういうお前はどうなんだ。」


「それを応える前にもう一つ質問させてもらう。

アンタ、『魔王』に会ったことはあるか?」


これは死活問題だ。

もし、相手が正義の味方とかそんなのに転生させられていたら、魔王に転生させてもらった俺とは敵対する可能性が高い。


カナル・ジルフォンは子の問いにも淡々と答えた。


「会ったことがある。

というより、俺を転生させたのは魔王だ。」


よし、同類。

危なかったぜ。


「そこまで教えてくれたんならこっちも教えよう。

俺も転生者だ。」


俺がそう口に出すと、カナル・ジルフォンはニヤリと笑った。


「やっぱり転生者か。」


「ああ。というか、こんなに色んな物を創りだす奴は異世界でもそうそういねえよ。」


「それだけじゃねえ。お前の冒険者としての実力を見るにかなりのチートを貰ってるだろう?」


「微妙なのばっかだけどな。

多分俺のチートは『光属性』『光、土、水、風のクアトロ』『イシスの加護』『無詠唱』『魔手』だ。」


俺が自分の手札を明かすと、カナル・ジルフォンは驚いた顔をした。


「ちょっと待て、多分『無詠唱』と『魔手』はチートの恩恵じゃない。」


「へっ!?」


「あれらはそれぞれ『イメージ力』と『集中力』がないと成功しない。

魔王でも流石にそこまでは弄れないらしいからな。

それはお前個人の才能だ。」


「何だと!?」


俺、パネェ。

重度のゲーム廃人だったのが良かったのだろうか。


「それに、チートもかなりいいものが揃っている。

『光属性』なんて滅多に見ないぞ。」


「但し魔力量は普通の魔術師の5分の1で攻撃魔法は使えないけどな。」


「……………。」


その色々と憐れみの篭った目はなんだ。


「それはともかく、アンタのチートは何だ?」


「『風、雷のダブル』『魔力量が平均の3倍』『フリースヴェルグの化身』『トールの加護』だ。」


「俺と格差ありすぎ!?」


おかしい、あちらはデメリット無しチート4つなのにこちらはデメリット2つありでチート3つ。どんな格差だコンチクショウ。


「他にも強い欲を覚える度に金髪美少女に吸い取られる、ってのもある。」


「俺も強い怒りを覚えるとクッソ黒いおっさんに吸い取られるぜ………。」


てか、あっちは美少女でこっちはおっさんてどういうことよ。

まあ俺は女性恐怖症だし、おっさんのほうがいいんだけど。

なんかなぁ……。釈然としねえ。


「まあ、俺のチートはこんな感じだ。

次に質問なんだが、お前、煙玉とかはどうやって作った?

まさか記憶していた、なんてことはねえよな?」


「それ以外にどうやって作るんだよ。

俺が作ったものは全部俺の記憶の中から引っ張りだされてる。」


「成る程、お前は元のスペックも高いって訳か…………。」


「?よく聞こえなかったけどまあいいや。

早速元日本人談義でもしようぜ。

お互い、情報交換といこう。」



ここから2時間、俺達はしっかり状況確認をしていった。

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